3 学校でのジェンダー平等の取り組みについて 宇田たか子 未定稿
「ジェンダー」とは、生物学的な男女の違いに対して、「男はこうあるべき」や「女なのに」など社会的文化的につくられた男女のイメージ、役割分担です。ジェンダー平等の社会とは、誰もが性別にかかわらず個人の尊厳を大切にされ、自分らしく生きられる、すべての人にとって希望に満ちた社会であり、国連で採択されたSDGsの目標にも掲げられ、今や世界的な課題となっています。ジェンダー平等に対して、ジェンダーが平等ではないという指標であるジェンダーギャップ指数をみると、日本は146か国中116位と、先進国といわれる国の中で最低レベルです。日本は、ジェンダー平等社会に向けて、様々な分野での努力、改善が求められています。
私が子どものころ女の子は家庭科で男の子は技術の授業と学ぶものが分かれていた学校教育、学級名簿は男女別で男の子がいつも先、ランドセルの色は男の子は黒で女の子は赤など、私自身が当時は当然だと思いなんの疑問も持たなかったことが、実はすべてジェンダーにもとづく差別だったということが今ではわかります。そこで、これからジェンダー平等社会を主体的につくり、生きていく子どもを育てる学校におけるジェンダー平等の取り組みについて伺います。
(1)学校におけるジェンダー平等について
学校教育の場では、教育課程に含まれることはもちろんですが、学校生活全体の中で、これは当然だと思われていることも含めてあらゆることをジェンダーの視点で見直し、ジェンダー平等に向けて取り組むことが求められていると考えます。そこで、本市の現状と課題について伺います。
(2)男女別の制服について
私は、4年前の一般質問で性的違和感を持つ子にとっての男女別の制服の問題について取り上げました。教育長は、文部科学省の通知を示し、「自認する性別の制服、衣服や、性差のない体操服の着用を認めている」と答弁されています。ジェンダーの理解がさらに進んでいる今、制服の問題は、性的違和感を持つ子どもが特別に許されるという次元ではなく、そもそも男女別の制服自体が問題だという課題ととらえるべきと思いますが、教育長の認識を伺います。
答弁 野沢教育長
(1)学校におけるジェンダー平等について
各学校では児童生徒の発達段階に応じて学級活動や道徳などの学習を中心に人権の尊重やジェンダー平等、男女共同参画について学び、互いの違いを認め合い、自分らしく生きる心を育むことができるよう指導しているところです。
これまでも学級名簿やランドセルの色などの他に教職員が児童生徒を「さん」づけで呼ぶことや児童会生徒会活動での役割分担に男女の枠を設けないこと、名札や上履きなどの性による色分けをしないことなどについて見直しをしてきたところです。
また、体操服への着替えについても男女別で部屋を分けていますが、希望に応じて個別に対応し保健室などでの別室での着替えを実施するなど児童生徒一人一人に応じた対応も行ってきました。
課題としては、日常の教育活動の中に例えば議員ご指摘のように「男子だから」「女子だから」といった言葉の投げかけなどジェンダーに対する無意識の思い込みがあることが挙げられます。また、トイレの使用や更衣室の使用などは様々な視点から配慮した対応を行う必要があります。このようにジェンダーにかかわる児童生徒への配慮と他の児童生徒や保護者への配慮への均衡をとりながら支援を進めることが重要であるととらえています。そしてそのようなことからも本人への支援とともに教職員を含めた周りの人たちが偏見をなくし理解を深めることが必要であると考えています。
教育委員会としては今後も学校におけるジェンダー平等の推進に向けて学校訪問等の機会を通して各学校に助言をしていくとともに、市教育研究所の人権教育研究部と連携した研修などを行っていきます。また、県の「学校における性的マイノリティへの理解促進に関する活動事例」や中学生などを対象とした性的マイノリティへの理解促進に関する講師派遣事業などを活用して、生徒のジェンダー平等の意識の高揚を図る学習の実施について指導していきます。
(2)男女別の制服について
制服の見直しについては学校ごとに取り組んでいるところです。これまで各学校において、生徒の思いや考えを聞きながら話し合いを行い保護者とも連携しながら取り組んできました。現在市内のある中学校では、ブレザーを制服とし、これまでは男子生徒はスラックス、女子生徒はスカートとしていましたが、昨年度生徒や保護者の意見を調査しながら制服の規定を改変しました。改変後は男女別の制服とはせずに、スラックスタイプとスカートタイプを選択し着用することができるようにしています。また、他の中学校においても、生徒会と話し合い、女子生徒がスラックスを選択できるようにした学校もあります。
教育委員会としても、これまで本人が着用したい制服の選択や体操着の着用を認めたりすることで共通理解をはかってきたところですが、男子生徒は詰襟の学生服、女子生徒はセーラー服というように固定的に考えられてしまっており、そのことについてどのようにジェンダー平等の視点で改変していくのかが課題となっています。
現在市内の各中学校では制服の在り方について、様々な形で検討を行っているところです。今後も市内各校の制服の見直しにおける取組の共有化を図るとともに、制服の見直しの進め方などについても助言し制服を自由に選択できる学校体制の推進を図っていきます。
再質問 宇田
今各学校で自由に制服を選択できる取り組みが進められるということで、これはほんとに重要なことだと大事なことだと思っています。先ほど教育長の答弁の中で、そうはいっても、性的に違和感を持つ子ども、そうではない子ども、そして保護者、いろんな思いがい合って、均衡をとることが大事だということもおっしゃいました。均衡をとることは大事かもしれないけれども、一番守られなければならないのは、当事者の子どもですので、そこんところ、どういうふうにお考えですか。
答弁 野沢教育長
性別違和感のある子どもたちが自分の性自認の集団に入っても、いじめられないとか、仲間外れにならない、そういった環境づくりは一番重要に考えていかなくてはならない。ですから、そういう思いをもっている子どもはもちろん先に対応していかなくてはいけないということが重要であると考えています。そういった意味でもSOGI、同性愛とか、両性愛とか、性的指向、とか性自認とか、そういうSOGIという概念を用いることで性の多様性が、性的マイノリティだけにかかわる問題ではなくてすべての人々が自分のこととして、性の多様性を学ぶ、そういう必要があると思います。まずそこをしっかりと子どもたちに教育し、また先生たちに周知していき、その中で性別違和感のある子どもたち、ジェンダーの平等に対しては、個別に大切に、秘匿義務もありますので、大切に対応していきたいと考えています。また、それに対しては、学校はチームで考えていきたいと思います。
意見 宇田
私が求めていることは、性的違和感を持つ子どもが特別に許されたり、許可されたりするだけではなくて、すべての子どもの問題として、たとえばスカートがいやだったらスラックスでもいい、詰襟がいやだったらブレザーでもいい、そういうことがほんとに自由に選択できる学校になってほしいと思っていますので、ぜひそういう取り組みを進んてほしいと、ただ一番守られなければならないのは当事者の子どもなので、そこのところしっかり取り組んでほしいと思います。よろしくお願いします。
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