今回はアスペリタス波状雲についてです。
何それ?という方が大半なはず。
聞いたことがある方は相当マニアックな方ですね。「天気オタク」の称号を差し上げましょう(笑)
実はこの雲、2017年3月に「国際雲図長」に新種の雲として登録されたばかりの出来立てホヤホヤの雲(発見されたのは10年以上前)です。
早速、その雲を見てみましょう。
写真1 南岳小屋からのアスペリタス波状雲(南岳小屋提供)
いかにも天気が荒れそうなオドロオドロしい雲ですね。その通り、雨が降る前によく現れる雲です。
このときも寒冷前線が日本海から接近して、この後、強い風雨になりました。
写真2 栂の森付近から見たアスペリタス波状雲
こちらは、つい先日、4月15日に栂池での空見&スノーシューハイキングの際に見られた雲です。
山麓では天気が回復していきましたが、このようなとき、山の上は大荒れの天気です。
この雲ができる原理はまだよくわかっていませんが、気象研究所の荒木健太郎氏によりますと、降水に伴う内部重力波が雲によって目に見える形になったものとされているようです。重力波というのは、簡単に言うと、重力を復元力とする波のことで、水に石を落としたときに波が伝わっていきますが、そういう波のことです。水と空気の境界のように密度が大きく違うものの境界で起きる波を外部重力波と言い、大気が安定している層のように、密度が連続的に変化している中で起きる波を内部重力波といいます。ちょっと話が難しくなりましたが、山岳波(さんがくは)も内部重力波のひとつです。
山岳波については、「猪熊隆之の観天望気講座78」http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/be6a157ac06620b914ad24234e3a0477 をご覧ください。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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