「奥さんがなにも喋らなかったら、どうやって追求したらいいのかしら」
「家内の母親に聞いてみるけど、何も分からないかもしれないから、ゆりこさんは出来るだけ所長の情報を集めて下さい」
その日の二人はそこで別れ、ゆりこは会社に戻ってきたが所長は居なかった。留守番のアルバイトに聞くと、急用できょうは帰れないといって出掛けたそうだ。
病院を訪ねる可能性もあるので、誠二にメールを送っておいた。
翌日出社してみると、所長は一日か二日休暇を取ると社員一同に伝えられた。
どこへ行ったのか、ゆりこは昼休みに誠二と連絡を取ったが、昨日は病院に来ていないとの事、しばらくは毎日病院通いをするらしい。
その週の土曜日、二人は病院からも比較的近い、深大寺近くの喫茶店で会うことにした。新緑に囲まれた静かなお店は魅力的だ。
「所長は休んだままなんだ、病院にはまだ現れていないよ」
「そう、おかしいわね、会社にもその後何の連絡も来ていないので、皆騒ぎだしたところよ」
「昨日、敦子に学校と滝沢という名前を知らないか、と聞いてみたんだよ」
「何と言ってたの」
「覚えてない、昔いろいろな学校に通っていたから、その内の一つでしょうって」
「決まり文句ね」
「でもそれとは別に、あなた、この頃、輝いているわね、といって僕の顔をじっと見るんだよ」
「感づいたのかしら」
「前にも話したことがあるけど、あれは霊感が強くて、予知能力とかあるらしいんだ」
「もう知られているとしたら、どうするの」
「全部話すよ、嘘はつきたくない」
「それがいいわ、都合のいい答えは返ってこないでしょうけど」
「話をつけたいんだ」
「そんな簡単にはいかないわ」
「僕には、君しかいないんだ」
「奥さんはあなたを愛しているわ、その気持ちをどうするの」
「何度でも話し合うよ」
それは無理よ、とゆりこは心で叫んだ。
「家内の母親に聞いてみるけど、何も分からないかもしれないから、ゆりこさんは出来るだけ所長の情報を集めて下さい」
その日の二人はそこで別れ、ゆりこは会社に戻ってきたが所長は居なかった。留守番のアルバイトに聞くと、急用できょうは帰れないといって出掛けたそうだ。
病院を訪ねる可能性もあるので、誠二にメールを送っておいた。
翌日出社してみると、所長は一日か二日休暇を取ると社員一同に伝えられた。
どこへ行ったのか、ゆりこは昼休みに誠二と連絡を取ったが、昨日は病院に来ていないとの事、しばらくは毎日病院通いをするらしい。
その週の土曜日、二人は病院からも比較的近い、深大寺近くの喫茶店で会うことにした。新緑に囲まれた静かなお店は魅力的だ。
「所長は休んだままなんだ、病院にはまだ現れていないよ」
「そう、おかしいわね、会社にもその後何の連絡も来ていないので、皆騒ぎだしたところよ」
「昨日、敦子に学校と滝沢という名前を知らないか、と聞いてみたんだよ」
「何と言ってたの」
「覚えてない、昔いろいろな学校に通っていたから、その内の一つでしょうって」
「決まり文句ね」
「でもそれとは別に、あなた、この頃、輝いているわね、といって僕の顔をじっと見るんだよ」
「感づいたのかしら」
「前にも話したことがあるけど、あれは霊感が強くて、予知能力とかあるらしいんだ」
「もう知られているとしたら、どうするの」
「全部話すよ、嘘はつきたくない」
「それがいいわ、都合のいい答えは返ってこないでしょうけど」
「話をつけたいんだ」
「そんな簡単にはいかないわ」
「僕には、君しかいないんだ」
「奥さんはあなたを愛しているわ、その気持ちをどうするの」
「何度でも話し合うよ」
それは無理よ、とゆりこは心で叫んだ。