陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

眠れるミューズ、寝つけない夜のグッズ

2021-09-02 | 自然・暮らし・天候・行事

夏の残暑きびしく、まだまだ寝苦しい夜が続いています。いかがお過ごしでしょうか。
今回は睡眠に関する話題です。

20世紀を代表する現代美術家であるルーマニア人、コンスタンティン・ブランクーシの代表作に「眠れるミューズ」という一作があります。
ブランクーシはステンレス作品の表面を鏡のようにぴかぴかに研磨したことで知られる作風もあるいっぽうで、民芸品のように、単純な造形を積み上げて木のぬくもりがぽっと薫るような、作品「無限柱」シリーズもあります。ソロバンみたいなあの形の。ようするに、まあ、抽象造形の立体作家なのですけども、この「眠れるミューズ」という作品は、なにか、とてもつなくインパクトがあります。

この「眠れるミューズ」もシリーズ化しておりまして、真っ白な雪のような石膏像もあるわけですが、学生時代に私が観たのは黄金のものなんです。
マーク・ロスコの絵画を見たのと同時期だったはず。調べて見ましたら、日本ではDIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)に所蔵されておりました。

とにかくね、生首です。
オンナの首がごろんと横に寝転がっている。でも、首っぽくはない。これはね、はじめて見たとき、ほんと度肝を抜かれました。だって、彫刻ってふつう、頭部像であっても、台座があってそこからキノコみたいに、にょきって首が生えているもの。美術室の石膏によくあるギリシア彫刻のトルソとしての頭部でも、興福寺の仏頭でも、首があって屹立している。

でも、この首は寝てるわけです。転がっているわけ。
だから、「眠れる」なんですけど、これが女神? だって、この人、オンナっぽくないし、そもそも目が完全に死んでるじゃない(爆)!!って、のけぞってしまいますよね。あきらかにどこかで人生あやまって打ち首にされました、トホホ──みたいな残念感が漂います(傑作をそこまでけなしていいものか…)

「ふん、あたしゃ、もう人生に絶望してんのさ。まったくいいことないしさ。あーやだやだ、なんで、こんな目に遭うんだろうね。お天道さまが憎いよ、こんちくしょめ」とばかりに、ふてくされて寝てる、やさぐれオンナみたいです(酷)。いや、ブランクーシの連作中のモノによっては穏やかに見えないこともないのですが、どことなく覇気がなさそうな感じ。くぇ、くえ、くぇ、チョコボ~る♪って歌い出したくなるような丸っこさ。

なにが違和感かといいますと、アーモンド形のサイボーグみたいな瞳とおちょぼ口。
ひと昔前はほら、あの矢追進さんのUFO番組でよく出てきたエイリアンに似てる。とにかく、頭が大きすぎる。それに尽きます。

そして、私はあるときになると、かならずこの像を思い出すときがあります。
それは、たまーに、ひどい頭痛がして横になっているとき。あ、私、あの不気味なオブジェみたいになってる、と思ってしまう。

みなさんは、ご自分の頭の重さ気になりませんか?
私は胴体に対してさほど顔が大きいわけではない、さりとて小顔というほどでもない、割合なのですが、どうしたわけか、頭が不必要なほど重いんじゃないかと思ってしまうことがあります。

それは買ってきてふわふわだった枕がすぐに潰れてしまうとき。
他の家族が寝ても、弾力を保っているのに、なぜか私がつかうと、ぺしゃんこになる。で、疑惑があるわけです。ひょっとしたら、自分は見かけ以上にアタマが異常に重いのではないか、と。

ここまできて、コイツ、自分が脳みそ詰まってるからって自慢したいんだろうと思った方もいると思いますが、あいにく、アタマの重さとアタマの良さは比例しませんので、あしからず。たとえば、天才物理学者のアインシュタインはたいへん軽くて、1230g、いっぽう詩人のツルゲーネフの脳は2012gと言われています。男性の脳の平均値は1400g、女性だと1200gぐらい。

で、確信はもてないのですが。
私が思うに、脳の重さというのは、明晰さではなく、むしろごちゃごちゃと整理されない情報が入り込んでこんがらがっているために重くなるのではないか、と。難解な数式を解ける天才脳より、鬱々とした作家や詩人みたいな、毒にも実にもならぬようなことをつねづね、じくじく考えているようなタイプのほうが重いのではないか、とこう推察するわけです。パソコンで言いますと、デスクトップにごみファイルがたくさん溜まってるような状態ですね。最近ではこういうひとをHSP気質とか呼ぶらしいですが。

で、そんな枕キラーの異名をとってしまう私ですが、つい、先日家を整理していたらお宝グッズを発見。それは籘まくら。

さっそく試してみましたが、丈夫なので頭が沈みこむ気持ちわるさがありません。いつもですと、砂の中に埋もれていくような怖さがあったのですが、頭が高いまま。しかも通気性もいいので、髪の毛にもやさしいです。この籘まくらってすごく軽いですし、中が空洞なので、メモなども仕込めるし、脇息がわりにも使えていいですよね。しかも、どことなく、アジアンテイスト(謎)。涼感があるのでとても快適。もう夏場も終わってしまう時期に発見してしまったのが残念ですが、もうすこしお世話になってみせます。ただし、枕投げにつかったら、絶対痛いやつ!

そういえば、昔、テレビ番組で煉瓦にタオルを巻いて寝ている人を見かけたことがあります。頭は適度な高さを保ち、堅めの枕が似合うという方もいるそうですね。やっぱりアタマの重さが関係しているのでは、と思わざるをえません。

2021年現在放映中の大河ドラマ「青天を衝け」でも、草薙くん演じる徳川慶喜公が御幼少のみぎり、寝相がよろしくないので、枕の側に抜き身の刀を置かれたという恐怖エピソードがありましたが、あれ、史実なんですね。


(2014年8月29日付け記事を加筆修正して再掲載)

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