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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

地元の「9条の会」共催で、高山佳奈子さんのお話「政治と憲法を考える講演会」に行ってくる

2019-07-02 11:47:27 | 講演会

    【 2019年6月27日 】    京都大学構内吉田キャンパス 法経7番教室

 晩の6時半開始でしかも雨模様だったから、どうしようと考えたが夕食抜きで参加した。

                    
                       【 京都大学吉田キャンパス 雨の時計台 】

 高山教授とは、以前同じ京大の講演会で出会っている。2014年に安倍内閣が自衛隊の海外派兵が可能となる集団的自衛権の解釈変更を閣議決定し、さらにその後、2016年の参議院と2017年の衆議院選挙で、与党が憲法改正発議に必要な国会議員の3分の2の議席を確保した直後の緊迫した空気の中で、とても京大教授というか堅苦しさを感じさせないサークルのお姉さんという印象を受けていたから、今回も上のチラシを見て気軽な気持ちで参加した。

                 
                    【 2年前の京大キャンパスでの集会と           講演前の様子 】

 しかし、今回はすっかり大人びた感じになっていて教授らしい姿で登場していた。

                              
                                    【高山先生 】

 今日の集会は「安倍9条改憲 No! 左京市民アクション」と「戦争をさせない左京1000人委員会」との共催である。司会のあいさつの後、さっそく講義が始まる。

 さすが、法律の専門家である。新しい知見や納得できるわかりやすい説明を聞いて、是非内容を紹介したいと思い、これを書いている。

           〇            〇              〇

 何回か出された自民党の改憲案に対して、現憲法のあるべき姿を解説していく。
 
 この間の憲法論議で、憲法は権力に制限を加えるもので、「立憲主義」という、それまであまり聴き慣れなかった言葉も、なじみ深いものになった。対し、自民党の改憲案では、権力を縛るというより国民に義務や制限を加える色彩が強く、とても受け入れられるものではないという。【ともかく憲法を変えるという実績を作りたい】がために【1度も改正や変更がなく古臭い】とか【実態に合わない】とか的外れなことを触れ回っている。

 そもそも日本の憲法の特徴は、諸外国の憲法に章立てがコンパクトで条文は短い方という。原理原則のみに絞り、具体的内容は法律等で別に定める構成になっていて、現実に対応する細かい対応は法律の変更でできるため、憲法自体をそのたびにいじる必要はないとの事。それに対して、ドイツやアメリカの憲法には細則まで書き入れていること多く、憲法の修正回数もその分多くなると。だから、改正の回数で「憲法の良し悪し」を判断するのは間違いだと。

     
             【 近代憲法とは 】

 具体的な例として「教育の充実」、「参院選の合区解消」や「緊急事態対応の制定」などを挙げているが、憲法をいじらなくても、上のスライドの様に、現法律で対応できることだともいう。『規定がないから自衛隊員が可哀そうだ』というのは、とんだ言いがかりで、ちゃんと自衛隊法に定められていると。さらに、ましな改定ならまだしも、現憲法の基本理念に反する内容も含まれているというから始末が悪い。

                     

 いつか誰かが言ったたとえ話を思い出す。
     『外科手術をしたくて、したくて仕方ないヤブ医者が、症状も見ず、原因も病巣も何も確認しないで、
     「とりあえず開けてみよう」と手術を強行し、健康な《患者》を死なせてしまうようなものだ。』

 、と。 

                      


 憲法改悪のねらいの核心は「第9条」の改変である。

       
                              【 9条加憲の問題点 】

 《9条加憲》には上記のような問題があるが、この日の講義で〈目から鱗〉だったのは、下の図な解説だった。

               
                 【 9条加憲後の憲法イメージ 】                 【 モナリザも悲しむ 】

 現在の「日本国の憲法」上図左側のような章立ての構成になっていて(明治憲法も同様の構成という)、第1章の「天皇」は若干違和感があるけど、それは「戦後の混乱期をやり過ごす現実的な対応だった」とするが、第2章の「国の戦争放棄」から第3章「国民の権利・義務」、第4章以下の「国会」「内閣」「司法」の三権の規定という風に【どの機関が(誰が)どのような権限を持って何を行えるか】が示されているという。
 それを、《9条の加憲》によって、第2章が【自衛隊の規定】に変えられ、天皇の次の第2位の規定になり、国民の権利はおろか、【三権の上に立つ位置】に置かれることになってしまう、重大な意味を持っていると。そもそも、第2章は9条だけしかない! その「戦争放棄」が骨抜きにされたら!

 今まで、なんとなく「憲法が(整理して分かりやすくするために)章に区切られていて、そこに条文が納められているくらいに軽く考えていたが、改めて上の図を見ると、狙っていることの恐ろしさに愕然とする。
 「自衛隊を書き込んでも、以前と何も変わりません。」という首相の言葉が、何と白々しく響くことか。だいたい、元々、憲法に「防衛省」という言葉すら出てこないのに「自衛隊が出てきて、それを内閣総理大臣が最高責任者で指揮をしたらどういうことになるのか!-【モナリザさんも悲しむ】ーということです。

            〇            〇              〇

 この後、緊急事態条項の危険性や表現の自由に関しての話、自民党のこの間の選挙得票数と議席数の関係-そこから示される選挙対策などの話など、1時間を超える話が続いたが、長くなるので、いったんここで終えて次回に回すことにする。    

                (後半に続く)


                     講義が終わって外に出ると、雨も上がり、すっかり夜も更けてしまった。
                       【  京大時計台  】


   

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