~並の冬型のときの北アルプス~
前回は弱い冬型のときの北アルプスの天気と雲の様子について解説しましたが、今回は冬型がもう少し強まって「並の冬型」(平均的な冬型)になったときの状況について解説させていただきます。
写真1 塩尻市付近からの常念山脈と後立山連峰
上の写真は平均的な冬型のときに見られる、北アルプス付近の雲の様子です。安曇野盆地や松本盆地は青空が広がっているのは弱い冬型のときと同じですが、蝶ヶ岳は雲の中からかろうじて見える程度、常念岳や燕岳、後立山連峰は雪雲の中で全く見えません。見えるのは有明山など前衛の山だけです。写真2の冬型が弱いときと比べるとその違いが良く分かると思います。
写真2 冬型が弱いときの北アルプス南部の雲
それでは天気図でこれらの違いについて見ていきましょう。
図1 並の冬型のときの天気図(気象庁提供)
上図は写真1を撮った時間帯の天気図です。北アルプス付近(図中▲印)は等圧線が広い所から狭い所へと移りつつある場所です。一般に等圧線の間隔が広いときが弱い冬型で、間隔が狭いときが強い冬型ですから、弱い所から強い所に移るタイミングでの「並の冬型」ということになります。
一方、下図は写真2を撮った時間帯の天気図です。こちらは等圧線の間隔が広く、弱い冬型の気圧配置ということが良く分かりますね。
図2 弱い冬型のとき(写真2を撮影した時間帯)の天気図(気象庁提供)
天気図から山における雲の出方が読めるようになれば、一人前の登山予報士ですね。逆に、雲の感じを見て天気図をイメージできれば本物です。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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