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『サーミの血』-スカンジナビア半島北部のラップランドに住む人々の生き方を描くスウェーデン映画

2018-04-16 10:34:22 | 最近見た映画


     【 2018年2月26日 】      京都シネマ

「サーミ」とは、北欧やロシア西部の北極圏であるラップランド地方でトナカイを飼育しながら生活を営む、フィンランド語に近い独自の言語を持つ先住民族と言うことだ。映画の主な舞台となる1930年代、スウェーデンのサーミの人は他の人種より劣った民族として差別された。

                        


 映画の中で、サーミの子どもを《啓蒙教育》する寄宿学校に集めるが、通学途中の道で地元の住民から「あいつらは不潔だ。」といわれ、入所時にはナチスが優良民族かどうかを選別するような身体検査まで行う。驚いたことに、知性の有るはずの教師までが、「進学したい。」というエレ・マリャに「あなたたちの脳は文明に適応できない。」と言い切る。


         
  

 日本にアイヌ民族がいるように、1930年代のスウェーデンにも、他の国にも同様に《虐げられた民族》がいたのだ。統一国家を形成していく過程で、その民族の歴代固有の土地を取り上げる課題もあって、国民の価値観や住民の生活様式を画一化し、一方では差別意識を利用して分断し統治するのが手っ取り早かったのかもしれない。


                


 エレ・マリャはサーミの土地を離れ、名前をクリスティーナと変えて都会暮らしを始める。一方、妹のニェンナはサーミ人の生き方を貫く。ふたりの対照的な生き方を通じ、世の中の矛盾に目を向けていく監督の視点が観る者の心を鋭く刺激する。


       
               【 エレ・マリャ 】                   【 エレ・マリャ / クリスティーナ 】                

                          
                                 【 妹のニェンナ 】


 監督のアマンダ・シェーネルはサーミ人の血を引いており、主演のレーネ=セシリア・スパルロクは、今もノルウェーでトナカイを飼い暮らしているサーミの人だそうである。




       

   
      『サーミの血』-公式サイト







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