100
2015/06/25 《飲めぬのに酒強ひられき職退きて新茶の一服のんびり縁で》 (毎日新聞やまと歌壇 評)
2015/06/11 《裸の子を服持ちて追う若き母を久々に見る小児科待合》 (毎日新聞やまと歌壇)
2015/06/03 《子を強く叱りしことは忘れ去りわれは深夜に囲碁ゲームに興ず》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2015/05/29 《ひとり身の訳など聞かばつらからうこちらは元気と電話を置きぬ》 (産経新聞奈良歌壇)
2015/05/27 《もうすでに摘みし人あり寺川の急斜面登り蓬をさがす》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2015/05/01 《子ら孫ら引き連れそぞろ花まつりみたらし団子の行列につく》 (産経新聞奈良歌壇)
2015/04/22 《黒猫の二匹じやれあふ見つめつつわが齢思ひ飼ふをあきらむ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2015/04/20 《音程の少しずれたる風に乗りコンドル飛び来真昼の畑に》 (NHK短歌 永田和宏選)
2015/03/20 《校歌など疾つくに忘れてお開きは恩師の好きな青い山脈》 (NHK短歌 永田和宏選)
2015/03/04 《寒に入り炬燵は魔もの吸ひこまれ首だけ出してテレビ見てゐる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
90
2015/01/29 《かたまりて廃品回収する子らは白き息はきペコリとお辞儀》 (朝日新聞朝日大和歌壇) 90
2015/01/21 《隣との間隔きちんと測りつつ玉ねぎ千本植ゑ終へて冬》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2015/01/14 《劇場に大歓声の湧きおこりき黄色いハンカチあまたはためきて》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2015/01/07 《十五年乗りし車の前うしろのへこみを撫でて今朝別れたり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/12/11 《村中の風の抜け道人まばらスマホ片手の車が通る》 (朝日新聞朝日大和歌壇)
*
2014/11/12 《目が合ひて膝にすわり来る白黒猫ゐのこづちの実をわれに取らせる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/10/23 《守り来し三百年の当屋相撲 女人解禁少子化に負けて》 (朝日新聞朝日大和歌壇)
2014/10/22 《口論の間あひ計りて入り来し十九年を暮らしし猫はも》 (NHK短歌 梅内美華子選)
2014/10/08 《八月を過ぐれば結球せぬといふ母の教へにけふ白菜を蒔く》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/09/10 《南京の垂直栽培は棚を抜け伸びたる蔓は鉄塔と競ふ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
80
2014/08/26 《六人の兄弟姉妹を見送りて幼き日日を語る叔母はも》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/08/05 《繰り返す同じ映像飽きあきてコマーシャル見ればときにおもしろ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/07/29 《青鷺は一点見つめて動かざり早苗田の鉄塔しづかに揺るる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/07/24 《早苗田に建築クレーンが伸びてきて核家族化がまた進みたり》 (朝日新聞朝日大和歌壇)
2014/07/20 《二人きりなりて一年なにもかも四分六に切り妻と食ひゐる》 (NHK短歌 斉藤斎藤選)
*
2014/07/08 《生ごみの堆肥のなかに発芽せる南瓜八本択びて植うる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/07/03 《この年の同窓会は黙祷からわれらも考ふ歳になりたり》 (朝日新聞朝日大和歌壇)
2014/07/01 《六百本の太き玉ねぎ軒下に縛りて吊るす母なししごと》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/06/24 《先生の手を離したる園児らは蓮華畑をまろびまろべる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/06/12 《寺川を皐月の風が吹き抜けて光の粒が堰つつみ込む》 (朝日新聞朝日大和歌壇)
70
2014/05/27 《寅さんの映画見終へて寺川の桜の下の蓬を摘みぬ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/05/21 《早期退社したるわれには花束もおめでたうもなし言ふてはならぬが》 (NHK短歌 斉藤斎藤選)
2014/05/20 《手にしたる岩波文庫の万葉集 いや重け吉事より読み始む》 (讀賣新聞大和よみうり文芸 評)
2014/04/22 《流し雛巡り合はせの身代りは細き目のままわれを見つめる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/04/13 《母のため作りし手摺けふはわれしかと掴まり膝を庇ひぬ》 (奈良県万葉短歌祭)
*
