山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座58

2015-04-02 22:37:09 | 観天望気

今日は、地形によって雲の発生場所が大きく影響を受けることについて学びましょう。

まずは、天気図でこの日の気圧配置を確認します。

上図を見ていただくと、日本の東に高気圧があり、東シナ海と朝鮮半島付近には低気圧があって東進しています。つまり、気圧の谷が日本付近に近づいている気圧配置です。また、等圧線の向きから南寄りの風が卓越していることがわかります。

下の写真は、お昼過ぎの高峰高原から見た八ヶ岳の写真ですが、既に気圧の谷に伴う高層雲に覆われています。

八ヶ岳の左側(東側)には八ヶ岳からたなびいているような帯状の雲が見えます。これは下層に湿った空気が入ってきている証拠ですが、なぜここだけに雲が発生しているのでしょうか?

それは、西日本から入ってきた湿った空気が、御嶽~乗鞍間の中部山岳の低い峠を越えて、中央アルプスと美ヶ原~車山の間を通り、八ヶ岳と南アルプスの間に入ってきていることと(下の地図参照)、その湿った空気が山にぶつかって上昇していることによるものです。

上の写真では、中央アルスプの手前側(北側)に帯状の雲が連なっています。湿った空気が中央アルプスと美ヶ原の間を通り、それが美ヶ原~車山の山稜にぶつかって上昇してできている雲を表しています。

上の写真では奥秩父の奥側(南東側)に雲が広がって、一部は滝雲のように手前側に流れ込んでいますが、これは天気図上で関東沿岸にある小さな低気圧に伴う雲が関東地方にかかり、それが地上の南東~南風によって奥秩父や奥多摩にぶつかって上昇していますが、雲の高度が低いので、奥秩父の主脈を越えられず、低い峠を一部の雲が越えてきていることを示しています。

このように地形によって湿った空気の入り方が変わり、雲の発生に大きな影響を及ぼしているのです。一方で、上空に広がっている高層雲は山よりもかなり高いところにあるので、地形の影響をあまり受けず、全天を覆っています。

山に行くと、このように地形による雲の発生の仕方が良くわかります。登山の際に雲のでき方をチェックすると面白いですよ。

※天気図は気象庁提供

※図、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

文責:猪熊隆之


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