陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

勉強ができるには部屋のレイアウトも重要

2021-08-31 | 教育・資格・学問・子ども

最近は東大生などによる勉強本やら、人生再設計を考える中年リーマン向けの資格取得本やらを書店でよく見かけます。
学業成績だけが人生のすべてではないですが、けれども、やはり勉強する姿勢が身についた人は物事を深く洞察する人が多いので、なんとなく気が合います。条件反射的にネットの情報を鵜呑みにしないし、表現力があるので飽きないし、善悪の判断を人気だけで量らない。すぐ他人を論破したり、わざと反対のことを持ち出して勝ったような気になる方は正直、知性があるように感じられないです。

最近はIT学習もあるので、スマホやタブレットひとつさえあれば、どこでも学習できる。そう言われていますが、実際、手書きで字を覚えたり、本の読書をする人のほうが学習効果が高いというデータもあるようです。IT系の資格のようにリモート受験できるならともかく、当面、学校のテストや大学入試、国家資格レベルの受験は机上で紙に筆記して、というスタイルは変わらないのではないかと思われます。となると、日頃から、机にどう向かうかが学習上大事なこととなる。

意外にも、お勉強本には、この学習環境を整えるということが指摘されていなかったりしますよね。
高級食材や豊富な調味料を揃えても、調理器具が優秀でも、あまりに使い勝手の悪い狭すぎるキッチンでは満足に料理できないのと同じです。

私は国立大卒、地元県では進学校と呼ばれた公立高校卒。
おかげでへっぽこ氷河期世代で何度も転職したにも関わらず、再就職であまり苦労したことがありませんでした。士業資格を三種も取得していたのもよかったのでしょう。一般的にはお勉強ができるイコール仕事もテキパキできそうと思ってもらえる部類の人間です。本人の頭脳がほんとうにいいかはさておき(苦笑)

そうした自分の環境を思い返すに、気になったのは子どもの頃の学習環境。
子ども部屋はきょうだい三人共用だったのに、私だけ特別に廊下側に専用スペースをもらえたのです。その廊下は陽当たりもよくて広い。勉強机の横には書類の積める作業台もあって、その上に三段のボックスも置ける。正直、実家はあまり広いとは言い難いのですが、中間子の私だけ特別待遇でした。その甲斐あって、塾にも通わずに志望校に合格できたのはよかったです。学費の高い私立なんて行けなかったので。

でも、私はいつも服などは上の子のおさがりばかり。車だって、成人式の着物だって買ってもらえなかったし、大学へも仕送り無しでバイトでやりくりしました。でも、あの子ども時代の学習環境だけはとても恵まれていたのです。うちの親は子どもの適性を見極めていたからでしょう。

私の旧友は小学校時代とても優等生で通っていたのに、二段ベッドに姉妹の勉強机を横に並べていた子ども部屋でした。
親が大企業のリーマンで海外旅行に行くなど贅沢な暮らしをしていたし、塾にも教材にもお金をかけたのに、けっきょく志望校を諦め滑り止め受験。就職先で挽回しようにも、氷河期で大企業は狭き門。もし、彼女がきちんとした学習環境を与えられていたら、もっと勉強が好きになっていて、生き方や考え方は違っただろうと思うのです。親が勉強しなさいと口酸っぱく言う割には、最良の環境を与えられていないことがある。親自身が、どんな環境だと集中できるか理解していないから。

実は私の幸運な環境は、大学へ進学してもそうでした。
最初は狭い学生寮で勉強していたけれども。学部三回生ぐらいになると夜の研究室へ出入りを許され、院時代にはすっかり住み込み状態に。書架の管理の代わりに、大学教授の座るデスクやPCを自由に使わせてもらえたので、研究がかなり捗りました。他の学生にはないアドバンテージでしたね。

逆にその後の渡り歩いた職場では、デスクの配置が酷くて集中できない、なぜか体調不良になることもしばしば。若い頃あまりに恵まれすぎたせいなのでしょう。正直、自宅のほうが捗るので機密保持の範囲で仕事を持ち帰っていたこともあります。今も自宅のほうが居心地がいいですね。会社に行くのがすこぶる楽しい、休日もお出かけ三昧の方は、今のお住まいでやや窮屈な生活をしているからではないでしょうか。

最近はお子さんをリビングで学習させたほうがいい、というブームがあります。
しかし、すぐ横で親がテレビなりスマホなり眺めていたり、部屋にものが溢れすぎて狭かったりしたら集中できるはずがない。

勉強できる部屋のレイアウトは、窓が横にあって自然光が優しく入り、机の前に窓がないのが理想とされています。風水上の方角もあるでしょうが。
社会人になれば、机の横にサイドテーブルなりの作業スペースがあるのがいい。長い机をふたつくっつけてL字型の配置にしたり。引き出しの多い書類棚を併置したり。私は机の前にカラーボックスを積み上げて、本棚にしています。顔をあげたときに、目前に書類や本の背表紙が目に留まるとやる気がでるからです。もちろん、漫画などのお楽しみグッズはふだんは目の届かないところへ封印。パソコンもなるべく別の専用テーブルで使用するようにしています。

ただし、一番いいのは、どこでも勉強できる熱意と集中力をもつことです。
上記と矛盾しますが、電車のなかでや学校の机など、限りある狭いスペースであっても細切れ時間に不足なく学習できる習慣づけを行うこと、これが大事。自宅でいい環境で勉強していると、勉強するイコール気持ちいいこと、という脳の回路ができあがるので、場所を移しても集中できるようになるんです。

そんな私ですが、最近はスマホ多用のため、デスクに向かう時間を減らしてしまい、学習意欲が少々減退気味です。こんな時期だからこそ、もっと学んでおきたいことは多いのですけれど。

ところで、真に天才と呼ばれるひとはどんな環境で勉強したのか、そこは気になります。意外と机のうえでガリガリ勉強するタイプじゃなかったとか?

(2021/08/18)


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