2014/04/02 《大寒も風がなければ暖かし脚立にのりて柿の枝切る》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/02/11 《お千代さんの「あひたいなー」が流れ来て戻れない日を想ひめぐらす》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/01/28 《もうわれを諫むる人はなくなりぬやんはり諭しし亡き母憶ふ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2014/01/26 《指さしてTHATと教ふを後悔す徒歩一時間伝はらざりし》 (NHK短歌 斉藤斎藤選)
2014/01/21 《するすると古老数人木にのぼり心配よそに剪定すすむ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
60
2014/01/07 《収穫も終りとなりてうら寂し明日にしやうか南瓜の二つは》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/11/26 《オリンピックの招致活動すさまじやその精力を注げ復興に》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/11/05 《猛暑日の続くさなかの冬支度キャベツの種を多めに蒔きたり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/10/22 《五十回の入選記念に手作りの歌集を編みぬ軌跡たどりつつ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/10/01 《生り口の真白くなりて爪立たず小暑の朝の南瓜収穫》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2013/09/24 《から梅雨の真つただなかの短歌会窓打つ雨に拍手がおこる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/09/17 《職退きて新しき出会ひ始まりぬ囲碁の翁と短歌の媼》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/09/10 《勲章なく勤めを終へて畑を打つ名知らぬ草と共に生きつつ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/09/03 《また留守とさみしげに妻は受話器置く日曜の定時の子への電話の》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/08/06 《池の鯉ごぼつと体をよぢりたり黒き鱗は濁りへと消ゆ》 ( 讀賣新聞大和よみうり文芸)
50
2013/07/30 《身を賭して渡航なしし鑑真和上の里帰りかなふ千二百年を経て》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/06/25 《面塚の桜はまだかとブログの友けふ満開と写真載せたり》 ( 讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/06/04 《つまるところ他人事として見てをりぬ遅ち進まざる復興のさま》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/05/21 《二月の野に微小粒子の飛来して山やま霞み大空かすむ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸 評)
2013/04/16 《この年は一本減りたる恵方巻亡き母の好む甘さそのまま》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2013/03/26 《寒の日を幼に戻り突きたり張りたる氷のつめたさ楽し》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/02/26 《晴れ女最後のさいごも晴れ女十月の空に母を送りぬ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/02/19 《一人逝きまた一人逝くこの年の急な冷え込み身体に沁むる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/02/13 《このままの病状続けと願ひしも一日二日と医師は告げたり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸 評)
2013/01/22 《妻とわれも母の病室に暮らしたり小さき机に広ぐる弁当》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
40
2013/01/15 《寒き秋きのふ雄弁けふ寡黙日び衰ふる母に付き添ふ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2013/01/08 《もうええわ、百まで生きたと言ひし母あんじようしてと医師に願へり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/12/11 《四十年精一杯に働けど妻に及ばぬ米磨ぎ教はる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/12/04 《選りに選つてこの日に台風襲来す月見あきらめ供への芋食ふ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/11/27 《朝日浴び古墳を泳ぐ鴨たちも千五百年の歴史語るや》 ( 讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2012/11/16 《子の寝顔のぞくがごとく朝夕を発芽せるやと畑見回る》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/11/06 《蚊取り器を二つぶらさげ草引きす顔に食ひつきし藪蚊放れず》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/10/09 《見るたびに大きな西瓜と母は言ひとぼけたふりでわれを喜ばす》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/10/02 《漸くに畑の盗人見つけしが愛くるしき顔のイタチを追はず》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/09/25 《デイの朝嫁に化粧をしてもらひ手鏡もちて母はほほ笑む》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
