日本共産党・宇田たか子です

ひたちなか市議会議員、現在3期目 奮闘中。
武力で平和は守れない、東海第二原発廃炉
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一般質問 「幼児教育・保育の無償化」で保育の公的責任を後退させないために

2019年07月03日 | 日記

遅くなりましたが、6月議会での私の一般質問の全文について、順次ご報告します。

10月1日から幼児教育保育の無償化が、消費税10%の増税による財源で実施されます。

保育料が無料になるのは、誰もが望むことですが、一番保育料の高い0才から2才児クラスについては、非課税世帯のみの無償化にとどまり、また認可保育所の整備や保育士の処遇改善は後回しにしての無償化は、こどものいのちの安全・安心の保育からは問題が多く、今まで築いてきた保育の公的責任を後退させるものとなりました。


2019.6月議会                             宇田たか子              未定稿

 

大項目の1 「幼児教育・保育の無償化」で保育の公的責任を後退させないために

幼児教育・保育無償化のための「子ども・子育て支援法改正案」が去る5月10日成立しました。翌日一斉に報道した新聞各紙は、

「幼保無償化 遅れる安全、認可外の指導監督強化不透明」朝日新聞、「保育ニーズ増加 不安 質低下」読売新聞、などと見出しを付け、ほとんどが改正法の不安な内容に言及しました。

無償化のための法改正になぜこれほどまでに、不安が広がるのか。

これまで乳幼児を預かる保育施設は国の「児童福祉施設 設備運営基準」により基準を満たした施設を認可施設とし、運営費など補助金交付の対象としてきました。そして認可基準を満たしていない施設を認可外保育施設とし、その認可外保育施設に対しても「認可外保育施設指導監督基準」を設け、その運営を厳しく指導、監督し、劣悪な事業所を排除する権限を発揮してきました。ところが、今回の法改正は、そのような基準など全く関係なく等しくすべての認可外保育施設の利用者に公費を投入しようとするもので、これまでの保育制度の底が抜けてしまうような法改正となったからです。

このような中で、「保育の質」や子どものいのち・安全をどう守るのか、10月1日からの、「幼児教育・保育の無償化」について、本市の状況、対応について伺います。

 

(1)「無償化」で、子どものいのちをどう守るのか

国は、認可外のすべての保育施設を原則公的給付の対象とするとしましたが、一方で各自治体は独自の判断で条例により対象施設を制限できるとしました。そこで、本市の考え方を伺います。

1点目 本市における認可外保育施設の状況について伺います。

2点目 認可外保育施設に対する公的給付の対象を本市はどのように設定しようと考えているのか伺います。

3点目 今回の無償化により、認可外保育施設における子どもの安全、保育の質の確保について、市としてどのように考えているのか伺います。

 

次に(2)実費徴収となる副食費は市の公費負担とすべき、という立場から質問します。

この無償化に合わせて保育所の、3才児以上の副食費、いわゆる給食のおかず代とおやつ代が新たに保護者負担とされました。国は副食費代を一人月に4500円と想定し、各園がそれぞれ料金設定し保護者から実費徴収するとしました。

 しかし、認可保育所では給食の提供が必須義務であり、「保育所保育指針」の中で給食は保育の一環として位置付けられています。このことを根拠にこれまで、3才以上児について、主食費を除く副食費は保育の公定価格に含まれてきました。本来なら主食費も保育の公定価格に含めなければならないところを、逆に副食費まで保護者からの実費徴収にしてしまうとは、保育に対する公的な責任の後退と言わざるを得ません。国は、給食費が保護者負担となっている幼稚園に合わせると説明しています。本来なら食育・給食を公的制度として保障してきた保育園に幼稚園を合わせるべきところを、逆に給食の提供が必須義務ではない幼稚園に保育園を合わせることがそもそも間違っています。

 したがって国はこのような決定をしましたが、本市においては子どもの最善の利益の観点から、保育所における食育の大切さ、公的責任を後退させない立場に立ち、国が保護者からの実費徴収とした副食費を市で負担すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

