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猪熊隆之の観天望気講座168

2021-06-22 14:49:37 | 観天望気

~雲から梅雨期の天気を予想する~

今年は、西日本と東海地方で記録的に早い梅雨入りとなりました。6月上旬の時点で、関東甲信以北ではまだ梅雨入りしていませんが、西日本が梅雨入りしたときは、梅雨が始まったかのような悪天が続きました。これを”走り梅雨”と言います。

 さて、観天望気のキホンは、西の空を見ること。それは、日本の上空は夏を除き、偏西風と呼ばれる西風が吹いているからです。この風に乗って低気圧や高気圧が西から東へ進んでいくので、西から天気が崩れることが多くなります。

 しかしながら、夏は偏西風が日本より北へ移っていくのでこの原則は当てはまりません。また、梅雨時は上空を偏西風が吹いていますが、梅雨前線が南から北へ移動していくこともあり、前線の動きを見て、どの方角の空を見るのか決める必要があります。

 

 先日、悪天の合間のわずかなチャンスを掴んで新潟県の五頭連峰に行ってきました。この日の午前6時の天気図が図1です。

図1 午前6時の天気図(気象庁提供)

天気図を見ると、高気圧の中心が五頭連峰付近にあり、梅雨前線は関東の南海上にまで南下しています。一方、21時の予想天気図(図2)を見ると、図1で揚子江(長江)河口付近にあった低気圧が朝鮮半島南部に進み、梅雨前線は西日本で大きく北上しています。

図2 21時の予想天気図

五頭連峰付近では南西(天気図の左下)から北東(同右上)に進んで、南西から前線が接近していることがわかります。このため、天気は南西から北東へと悪化していきます。今回見なければならないのは南西側の空です。

さて、それでは雲の変化から悪天の前兆を掴んでいきましょう。

写真1 青空が広がった五頭連峰

朝は高気圧の中心が五頭連峰付近にあり、青空が広がりました。麓(新発田市)から見ると、五頭連峰の奥にうす雲(巻層雲)が広がっていますが、南東側の空にあるので天気に影響はなさそうです。

写真2 東側の空は青空

稜線に出ても晴れの天気は続き、東側の空は晴れて残雪に輝く飯豊連峰がバッチリ見えました。

写真3 南側の空は薄雲が広がる

一方、南側の空には薄雲が一面に広がっています。この雲は西から東へ動いているので、午前中は、北側にある五頭連峰に広がってくることはありませんでした。

写真4 日本海方面の空

日本海側の山では、日本海がある方角の空もチェックしましょう。五頭連峰では南西から北西にかけての空です。

それは、日本海方向に発達した雲が連なって(写真5)接近してくるとき、天候が急変するからです。写真4は日本海の方角を見た空ですが、目立った雲はありません。天候急変の心配はなさそうです。

写真5 日本海側の山では、日本海に雲が連なってそれが接近してくると天候が急激に悪化する

さて、天気図から午後は次第に天候が悪化すると予想できたので、昼過ぎに下山。その後、車で自宅のある信州へと向かいました。北陸自動車道を西に向かっている間に、南西側の空からおぼろ雲(高層雲)に覆われ、上越市に入る頃、妙高山の南側の空が暗灰色の雨雲(乱層雲)に変わっていくのが分かりました(写真6)。

写真6 おぼろ雲に覆われた新潟県上越市と、その奥にさらに暗い雨雲が出現

写真7 雨雲の覆われ始めた妙高山

さらに車を南に進めて妙高市に入る頃、雨が降り始めました。梅雨前線の北上とともに崩れる空を実感した一日でした。梅雨前線の動きと空の変化が見事にリンクしていました。

 

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

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