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整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

最適な整列穴形状を見付けるまで

2017-10-10 09:57:09 | 効率アップ
以前のブログで、ウエステックの整列治具は、
その穴形状を決めるまでが非常に手間が掛かり、
整列実験を何通りも行なって、最適と思われる
穴形状を見付ける、と書きました。

部品の形状によって、整列穴形状も様々ですが、
実験する際、考え方が何通りかあります。

①違う向きの部品が全く入らない穴形状

②違う向きでも入るが、整列機の振動によって、
 正しい向きの部品だけが残り、違う向きの部品は
 排出されて行く穴形状

③違う向きでも入るが、整列機の振動によって、
 部品の向きが徐々に修正されて行き、
 最終的には正しい向きになる穴形状

まず①ですが、部品が違う向きには
全く入らないような形状に整列穴を作れれば、
整列実験も早く終わります。

しかし、実際には、部品の重心の関係などで、
必ずしもこのパターンに持って行けない場合が
あります。

例えば段付きピンですが、釘のような形状であれば
簡単です。釘の細い部分が通り、頭の太い部分が
通らないような整列穴にすれば、細い方が下になって
並びます。



しかし、この釘の頭の長さが、細い部分と同じ長さ
だったらどうでしょうか?



重心の位置が、太い部分に寄ってしまいますので、
太い部分が下側になりやすい状態で流れて行きます。

整列穴に差し掛かっても、太い部分から入ろうとする
部品が多いため、なかなか並びません。



こういう場合は②の考え方に移ります。

頭の部分も入るような穴寸法にしてしまう。
すると、太い方が下になって並ぶ部品が
確かに多いのですが、細い方が下になっても
穴に入りますので、数は少ないかも知れませんが、
細い方が下になって並ぶ部品が相当数
混じってしまいます。





さて、ここからは整列プログラムの調整です。

穴径が太く、ピンの太い部分とのガタが小さい
わけですから、ピンの太い方が下にあれば、
整列機で多少強めの振動を与えても、
ピンはそのままです。

一方、ピンの細い部分が下側にあると、
穴径とのガタが大きく、かつピンの重心が
上側にありますので、強めの振動を与えれば、
ピンを整列穴から排出できます。

かと言って、最初から最後まで強めの振動で
振っていると、流れて来るピンが暴れて、
太い部分が下側になったピンも、
なかなか並びません。

この場合は、緩い振動と強い振動を交互に
与えます。太い方が下側になって流れて来る
ピンの大部分を緩い振動で並べ、その中の
何割かが細い方が下になって整列穴に入って
来ますので、それを強い振動で排出すれば
良いわけです。

さて、②のパターンは、ピンのように
単純な形状をしている部品であれば、
適用範囲が広いのですが、或る程度複雑な
形状をしている部品ですと、逆向きに整列穴に
入ろうとした部品が穴にかじり付いてしまったり、
逆向きの部品を排出しようとして
強い振動を与えると、正しい向きで
並んでいる部品までもが整列穴から
出て行ってしまう事もあります。

その場合は、並ぶのに長い時間を要しますが、
敢えて①のパターンを適用する事があります。

とにかく正しい向きでしか入らないような
整列穴形状にしてしまう、という方法ですが、
あまりにも時間が掛かるようですと、
次工程で必要な能力を満たさない可能性が
有りますので、その時はセットする整列治具の
枚数を増やせるように、1ランク大型の整列機を
使うだとか、整列機の台数を増やすなどの
対応策が考えられます。

さて、残りました③のパターンですが、
これは方向性のある部品を、2段階に分けて
並べた方が良いケースです。

このパターンに当てはまるのは、
下図のような部品です。

この場合は、一旦丸い部分を下向きにして、
取り敢えず整列穴に入れてしまいます。



その後、整列機の振動か、もしくは未整列の部品が
ぶつかる事で、徐々に部品が回って行き、
整列穴と向きが合うと、更に一段深く穴に落ちて、
並ぶというものです。





ただ、この部品のような形状の場合は、
この状態で回転振動を与えた方が、
スムースに回りますので、ロータリー式
整列機
か、ロータリー振動機を使った方が
速いです。

また、この部品のような形状ですと、
上下逆にも整列穴に入ります。回転方向の
向きだけが合っている状態です。



ただ、未整列の部品が流れて来て、
この部品にぶつかる事で、簡単に整列穴から
押し出す事ができます。上下逆だと、
重心の位置が高い事から、強い振動を与えても
整列穴から振り落とせる場合があります。

但し、丸い突起部分の背が低いと、
重心の位置が低く、未整列の部品が
ぶつかっても、整列穴の上に落ち着いてしまい、
なかなか押し出せない場合もあります。
その時は整列穴形状にもう一工夫必要に
なって来ます。

さて、ここで挙げたのは、かなり簡略な形をした
部品です。実際には、この例よりは複雑な形状を
していて、整列もそれなりに難しい場合が多いです。

室内で靴を脱ぐ習慣が有るのは日本人だけ?

