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猪熊隆之の観天望気講座100

2017-09-12 22:57:11 | 観天望気

遂に観天望気講座も100回です!長い間、懲りずにお付き合いいただき、ありがとうございます。

そろそろ本でも出そうかな(笑)

さて、今日は9月3日(日)に八ヶ岳で見られた、神秘的な現象についてです。

下記の写真には神秘的な現象が3つ見られます。

まずは、彩雲(さいうん)です。雲がピンク色や緑色などさまざまな色に彩られる現象です。昔から良いことが起きる前触れとして、「見たらラッキー」的な雲でしたが、実は非常にありふれた雲です。

この現象は、太陽の光が雲の粒を回り込んで進むことにより発生します(気象庁HPより)。その際、赤い光は波長が長いので、波長の短い光より大きな角度で雲の粒を回り込んでいくことから、光の進行方向が変わり、色が分かれて見えるようになります。また、雲粒の大きさで光の回り込み方が違ってくるので、雲粒の大きさが異なると雲の色も違って見えます。

この雲を見たことがない人は、空をあまり見ていない人です。たまには空を見上げるといいことがあるかもしれませんよ。

次は、波状雲(はじょううん)です。空気中に何等かの理由で波ができると、上下に空気が動いていくため、上昇している所で雲ができ、下降している所で雲が消えて畝(うね)のような雲ができる。池の中に石を落とすと、その波紋が広がるのと同じ原理です。こちらも良く見られる現象ですが、上の写真では波状雲が彩雲になっています。そうなるとややレアになります。

最後に穴あき雲(ホールパンチ雲)です。雲には水滴でできている雲と氷晶(氷の粒)でできている雲、両方が混ざり合ってできている雲がありますが、水滴でできている雲の中で、氷晶が発生します(飛行機雲が通過したり、雲の高度があがって冷やされたり、高い所から氷の粒が落ちてきたりするなどして)。そうすると、水より氷の方が成長しやすいので、水滴は蒸発し、蒸発した水蒸気が氷晶を成長するのに使われていきます。その結果、水滴が蒸発した所が穴が開いたようになるのです。

これはかなりレアな現象です!

下の写真は超レアな穴あき雲+彩雲です!

この日、八ヶ岳に行った人はラッキーでしたね!

※図、文章、写真の無断転載、転用、複写は禁じる。

写真、文責:猪熊隆之

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