この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『ハマのドン』-劇場版にヴァージョンアップ-を映画館で再び見る

2023-07-24 15:39:09 | 最近見た映画

    【 2023年5月20日 】

 19日の公開を首を長くして待っていたが、ようやく映画館に行く時が来た。

 監督は、テレビ版のディレクターを務めたテレビ朝日の同じ松原さんで、倍ほどの時間を使って、どの程度内容が深堀され,、迫力が増すのかと半信半疑の所もあったが、見てみて納得! 

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 2022年2月に放送されたTVドキュメンターに新たに追加された主な内容の中で最もインパクトがあったのは、カジノ設計者村尾武洋氏の登場で得られた証言である。

              
                     【 カジノ設計者 】

 アメリカ在住で、建築デザイナーでカジノ場の設計をしているという氏の話は説得力がある。自らの立場を危うくしかねない証言は取材陣に強制されたわけでもなく、自ら協力を申し出て、さらにわざわざ日本に来てまでして記者会見をしたというから驚きである。後述する書籍にも詳しく書かれているが、
「僕らが(カジノを)デザインする時、そこから一歩も出ないようにデザインするわけですよ。だから街に還元するなんて有り得ない。」
 特に村尾氏が強調したのは、【国や市が最大の利点と掲げている地域への還元はない】という事だ。「そんなことをしたら自分らの負けで、カジノをわざわざ日本に作る必要性はない」とまで言い切る。カジノの総ゲーミング収入(GGR)に対する税率を巡って日本とカジノ運営会社側との行き違いが明らかになったが、「ラスベガス・サンズ」が横浜から撤退したのも、コロナの影響以外にも、その辺の事情が左右しているのではないか。

                      
                     横浜統合型リゾート産業展でのラスベガス・サンズのプレゼンテーション
 
 もうひとつは、少年野球チームの話や、田岡組長などとのヤクザとの関係の話である。テレビ版でもその辺の話は出てきたが、映画で改めてそのかかわりが中途半端でないことを知った。

             

 港の仕事とヤクザの関係は、なかなか切りにくい関係だとは聞いていたが、ここまできっぱりと関係を断つことはよほどの度量がいるのではないか。それは単なる【親からの言いつけ】だけではなく、藤木幸夫がかなりの読書家で、豊かな知恵と経験が背後にあることを知った。

          
             【 書籍『ハマのドン』 】

 5月に映画を見終わった後、監督自身の手による映画制作過程を追ったこの本が出版されたのを知って、おさらいを兼ねて、さっそく読んでみた。映画は一度見終わってしまえば自分の頭の中の断片しか残っていないが、本には更に詳しい情報も書かれている。
 「活動する市民の会」の中心に、少年野球チームの面々がいることも知ったのだが、その背景に驚く。彼らに、野球をするだけでなく、メンバーに読書の課題を出しレポートも書かせる。ともかく中途半端ではないのだ。

 2021年8月の選挙の真っ最中、【思いもよらない助っ人が現れた】と思うと同時に、どこかで【手を打つのではないか】と不安の気持ちがよぎったことを覚えている。本にもそのことが書いてあった。周辺の人は、「自分の敷地である山下埠頭を高く売るための芝居ではないか」と。しかし、決してそんなことはなかった。

 ともかく、横浜にカジノが誘致される心配は(当面)無くなった。気になるのは大阪である。カジノの危険性や利権の構造は全国共通で、映画や本の内容で大阪府市民に伝い得たい内容は沢山あるが、《ハマのドン》のような存在の有無や、政治状況はまるで違う。

 大阪では「維新の会」が議会を席巻している。大阪都構想が2度にわたって住民投票で否決されたにもかかわらず、大阪万博をテコにIR=カジノを地元に誘致しようと狙っている。税金をどれだけ注ぎ込むつもりだろうか。これは大阪だけの問題ではない。
 「維新の会」は身を切る改革とは言うが、実態は自民党べったりの政策を推し進めている。それどころか、その先兵を果たす役割さえ示している。                       

 本では、その辺の事情にも触れて書かれている。大阪府市民に聞かせたい話だけではない。日本の将来のために参考になる話や貴重な経験が盛りだくさんだ。映画の公開が関西圏では終わってしまった今、書籍はいつでも手に入る。ぜひ皆さんの一読をお勧めする。
 
           
                【 安倍首相(当時)とトランプ大統領(当時) 】    

 でも、不思議なのは、自民党員でありながら藤木幸夫がどうしてあんなことができたのかという事だ。逆に言えば、彼がどうしてそれでも《自民党員》なのかという事だ。

「宏池会」出身の岸田現首相が、率先して憲法第9条に破壊するようなことをするのも自民党の混迷を示しているような。
 自民党は、以前は様々なタイプの人間がいて、もっと《おおらかな党》だったと所属者自身が語っているようだが、それに限らず政界全体が巨大で圧倒的権力=アメリカ帝国主義に飲み込まれてしまっているような気がする。

                         
                                 【 活気あふれる山下埠頭 】
    
            【 山下埠頭上空からの横浜港 遠くには富士山の影 】


      
              

       

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 話はそれるが、ここ京都のミニシアターの草分け的存在である「京都みなみ会館」が、この9月末をもって閉館されることが発表された。残念な限りである。
 『ハマのドン』の上映が京都では済んで(MOVIX京都と京都シネマで上映)、もう見れないと思っていたところ、何の気なしに全国の上映館を調べて見たら、なんと「みなみ会館」で7月29日(土)にやるではないか! 何としてでももう一度見に行かねば!


    *2023年7月20日  一部加筆


   
   『ハマのドン』ー民協スペシャル(朝日放送放映テレビ版)のブログ(2022年2月投稿の記事)へジャンプ


   『ハマのドン』劇場公開版の公式サイト







 カジノの総ゲーミング収入(GGR)に対する30%の税率が提案されていることが障害となる可能性がある」(https://jair.report/article/303/) 

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