答弁 福祉部長

(1)「無償化」で、子どものいのちをどう守るのか

1点目 「認可外保育施設」の状況についてですが、昨年121日現在、市内の認可外保育施設は、社会福祉法人やNPO法人、有限会社などが運営する8か所となっています。定員が300人を超える大規模な施設から少人数の子どもを預かる託児所まで施設によってその規模はさまざまです。また、利用児童数については、8施設全体で512人となっています。

2点目 「認可外保育施設に対する公的給付の対象を市はどのように考えているのか」ですが、子ども・子育て支援法では、認可外保育施設が無償化となる条件として、1つ目に認可外保育施設として市への届出がされていること、2つ目に国が定める「認可外保育施設指導監督基準」を満たしていることをもとめています。ただし、この基準を満たすことができない施設が全国的に存在することを考慮し、5年間の猶予期間に限り、この基準を満たしていない施設でも、無償化の対象とすることが可能となっています。

本市では、これまでも認可外保育施設に対して、指導監督基準に基づく運営を求めており、今後、無償化の対象とする際は、国基準と同様の水準による運営を求めていきたいと考えています。

 3点目 「無償化による認可外保育施設における子どもの安全と保育の質の確保について」ですが、市は、児童福祉法にもとづき、認可外保育施設が適正に保育をおこなっていることを定期的に検査し、問題がある場合は改善指導をおこなっています。

市が本年2月におこなった認可外保育施設への立ち入り調査では、保育士の数や保育室の広さ、設備や会計の状況を確認しています。現在、市内で運営している認可外保育施設については、8施設すべてが市への届出がされており、おおむね指導監督基準に基づく運営がおこなわれているものと認識しています。

また、無償化にともなう経過措置によって、基準を満たすことができない事業者が新たに参入し、保育の質を低下することがないように、認可外保育施設を無償化の対象とする際には、原則として「認可外保育施設指導監督基準」を満たすことを求めていきたいと考えています。

市では、引き続き児童の安全管理を最優先に、認可外保育施設の指導に努めていきます。

 

(2)実費徴収による副食材費の公費負担について

保育所では、子どもが生涯にわたって食を営む力の基礎を身につけることを目標に、年齢に応じた栄養摂取や味付けなどに配慮しながら食事を提供しています。

保育所に通う3才から5才児の給食費の取り扱いについては、これまで、米やパンなどの主食費は保護者からの実費徴収となっている一方で、おかずやおやつなどの副食費については、保育の公定価格に含まれ、保護者はその一部を保育料として負担してきました。

食費については、在宅で子育てする場合でも生じる費用であることから、現行制度においても保護者が負担することが原則であるとされてきたところです。

市ではこれらの経緯もふまえ、保育所の副食費については、引き続き受益者負担の原則を基本とし、保護者にも丁寧な説明をおこないご理解を求めていきます。

再質問 宇田

(1)について

認可外施設に対する公費投入に際しては、監査など厳しくし、保育の質と子どもの安全を守るというご答弁でした。しかし、一方で、今後も保育の実施義務を持つ市の責任として、保育の受け皿づくりは、認可施設の整備によっておこなうという、市の考えは変わらないか、伺います。

 

答弁 福祉部長

市はこれまでも認可保育所を前提として、計画的な施設整備を進めてきたところです。今後も引き続き保育を必要とする保護者が、こどもを預け、安心して働けるよう、今年度見直しをおこなう「子ども子育て支援事業計画」において保育需要をしっかりと見極めながら、認可保育所の充実を図っていきたいと考えています。

 

意見 宇田

これは要望として申し上げたいと思いますが、認可外保育施設は許可制ではて、届け出制なので本市への参入を本市が止めることはできません。そして、本市においては、特に0才から2才児クラスにおいて、待機児童問題が解決できていない状況であり、認可外保育施設が参入しやすい素地はあるものと考えます。全国的には劣悪な保育事業者の参入により、小さい子どものいのちが保育施設で失われるという事故がおきています。

