「となりのトトロ」やってましたね！
毎回観るたびに、サツキがいじらしくて胸がきゅーっとなります。
お姉ちゃんだって、子供なんだもん。
泣きたいし甘えたいよねえ。
よしよし、偉いぞサツキ。
頭撫でてあげたい。
 | となりのトトロ [DVD] 宮崎駿 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 |
そして、この映画を観るたびに思い出す人がいます。
それは私が20代の頃の知人で、「トトロ」と呼ばれていた男性。
本名は知りません。
タクシーの運転手をしていて、当時30代半ばでしたが、見た目の印象は50歳くらいに見えました。
確かにトロンとした目つきと、恰幅の良い体型がトトロっぽかったです。
なぜ知り合ったかというと、トトロさんは友人シンガー・A子さんのアッシー君（死語）だったのです。
いや、元々はA子さんのお友達のNo. 1ホステスB子さんのアッシー君でした！
ややこしいな。
B子さんがA子さんと遊んでいて終電を逃した時に、トトロさんを呼んで送って貰い、A子さんもそれ以降ちょくちょく送らせるようになりました。
姉御肌で友達の多いA子さんは「あんたも乗っていきなー」と、そこにいた子をみんな誘って乗り合わせるのです。
こうしてB子さんからA子さんへ、A子さんから色んな女の子へ紹介されて、「トトロの送り」の輪が広がっていったのです。
もちろんタダ。
女の子を送り届け、復路を1人で帰っていくトトロさん。
良い事なんて、何もありません。
車中でも女子達が姦しくお喋りする中、
ほとんど会話に加わらず、
ガソリン代も貰わず、
お部屋にあげて貰うこともなく、
本当に清々しく帰るだけ。
文字通りのアッシー君。
いいように女子達に使われてるだけ。
私も便乗して、数回送っていただきました。
都心から30キロほどの埼玉在住だった私は、なんだか申し訳なく思い、ガソリン代を渡そうとしたこともあるのですが、トトロさんは頑として拒むのです。
きっと優しい面倒見の良い人なんだろうな。
そう思っていたある日、A子さん・B子さん・私で遊んだ後、2人はいつものようにトトロさんを呼び出しました。
デニーズでお茶して待つこと30分。
頬を紅潮させたトトロさんが、小走りでやって来ました。
「お待たせしちゃって・・・」
「おせ〜んだよ！」
無口なトトロさんの挨拶に被せてA子さん。
いや、B子さんだったかな？
ややこしいな。
「ここ払っとけよ！」とB子さん。
いや、A子さんだったかな。
まあ、どちらのセリフでも大差ないので大丈夫です。
「え〜〜」
とか言いながらも、なんかちょっと嬉しそうなトトロさん。
さっさとトイレに連れ立つ2人に、バシッと伝票を押し付けられレジに向かいます。
背を丸めて、くたびれた財布から小銭を出すトトロさん。
さすがに可哀想になって、声を掛けようとしたのですが、なんて言っていいかわかりません。
すると、「ユキさんはお手洗い大丈夫ですか？自分、車回して来ますんでどうぞ」
そう言って、颯爽と外に出て行くトトロさん。
こんなに甘えて虐げていいのか！？
悶々としてたら、バッチリ化粧を直した2人が戻って来ました。
「ねえ、いつも悪いから今日はガソリン代くらい払おうよ」
「あーユキちゃんは、変なとこ気にしいだからね（笑）大丈夫、大丈夫」
うう〜〜。もやもや。
店を出ると、トトロさんがスタンバイしています。
乗り込む私達。
何故か全員、後部座席へ。
「どのコースで行く？」
トトロさんが振り返ると、A子さん＆B子さん、
「うるさいな！自分で考えろよ！！」
「どこでも行けばいいじゃん！！」
理不尽です！
あまりに理不尽です！
さすがのトトロさんも怒るんじゃ・・・え？怒ってない！？
「え〜〜」
バックミラーに映っているその顔は、満面の笑みです。
どういうこと？？
走り出してからも、
「トトロ！何やってんだよ！今の信号いけたじゃん！！」
「あんな●●ナンバーに抜かされるなよ！！」
理不尽です！
とにかく理不尽です！
これには温厚なトトロさんも・・・あれ？めっちゃ笑ってるよ！？
埼玉までの道中ずーーーっと、A子さん＆B子さんに罵倒され、時には背もたれを蹴られてるのに、
「え〜〜」
とかなんとか言いながら、トトロさんが喜んでいるのがよく分かりました。
ああ、プレイなんだなと。
鈍い私でも理解できました。
A子さん＆B子さんは、キリっとした美人です。
「花とみつばち」の姉妹のように華やか。
しかもボイン（死語）
↓こんな感じ
トトロさんは、キツい美人に罵られるのが大好きな人なのでした。
トトロさん、今どうしてるのかな？
今も美人に怒られて恍惚としているのかな？
そんなトトロの思い出。
サンキューテルヨ！
サンキューパセリ！
 | 花とみつばち（３） (ヤングマガジンコミックス) 安野モヨコ 講談社 |
