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ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き、琉球諸島を巡る基地・戦争への道を問いかけ、自然を語る。●無断転載、お断り。
 

【拡散願います】西田昌司参議院議員(京都選挙区)の妄言を質すー5月3日から6月23日を経る中で

2025年07月09日 | 他紙執筆原稿

※本稿は『世田谷いち』(2025年7月1日第413号)に寄稿したものです。

連載―私は沖縄で何を視ようとしているのか? 連帯の道を探るために ② 
山本英夫(元世田谷区民/名護市在住/フォトグラファー)

《軽すぎる西田昌司氏の妄言》
 2025年5月3日(憲法記念日) 西田昌司参議院議員(1958年生まれ。2007年参議院議員初当選。京都選挙区)は、京都から那覇を訪ねて、妄言をかましている。神道政治連盟沖縄県本部、県神社庁、日本会議県本部からなるシンポジウムでのことだ。自民党沖縄県連は共催団体。
彼は「何十年か前にひめゆりの塔を訪れ説明を読んだが、日本軍が入ってきてひめゆり(学徒)隊が死んだ。そして米国が入ってきて沖縄が解放されたとの文脈で書かれていた」。こう語りながら、彼はそもそも「ひめゆり学徒隊」が何故,如何なる経緯で造られたかを語っていない。事実を確かめず、思い込みが過ぎる言説だ。彼が言いたかったことは、以下だろう。「沖縄の地上戦の解釈はかなりむちゃくちゃな教育になっている」、「自分たちが納得できる歴史をつくらないといけない」と訴えたように、改憲―戦争する国造りのために沖縄を利用することを露骨に意図したのだろう。

《沖縄での報道と反響》
 沖縄では、この翌日5月4日から連日報道されている。西田発言に一番怒っているのは、誰よりも「ひめゆり学徒隊」の生存者・遺族だろう。また1989年6月、「ひめゆり学徒隊」の皆さんが協力してつくり上げた「ひめゆり平和祈念資料館」の運営に携わっている方々だろう。普天間朝佳館長は、これまでの展示資料を点検し、「米軍の反攻によって戦争が終わった」という記述はないと説明している。
 問題は言葉の綾のような主張ではない。事実に向き合うことであり、「ひめゆり学徒隊」として経験せざるをえなかったことを証言してきた彼女たちの言葉を私たちが謙虚に受け止めることだろう。
しかし西田氏は、5月9日の2回目の記者会見(東京)でひめゆりに関する箇所について「不適切だった」と謝罪・撤回したものの、「TPO」にそぐわなかった発言だったからとしており、事実認識を改めていない。意味不明と言わざるをえない。
 自民党の小渕優子組織運動本部長すら「沖縄戦を経験した沖縄の皆さんの心を傷つけてしまった事実は変えられない。大変残念だ」(25年5月9日沖縄タイムス)と述べている。こうした反応は、参院選を前に、2026年の沖縄県知事選を意識したリップサービスに過ぎないのではないかと私は疑っている。

《沖縄県議会決議-2025年5月16日》
 2025年5月16日、沖縄県議会は維新を除く与野党間で以下の決議文を議決した。維新は「西田氏の発言は辞職に値する。早期の幕引きを狙う自民・公明の思惑に乗れない」と主張。
決議文は「西田議員による沖縄戦の実相を歪める発言への抗議決議文」「(経過―略)、沖縄戦体験者の証言や、沖縄戦研究から明らかになってきた事実は,国体護持を至上命令とする日本軍が1944年に配備され,本土決戦を遅らせるため沖縄で時間稼ぎの持久作戦を続け,本土防衛のための『捨て石』にされたと沖縄県史などに表現されている。日本軍は旧制中学校や旧師範学校の生徒たちを、ひめゆりをはじめとする学徒隊や鉄血勤皇隊などとして戦場に駆り出した。さらに,首里城の地下に造った司令部を放棄し、住民が避難していた本島南部に撤退した結果、軍民混在の状況の中、住民を巻き込んだ地上戦となり、県民の4人に1人の貴い命が奪われた。これらは日本軍の作戦による犠牲であることは紛れもない事実である。(西田氏の発言―略)これまで本県議会は『沖縄戦での日本軍』による記述について、『歴史的事実である県民殺害の記述が削除されることは到底容認しがたいことである』として,『教科書検定に関する意見書』を過去3度にわたり全会一致で可決してきた。/西田氏に求められているのは,戦後80年経った今も、癒えることのない戦争体験者や遺族の深い悲しみの声に真摯に向き合い,沖縄戦の実相・史実を正しく認識することである。/よって,沖縄県議会は再び沖縄を戦場にさせないことを表明するとともに、戦没者や戦争体験者を冒涜し、県民の尊厳を踏みにじる西田昌司参議院議員の発言に対して、満身の怒りを持って抗議するとともに、以下の事項を強く要求する。(記:1(西田氏に)「史実に基づかない自身の発言や認識が、ひめゆり学徒や沖縄戦体験者の証言を歪め、否定するものであったことを認めた上で謝罪し、撤回すること。2 自由民主党は,ひめゆり学徒や沖縄戦体験者の証言をゆがめ、否定した西田氏への厳格な処分を行うと同時に、党としての沖縄戦への認識を示すこと。3 自由民主党は,党所属議員が歴史の事実や戦争被害に対して無理解な発言を繰り返すことの重大性を直視し、再発防止のため,党内教育体制の再構築を速やかに実施すること」。

《6月23日慰霊の日に、石破首相が、ひめゆりの塔を訪問》
 石破首相は、今年の慰霊の日に参列した後、ひめゆりの塔、ひめゆり平和祈念資料館を訪問した。首相のひめゆりの塔などへの訪問は2012年の野田首相以来の異例なこと。何故訪れたのかについて明言されていないが、参院選を意識した行いだろう。彼の「不戦の誓い」なのだろうか? 私たちは政治家の言動を見極めていかなければなるまい。

《私が気に掛かること》
 この問題を、東京ではどう受け止めているのだろうか。私自身、この問題を書く段になり、何故歴史の書き換えが起きるのか、釈然としなかった。考えてみれば、沖縄以外の「国内」(旧植民地を除く)で地上戦が起きなかったからだろう。だから人々は日本軍に投降(白旗を掲げ捕虜になる)を禁じられていたが、そうなる場面に遭遇せずに済んだのだ。この違いは、沖縄と「ヤマト」の大きな隔たりとして今もあることを私は意識したい。

 



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