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ウィーンから帰国したお客さん

2011-04-08 19:27:00 | 調律師の仕事
古くからのお客さんでヴァイオリン奏者の方が、ウィーン短期留学から戻って調律の依頼があり昨日伺ってきた。
年に一度2週間、ウィーンで同じ教授にレッスンを受けていて、今回1年おきに行っているリサイタル前におさらいをしてもらうべく渡欧したのが3月上旬。
3月11日をウィーンで迎えることになってしまってからの怒涛の日々のお話を、色々と聞かせてもらった。
戻る予定の便が成田に飛ばない、その後の便も成田行きが取れず、関空から伊丹経由で帰る振り替えになるということだったけど、国内便はヴァイオリンケースを機内持ち込みできないそうで、その状況ではとても帰れないということで、成田便が取れるまで10日間延長してウィーンで待ったそうだ。
IAEAのあるウィーンでの報道は日本とは大きく違っていたわけで、帰らないほうが良いと多くの人に説得されたそうだけど、4月下旬に決まっているリサイタルをキャンセルするにしても戻らないわけにもいかないし。
やっと戻って東京ののんびりさ加減に唖然としたということだけど、その辺は地震後の交通や流通の混乱を目の当たりにしていなかったり、都内在住で計画停電についても実感がないということはあるでしょうが、原発事故についての報道の大きな違いについてのお話は生々しく実感させられました。
去年のミニコンサートでゲスト出演された声楽家の方は陸前高田市の出身だったため、昨年春にそこでも一緒にコンサートを行っている思い出深い地ということです。
その声楽家の方のご両親はなんとか命は助かったけど、ご自宅は流されたそう。
ステージマネージャーの方は相馬市のご出身で、お母様は入院中に被災され、孤立した病院から別の病院に運ばれたけれど残念ながら亡くなられたそうだ。
悩みに悩んだけれど、リサイタルは予定通り行うことにしたということで、来週からリハーサルに使うご自宅のピアノを調律させて頂きました。
コンサートのプログラムの正規の印刷は間に合わないので簡易な物に変えて、その費用や集った義援金を陸前高田市に送りたいというお話だった。
23日にJTアートホールで行われるリサイタルのチケットを買わせて頂いたので、母と一緒に観に行く予定です。


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