30
2012/09/18 《梅雨半ば今朝の目覚めの清すがし八キロの梅甘き香放つ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/09/04 《おでこには汗が出るまで浸かれよと言ひし母いま介護の入浴》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/08/28 《出不精の吾に届きたる子のメール、スカイツリーは空を突き抜く》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/08/07 《茄子胡瓜初もの二つ食ひ終へて妻らと笑ひぬ寿命延びむと》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/07/31 《インゲンは目のあるごとく正確に左に巻きて空に伸びゆく》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2012/8月号 《光陰矢気がつきたれば古りにしに囲碁と短歌を基礎より始む》 (NHK短歌 坂井修一選)
2012/07/17 《丸顔の同窓生が四角顔どいつもこいつも親御に似たり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/06/19 《わが母校へ幼入学す待ちまちし朝を花一片帽子にのせて》 (讀賣新聞大和よみうり文芸 評)
2012/05/29 《日曜を妻のかけをる長電話向かうの声が弾みて聞こゆ》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/05/15 《生きてきた証しに何か残したく早き目覚めに指を折りゐる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
20
2012/05/08 《看護師はごめんねと言ひ針を刺すその手のぬくもり胸までとどく》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/04/24 《十人のをみなに囲まるる短歌会おきな一人にまなざし優し》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/04/17 《九十過ぐれば早き一日らし目覚めのたびに日の進む母》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/04/03 《屋上に出でて眺むる二上山いつかは登らむ約しし人と》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/03/27 《大寒に赤黄青白傘の列跳ねる子駈ける子喋る子過ぐる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2012/02/28 《食べたこと記憶にないと言ひはじめ日日に老いゆく母を見つめる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/02/19 《寄り添ひて道端の落ち葉踏みしむる二人五脚の老老散歩》 (NHK短歌 坂井修一選 評)
2012/02/07 《若き日の血がざわめきて立ち止まり詰将棋解きぬ文化祭にて》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/02/02 《鴨去りて園児の声は静かなり落ち葉の濠に初氷見ゆ》 (朝日新聞大和歌壇)
2012/01/31 《青年は耳にささやき手をとりて恋人のごと祖母を介助す》 (讀賣新聞大和よみうり文芸 評)
10
2012/01/17 《天候も人の心もままならず砕けぬ土を砕きゆくなり》 ( 讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/01/10 《亀二匹が岸を離れて平泳ぎさざ波広がり大空揺する》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2012/1月号 《光より速き乗り物出来たとふあの日のあなたも一度会ひたい》 (NHK短歌 坂井修一選)
2011/11/26 《椋鳥の先頭一羽かじを切り分離融合群れて塒へ》 (朝日新聞大和歌壇)
2011/10/18 《デイサービス初日の様子を母が言ふ何度も何度も「風呂がよかつた」》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
*
2011/10/04 《雨の三日続けば胡瓜育つなり糸瓜のごとくぶら下がりをる》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2011/07/05 《町議選終へて人らにしこりなし静けさ戻りて胡瓜植ゑをり》 (讀賣新聞大和よみうり文芸)
2011/05/12 《鬱金香花びら二片頬につけ今が盛りの桜のもとで》 (朝日新聞大和歌壇)
2011/04/14 《映像に一瞬写りし小さき文字願いを込めた「あきらめるな」と》 (朝日新聞大和歌壇)
2011/02/24 《どか雪となりて見舞いの客も止み静寂なりし談話室午後》 (朝日新聞大和歌壇)
選者は
朝日新聞: 高岡哲二先生(2011/09/01~ )
: 鏑木正雄先生(2011/06/02 まで。2011/11/13 ご逝去)
讀賣新聞: 高蘭子先生
産経新聞: 筒井早苗先生
毎日新聞: 小谷稔先生(2018/10/18 まで。2018/10/18 ご逝去)