陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

氷上の青い貴公子、頂上対決(一)

2010-11-11 | フィギュアスケート・スポーツ
GPシリーズ中国杯2010で注目を浴びたのは、四回転アーティストの異名をとるフランスのブライアン・ジュベール選手。バンクーバー五輪では、15位に沈んだものの、男子シングル大会の常連だ。過去のGPシリーズで、中国を除く五大会すべてを制覇してきた強豪。向かうは両親共にフィギュアスケート選手で父は五輪経験者という銀盤のサラブレッド小塚崇彦選手。

NHK杯では高橋大輔・羽生結弦・無良崇人の三選手(NHK杯フィギュアスケート総集編(二))が、すでに四回転を成功させた。小塚選手はバンクーバー五輪では、日本人で唯一四回転を成功(氷上のエース、初快挙!(後))させるという偉業を成し遂げた。とうぜん、中国杯でも四回転が勝敗の行方を左右するかと思われる。だが、事態はそうはならなかった。

四回転を勝負の鍵にして中国入りを果たしたのが、高橋選手とおなじ関西大に通う20歳の新鋭、町田樹選手。20歳という年齢は、すでに15,16歳にして表彰台を脅かすような日本のフィギュアスケート界にあっては決して「青い」とはいえない年代ではあろう。

九月のネーベルホルン杯ではその先輩もかなわなかった四回転を決めて、シニアの国際大会では初優勝を飾った。四大陸選手権では銀メダリスト。
SPの曲は、ロシア民謡の「黒い瞳」。完成度の高いトリプルアクセルを決めると、コサックダンスのような弾みのある演技をみせた。憧れのエースに近づこうとするかのように、エッジを生かしたステップにも取り組むものの、三回目のトリプルルッツを両足の着氷にするなどのミスがあって、66.78点。

翌日のフリーは、映画「果てしなき想い」より「レジェンド・オブ・フォール」
自信を持って跳んだはずの四回転、および後半部のトリプアクセルでの転倒などミスがあったものの、最後の三連続ジャンプはかなり高く決めて成功。全身で豊かに曲調を表現していく演技力で補ってか、総合200.95点というスコアを叩きだした。結果としては五位入賞。ミスがなければ、表彰台入りしてもおかしくない内容だった。

SPの最終滑走となったのは、チェコスロバキアのトマシュ・ベルネル選手。
バンクーバー五輪では十九位とふるわなかったが、GPシリーズのGPファイナルにはニ度出場のベテラン。絶好調の時には他を寄せつけない超絶の演技をみせるという24歳。

SPの演目は、名作ミュージカル映画「雨に唄えば」。左手に傘をもって恋人にさしかけているかのような甘い雰囲気を漂わせるステージ。トリプルフリップ・トゥーループをみごとに美しく決めたものの、二回目のジャンプでは乱れて、70.31点。この時点では三位だった。

フリーでは、目の醒めるようなイブ・クラインブルーのトップと、黒いボトムで登場。
しかし、曲目は「マイケルジャクソンメドレー」。この曲は、NHK杯でフランスのフローラン・アモディオ選手が踊って(NHK杯フィギュアスケート総集編(三))話題になった。さながらショータイムのような楽しさがあって観客を沸かせるにはじゅうぶん効果があるが、マイケルを意識しすぎると振り付けが類型化しすぎて新鮮味が薄れる恐れもある。
後半のジャンプの軸がずれるなどの難はあったが、加点率の大きい後半で五本のジャンプを決め、特に三連続で締めくくった部分は見どころだった。ステップシークエンスでは思う存分弾けて踊りくるって、144.50点を頂いて、総合では214.81点。最終的には銅メダリストになった。


【参照】
テレビ朝日フィギュアスケートGPシリーズ世界一決定戦2010公式サイト

【フィギュアスケートGPシリーズスケジュール】
【過去のフィギュアスケート記事一覧】

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