2013年4月5日の衆議院予算委員会の国会中継を聞きました。質疑は
大変興味深いものでありました。この予算委員会では以下の様な指摘が
ありました。
日本の原子力発電に関する基準が国際基準とかけ離れている。スリーマイル島や
チェルノブイリの原発事故のあと、欧米の原子力規制はより高度になっているにも
拘らず日本は安全神話がまかり通り過酷事故に対する対策が全くなされて
来なかった。日本は過去の国内外の原発事故に何も学ばず事故防止策を
放置して来た。海外の原発立地基準は多くが地震帯を避けて作られているが、
地震国日本は欧米より原子力基準が大幅に甘い。米国NRCのロゴビンレポートで
提起された「避難計画なくして稼働計画なし」と言う考え方は未だに日本にはない。
福島第一原発があれだけシビアアクシデントを起こしていながら未だこの考え方は
ない。
丁度この予算委員会の討議中になんとも皮肉な報告がなされました。以前の
ネズミによる仮設配電盤の事故については二度と起こらないよう万全を期すと
東電社長が答弁した直後、14時27分に福島第一原発3号機の燃料プールの
冷却システムが停止する事故が発生した旨茂木経済産業大臣が報告しました。
この事故は発生から3時間後に解決しましたが、何おか況やです。
欧米は日本と事情も異なり一概に比較は出来ませんが、欧米の原発政策は概ね
脱原発の方向に進んでいます。原発大国であるフランスは福島第一原発事故の後、
20~30年掛けた段階的停止に賛成する国民は77%に上っています。ドイツは
2022年までに17基全ての原発を閉鎖することを正式に決定しています。アメリカは
原発新設はコストに見合わないと計画を断念し、2020年までには再生可能エネルギーを
5割導入する目標を決めています。ベルギーやスイスも脱原発を決定しています。
日本は核廃棄物の処分について最終的な処分方法、処分場など全く方向性が
出ておりませんが、フィンランドはオルキルトを高レベル放射制廃棄物の最終処分場と
決定していて、1992年に特性調査施設の建設を開始しています。スウエーデンは
2009年に高レベル放射性廃棄物処分場をフォルスマルクに建設することを決定
しています。
これだけ欧米との思考の隔たりを考えると、今まで日本民族はアングロサクソン、
ゲルマン、ラテン、スラヴなどの民族と比べ何ら能力が劣るとは思いませんでしたが、
これを修正しなければならないかもしれません。