今回は、高層雲(おぼろ雲)についてです。高層雲の「層」は一様で、なめらかな雲の意味です。
「高」がつくのは、もっと低い「層雲」と区別するためです。この高層雲は「くもり空」を連想させる代表的な雲ですが、「くもり空」から「雨」や「雪」に変わるときと、晴れていくときとがあります。今回は雨や雪に変わる、雨高層雲について書かせていただきます。
上の写真で八ヶ岳上空に広がっている雲は高層雲です。この段階では、雨高層雲かどうかはわかりません。
しかしながら、時間が経つと、この雲よりかなり低いところに別の雲が出てきました。緑色で囲まれた部分にある雲です。これは地上にかなり近いところにできる雲で、下層に湿った空気が入ってきていることを示しています。雨が近づいてきている証拠です。
このように、高層雲に覆われているとき、山の中腹や山麓などに別の雲が現れるときは、雨高層雲であることが多いです。
こちらの写真も高層雲に覆われています。さらに、山の中腹付近にいくつも雲が浮かんでいます。これも地上に近いところに浮かんでいる雲です。つまり、上空を覆っている雲は雨高層雲ということになります。
実際に時間とともに雲の高度は下がっていき、山を覆っていくようになりました(上の写真)。このように、高層雲の高度が低くなってきたり、中腹に別の雲ができるときは、雨が近いと判断しましょう。
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文責:猪熊隆之