鴻待日和

44歳。進行流産・化学流産・稽留流産。
愛しい人の子を抱ける日は来るのか・・・?

抱卵開始(3)

2007年07月13日 | 不妊治療
 指定された時間より30分以上も早く病院に駆けつける。卵ちゃん、迎えにきたよ~!

 でも当然のことながら、移植には順番がございます(笑)

 卵の状態とか、ミソサザイのように4分割卵の移植でなく胚盤胞の移植の人もいるし、採卵の人も、その他の来院者ももちろん沢山いらっしゃる。病院側のプランでコトは進むため、この日は
ものすごく待った~・・!
 LHサージの検出からこっち、事態が全てバタバタと慌しく進行し、テンションは高まりっぱなしで、早く卵ちゃんに会いたくて駆けつけただけに、この「待ち」の時間の長いこと長いこと。
 ふつうなら、大きい病院ではこのくらいアタリマエと思う順番待ちの時間の粒子が、のっしりふり積もってるみたいで、本当に重たくてくたびれた。
 4回も居眠りし、他の人が呼ばれたのに自分が呼ばれたのかとかん違いして立ち上がりかけたり(恥ずかしい)そのうちお腹も減ってくるし、4時間待っても順番が来なかったらどうなっているのか窓口に訊いてみようと決意した頃に、ようやく名前を呼ばれた。

 WELCOME BACK卵ちゃん!

 移植後の安静のためにベッドに横になっているミソの様子を、カーテンの隙間から覗いた看護婦さんがもしいたとしたら、「不気味・・」と思われたかも知れません その間中、ミソはずぅーっと、移植の時に手渡された卵ちゃんの写真を飽くことなく眺めてニマニマしておりました。

 卵だぁ~・・卵ちゃんだぁ~・・ちゃんと分割してる、生きてる~・・。

 受精の瞬間に、生命は宿ると聞きます。
 もう、卵ちゃんは生きているんだ。

 もちろん、この卵ちゃんが無事着床してくれるか、胎児にまで成長してくれるか、すこやかに生まれてくれるか、今は何の保障もありません。流産リスクについても、出産にこぎつけるまでの確率も、ちゃんと説明を受けました。
 心配性で小心者なミソサザイ、これで大丈夫と手放しで喜ぶようなポジティヴなタイプの人間ではありません。

 でも。
 写真をみているうちに、だんだん考えが変わってきた。

 もう、卵ちゃんは生きている。命が宿っている。
 着床しないかもしれない、流産するかもしれない。その悲しみや辛さを先回りして避けようと、卵ちゃんを命として認めてあげないのは、ミソのひとりよがりかもしれないと思ったのです。

 今回ダメだったら、ちゃんとそのことを受け止めて、きちんと悲しんで泣いてあげる覚悟をしなきゃ、と。

 天に還るのが早い命ほど、徳が高いと聞きます。
 少なくとも、何かをミソやウソ君に教えてくれるために、命を宿した卵ちゃん。もし卵のままで天に還るとしても、そのメッセージをしっかりと受け取りたいと思ったのです。

 ・・繊細に感じ過ぎ、かな。

 うまくいっているかどうか、判明するのは移植の12日後です。
 少なくともそれまでは、卵ちゃんは(どんな姿であれ)ミソのお腹の中にいる(はず・・

 12日間は、一緒に楽しく過ごそうね

抱卵開始(2)

2007年07月13日 | 不妊治療
 翌朝。目が覚めるとすぐ「卵は元気かな・・」と思う。たとえば低体重とかで産まれたわが子をNICUに置いて先に退院した新米お母さんてのは、こんなキモチになるのかな~、なんて想像する。
 シロウトのミソサザイには、出来ることは何もない。ただ卵の力を信じて、それから専門家の技術を信頼して、祈って待つだけ。

 そわそわ気もそぞろ。新聞を見ても本を読んでも頭に入らない。昨日から引き続きの風邪気味で、しんどいんだけれど横になって安静にする気にもなれない。
 とある仕事の引継ぎの相手が、たまたまその日は事務所に来ると聞いて、出かけることにする。
 昨日の卵が無事に受精したかどうかは、14時に培養室に電話をして問い合わせて判明する。それまで、お家で何も手につかずジリジリして待つより、仕事しよう仕事!

 テンション高いので、通常なら半日を見込む引継ぎを1時間半でやっつける。指示されながらテキパキと処理の仕方を覚え、仕事内容をガツガツ把握するミソを見て、引継ぎ相手の先輩が「すごぉーいこれならミソさんに引き継いで正解だわ、安心~」とか言われるが、いかに今まで先輩がゆる~いお仕事ぶりだったか(だから業務がこんなにのっぴきならない事態にまで陥ってしまった・・)を見せつけられて、「どぉも~」と言いつつ笑顔が引きつる・・
これを引き継ぐのか・・課題山積、やっていけるだろうか・・
少なくとも、ミソが次の人に引き継ぐ時は、こういうアップアップ状態で手渡すことだけはしまい、と心に誓う。

 そうこうしているうちに14時。高いテンションのまま、電話をかける。
 電話の向こうで「ミソサザイさんの受精確認ですね、しばらくお待ち下さい」と言われ、保留メロディが流れる。
 あ・・急にドキドキしてきた。

 実際の倍くらい長く感じた保留の後、無事に受精していることを告げられ、ほんのちょぴっとジンワリきた。
 でも安心するのはまだ早い。次はちゃんと卵割するかどうかだ。翌朝10時に同じく電話で確認し、もし4分割していたら午後に移植となる。頑張れ~卵~!

 翌朝10時。
 さりげなくウソ君が別の部屋へ行く。ドキドキして電話をかけるミソの気が散らないように、というやさしい配慮。でも、電話が、かけてもかけても通話中でつながらない。まるでチケットの電話予約みたい。あっという間に30分が経過してしまう。沈黙が続くリビングの様子に、こらえきれずにウソ君が部屋を出てミソのそばに座る。背中に触れるウソ君の体温。表情からウソ君もドキドキジリジリしているんだなと分かる(ポーカーフェイスのウソ君は、決して自分の気持ちを言葉や態度に表さない)。その数分後、ようやく電話がつながる。

 「順調に分割してますので、病院にいらして下さい」

 わーい、やったぁ♪

 大急ぎで、病院に卵ちゃんを迎えに行く。  ・・3につづく。