本市は今後も認可保育施設の整備を前提とするというご答弁でしたけれども、それを今年度準備している「子ども子育て支援事業計画」で、というご答弁でしたが、現在の待機児童の状況に対して、スピード感のある市の対応が必要であると申し上げて、次に移ります。

 

次に(2)実費徴収となる副食費についてですが、

私立保育所は、児童福祉法にもとづき、本来ならば市がおこなわなければならない保育の実施義務を、市から委託されておこなっています。そのため保育を実施するに要した費用は委託費として、市が各園に支給するという仕組みになっています。その委託業務の中には提供が義務づけられている給食の費用も当然含まれてきました。

今後も市は給食の提供も含めた保育の実施を私立保育所に委託するのでしょうか。

そうであれば、副食費徴収を各園にさせることは明らかに制度に照らしておかしなことであり、公費負担とするのが当然ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 

答弁 福祉部長

公定価格の内訳をみますと、保育士や調理師などの人件費、児童の保健衛生費や施設修繕などの管理費、副食費、保育材料費などの一般生活費、冷暖房費となっています。今回3才から5才までの副食費が分離され実費徴収となりましたが、食事の提供に係るその他の経費については引き続き公定価格に含まれています。

こうしたことから市と民間保育所の委託関係に変更が生じるものではないと考えています。

 

再質問 宇田

実費徴収となる副食材費ですが、最初の答弁で受益者負担の原則だということでしたが、

保育所における給食は、「保育所保育指針」はもとより、「保育所における食育に関する指針」」「保育所における食事の提供ガイドライン」「第3次食育推進基本計画に基づく保育所における食育の推進」等を通じて、食事は保育と一体のものであり、保育そのものと決して切り離せないものとして、何度も何度も強調されてきたものです。その中では、家庭での子どもの食は危機的だという認識を示し、保育所の役割りとして、家庭の子どもたちへの支援も明記されています。

ここにきて突然、「家庭の子でも食事にお金がかかるのだから、保育所の子も食費は自己負担が当然で受益者負担の原則だ」、しかも「実費徴収」というのは、かかった分だけその実費を徴収するということで、保育と給食を切り離し、食費だけを取り出すということになります。

保育は受益ではなく権利です。子どもたちは権利として保育を受け、その保育と切り離せないものとして給食の提供があるのではないでしょうか。

受益者負担の考えや実費徴収ということは、今まで築いてきた保育そのものを否定するものだと考えますが、いかがでしょうか。

 

答弁 福祉部長

保育における食事の重要性については議員ご指摘の通りだと考えています。また、無償化にあたり副食費を保育費から切り離すことについては、国の「子ども子育て会議」や国会において様々な議論がおこなわれてきたところです。

市では保育所における食事がすべての子どもにとって食の喜びや大切さを実感できるものとなるよう、引き続き市内保育所の栄養士や調理師を対象とし、研修会などをおこなっていきたいと考えています。

 

再質問 宇田

そうはいっても、今回の無償化により、保育の公的な責任は後退し、特に副食材費を各園が保護者から実費徴収するなることについては、さまざまな混乱を、現場にもたらすことになるだろうことは明らかです。このことについて、市は、どう考えているのか、伺います。

 

答弁 福祉部長

各保育所では副食費の徴収にともない、現金管理や個人ごとの納付確認など新たな事務が発生することになります。市では各保育所が円滑に事務がおこなえるよう徴収にあたっての課題や疑問点などについてご意見を伺いながら支援に努めていきたいと考えています。

 

意見 宇田

「幼児教育・保育の無償化」は、誰もが待ち望んだことでしたが、実際には多くの問題を含んだものとなりました。国の決めたことだから仕方がないと、その枠の中で自治をおこなうのではなく、子どもの最善の利益を第一に、今後必要とあれば国にも県にも言うべきことをしっかりと言っていただきたいと、これは市長に申し上げて、次に移ります。

 

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