歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「良寛と子守」 りょうかんと こもり

2011年11月06日 | 歌舞伎
所作(踊りね)です。新作です。昭和4年、坪内逍遥作です。

越後の有名な僧で歌人の良寛和尚の人となりを描写した、ほのぼのとした作品です。
子供好きで有名だった良寛が題材なので、子供がたくさん出てくるので楽しいです。

子供が、さまざまなわらべ唄を歌いながら遊ぶシーンがまずあります。
今の「花いちもんめ」にあたる歌が、ビミョウに違う歌詞だったりするのが興味深いです。

良寛さま登場です。
ここで子供たちが良寛さまに「一貫」「二貫」と言ってからかうのですが、
ここの意味がワタクシわからなかったのですが、
「いっかん」
「にかん」
「りょうかん」
かー!! 最近やっと気付きましたすみません。

いつも持っている大切な托鉢用の鉢をどこかに置き忘れたことに気付いて泣き出す良寛さまですが、
子供になぐさめられて元気になり、みんなで毬つきをします。
負けて、罰ゲームでお話をします。
お話部分が踊りになっています。

須弥山にいた狐と犬と兎の物語です。
行き倒れの旅の僧を介抱した3匹、主に働いた犬と狐にたいしてあまり仕事をしなかったウサギ、
その身を恥じて、自ら焚き火の中に飛び込んで旅の僧に食べてもらおうとします。
旅の僧の姿が仏に変わり、ウサギの心をほめて月に連れて行きます。
ウサギは今もごほうびに月にいるのです

というような話です。
子供たちも感動して泣きます。
さらに次に負けた子が歌を歌ったりとかがあり、
目隠し鬼ごっこで良寛さまは取り残されます。

農夫がやってきて、良寛さまに、なくした鉢を返してくれます、
良寛さまは喜んで、農夫を菩薩と拝むのでした

終わりです。
むしろ寸劇です。
当時の子供の遊びの風俗描写にもなっているので、風俗史的にも興味深いです。


=50音索引に戻る=





最新の画像もっと見る

コメントを投稿