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希望の芽よ大きく育て~自衛隊イラク復興支援~2004年2月その14

2018年06月23日 06時15分00秒 | 陸上自衛隊
2004年2月22日、前日に千歳基地から政府専用機で日本を発った陸上自衛隊のイラク復興支援群主力第1波の135名が、クウェートのムバラク空軍基地に到着しました。



ムバラク空軍基地では、在クウェート日本大使館の樽井澄夫大使がお出迎えです。



イラク復興支援群主力第1波は、数日間クウェートに滞在して車両の走行訓練や装備品の確認をした後に、サマーワに向かうそうです。
いっぽう、そのサマーワでは、着々とイラク復興支援群の受け入れ準備が進んでいます。



この日、間借りしているオランダ軍宿営地から陸上自衛隊の自前の宿営地へ、物資の移動を開始しました。


それでは、2004年2月22日のイラク派遣部隊活動報告を見てみましょう。






◎サマーワ主力
・仮宿営地の整地は完成、拡張作業は、壕堀を1/2(1650m)、
又表土の運搬作業開始(500㎥/5000㎥)手書き部分:全体の1/100
阻止用コンクリート設置作業は500m/2500m完了
・人道復興支援活動調整
サルマン市評議会表敬
ルメイサ病院視察・調整
◎クウェート分遣班
・本隊第1波受け入業務
・群長表敬同行(クウェート国防省、日本大使館表敬)
◎バクダッドLO
・大使館調整
・■■■■を通じた情報収集
◎バスラLO
・MJLCとの調整

(MJLCは連合統合兵站センターの略)


人道復興支援(衛生)
◎ルメイサ病院内外の状況確認
・病院敷地内の状況
清掃状況不良
野犬の存在
・排水・汚水処理設備の不備
・doctor's houseの設備不備
・病院内の状況
清掃状況不良
医療備品の不足


当時のイラクでは、病院でさえも敷地内に野犬がいたり、院内も清掃不良だったりしたんですね。
これからどのように支援をすすめていくのでしょうか。








サルマン市評議会訪問について
〇実施日時
2.22(日)1030~1215
〇参加者
・自衛隊側:隊長、■■■■■■■■■■■■、通訳
・蘭軍側:■■■■■■■■■■■■
・評議会側:議長(■■■■■■■■■■■■)以下3名(評議会は蘭軍基地内に同居)
〇給水
・市内:市内に2コある井戸が水源。市内から8㎞以内は水道で供給。
・市外(砂漠):57コの井戸があるが、ポンプが壊れ使用できない状態。
・水を貯めるタンクは故障中。水タンカーは1台保有。
(話の内容に不明確なものもあり、市による具体的な計画立案が必要)
〇医療
・市にはクリニックが1つあるだけ。医者は1名、看護士は3名のみ。
・X線装置はあるが古く、故障が多い。
・救急車は2台あるが通信装置がない。
(施設自体は比較的きれいであり、薬品や設備の提供等による支援を考慮)
〇学校
・市内にある学校は3つ
・ダメージ箇所は蘭軍が修復予定
(一部陸自が肩代わりしたり、あるいは文房具の提供等による支援を考慮)
〇サルマン市やブサイヤ村等、遠隔地に対する支援内容・要領を今後検討する必要性あり



自衛隊のイラク復興支援活動は、給水・医療支援・公共施設の復旧と整備の3つに限られていました。
イラクは、砂漠ばかりで水が無いというイメージですが、佐藤隊長は著書「イラク自衛隊『戦闘記』」の中で、

「給水活動というといかにも水が不足しているように聞こえるだろうが、イラクには水はある。イラクはメソポタミア文明の発祥の地だ。チグリス川とユーフラテス川という二本の大河が流れている。われわれが活動したムサンナ県にはユーフラテス川が流れていて、水は豊富にあった。」

と書かれています。
水はあるけど、井戸のポンプが壊れてて水が出ないのかー。
井戸のポンプの修理をしてあげるのは簡単でしょうが、自衛隊が帰った後、ポンプが壊れてしまった時にそれを修理をできる人材を育成していなければ、また井戸は使えなくなってしまいますよね。
こう考えると、佐藤隊長のおっしゃっていた、
「復旧と復興は言葉は似ていても、意味合いはぜんぜん異なる」
というのが、ずっしりときますね。
















クウェート所在部隊業務報告(陸幕展開支援班・クウェート分遣班)
その他(教訓・要望事項等)
主力第1波の受入のため、レンタカー数を増加して対応しているが、レンタカーの借用のためには、パスポート及び国際運転免許証が必要なため、クウェート所在要員には、国際運転免許証を取得させることが必要。


来てみて初めて分かることも多かったのでしょうね。
でも、こうして教訓として伝えることで、今後来る交代要員の人たちは、あらかじめ国際運転免許証を取得してから派遣に臨めると。