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職業安定所の求人票記載事項は労働契約の内容?

2013年04月22日 | 労務
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
職業安定所(ハローワーク)に掲載されている求人票の内容はそのまま労働契約の内容になるのでしょうか?入社したら労働条件が違っているような場合もあると思います。求人票はどのような位置づけと考えればいいのでしょうか?

これに関連する法律としては労働基準法と職業安定法が考えられます。これらの法律ではどうなっているかみてみましょう。
労働基準法では、使用者は労働契約の締結に際しては、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を書面の交付により明示しなければなりません。(労働基準法第15条)
したがって、ハローワークからの紹介であったとしても採用・契約時に新たに書面を交付し、その労働条件を明示しなければなりません。

職業安定法では、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者等に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。(職業安定法第5条の3)。

求人票については、申込みの誘引(※1)と考えられます。
(※1)申込みの誘引とは、他人に契約の申し込みをさせようとする意思の表示のこと。相手方(求職者)に申込みをさせようとする意思の通知であり、相手方がそれに応じて意思表示をしても、それだけでは契約は成立せず、申込みの誘因をした者(事業主)が改めて承諾をしてはじめて契約が成立する。

具体的には、職業安定所に掲載される求人票が、申込みの誘引となり求職者が職業安定所を通じて応募するのが契約の申込みです。そして、採用を決定し本人に通知することが、申込みに対する承諾となり、ここに労働契約が成立すると考えられます。

裁判例では、
「求人票に記載された基本給額は、見込額であり、(中略)最低額の支給を保障したものではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての額であると解すべきである。(中略)更に、求人は労働契約申込みの誘引であり、求人票はそのための文書であるが、労働法上の規制はあっても、本来そのまま最終の契約条項になることを予想するものではない。」としています。(八州測量事件、東京高裁、昭59.12.19)

また一方で、「公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は、当事者間において求人票記載の労働条件を明確に変更し、これと異なる合意をする等特段の事情がない限り、求人票記載の労働条件の通り定められたものと解すべきである」としたもの(平2.3.8、千代田工業事件、大阪高裁)もあります。

いずれにしても、求人票に記載された労働条件等については、面接時に事業主・求職者ともによく確認をして、のちのちのトラブルを発生させないためにも、労働条件通知書などを作成し誤解がないようにしたいものです。

著作権:山田 透


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