2017-10-06 09:30:14 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

日本人は家に上がる時に靴を脱ぎます。
畳でも板の間でもです。

家もそういう作りになっています。
居住空間は玄関より1段高くなっています。
土が入り込まないようにするためです。

しかし欧米人は家の中も土足。
入浴する時と寝る時くらいしか
靴を脱ぎません。

よく映画とかで、靴を履いたまま
ベッドに横になり、ベッドの上で靴を脱いで
ベッドの下に落とす、というシーンを
見掛ける事があります。

また、玄関(?)に靴を脱いで置いたりする
場所を見掛けません。
室内の掃除が大変そうな気がしますが。

習慣の違いではありますが、欧米では
靴は服と同じ位置付けらしいです。
つまり靴を脱ぐ、イコール、服を脱ぐ、
とほぼ同じ意味らしいです。

そう考えれば、確かに浴室やベッド以外では
靴は脱がない、というのも合点が行きます。

逆に言えば、日本の習慣を押し付ける時、
欧米人にとっては非常に困惑する事態に
直面する事になります。

「家に上がる時には靴を脱いで下さい」、
と言うのは「家に上がる時には服を脱いで下さい」
と同じ意味と受け取る人もいるからです。

日本への観光がブームである最近でこそ、
いろんな場所で靴を脱ぐ、という日本の文化が
ネットでも知れ渡っていますが、20年ほど前は、
台湾の人を飲食店に連れて行った時、
座敷に上がろうとしないので驚いた
経験が有ります。台湾もそうなのです。

また、昔、私が香港に旅行に行った時、
ホテルの部屋で雪駄(草履)に履き替え、
そのままロビーのソファーの上で、
雪駄を脱いでくつろいで談笑して
いたのですが、ホテルマンに
注意されました。

今でも、靴を脱ぐ事に抵抗の有る外国人は
多いと聞きます。頭では分かっていても、
そういう習慣が無いからです。

例えば、日本人が或る国へ行って、
「家に入る時にはズボンを脱いで下さい」
と言われたらどうでしょう。そういう習慣の
国だと聞かされていたとしても、かなり勇気が
要ります。それと同じです。

とは言え、外国人が来日する際、
その目的によっては、それほど靴を脱ぐ
場面には遭遇しないかも知れません。
それは日本人が国内に出張する場合を
思い浮かべれば分かります。

飛行機・電車・車で移動し、客先の会社を訪問し、
ホテルに泊まる。ホテルの部屋の中では
スリッパに履き替えたりしますが、
移動途中の食事やトイレでも靴のままです。

なお、外国人によっては、スリッパに履き替える
のにも抵抗を感じる人がいるようです。
何せ靴は服と同じという感覚ですからね。

宿泊所によっては、部屋の中が畳ではなく、
靴のままでOKでも、共同トイレではスリッパに
履き替えるようになっている所があります
(恐らく掃除の都合かと思われます)。
外国人を泊まらせる時には、意外と盲点です。

外国人は靴を脱がないので、日常では靴下に穴が
あいたままの人も多いとも聞きます。なので、
来日した時に想定外の事態で靴を脱ぐ場面に
出くわした時、例えば昼食に誘われたら座敷だった、
とかですと、二重に困るわけです。

という事は、畳の間に上がるお寺に観光に行ったり、
日本人の家を訪問したり、畳敷きの旅館に
泊まるつもりで来日している外国人は、
相当の覚悟と準備をもって来ている事になります。

アジア諸国も靴を脱がない文化の所が多いですが、
意外と北欧とかには、家に入れば靴を脱ぐ国が
有るようです。靴が雪まみれだと、家の中が濡れる
からでしょうか?

都会では、さすがに靴が雪まみれは無さそうですが、
靴を脱ぐ習慣がある国であれば、都会でも靴は
脱いでしまっても不思議ではありません。

整列治具の刻印(彫刻)

2017-10-05 09:24:28 | 効率アップ
ウエステックの治具には、刻印が打たれています。

刻印は、治具の名称や、並べる部品の名称、
治具の型番などが記載されています。

しかし、実は、役割は他にも有ります。
そして、役割を持たせた刻印は、その有る無しで、
使い勝手に大きな差が出ます。

なお、治具への刻印ですが、彫刻機と呼ばれる
装置で入れますので、この作業を扱う業者間では、
「刻印」ではなく「彫刻」と呼ばれています。
よって、以下「彫刻」と記します。

改めまして、彫刻ですが、治具上の適当な場所に、
ただ文字を入れているだけではありません。
文字の位置や向き、更には文字の色にも
意味を持たせている場合があります。

例えば整列治具に他の治具を重ね合わせる時、
彫刻の有り難さが実感できます。

治具はそのほとんどが直方体です。その役割により
板厚はその様々ですが、大きさ(縦横寸)は
統一された長方形です。

治具から治具へ部品を移し替えたりする時、
治具どうしを重ねますが、長方形ですので、
前後逆に重ねてしまう可能性があります。

並べる部品に前後左右の方向性があると、
治具を逆に重ねれば、治具に加工された穴と
部品の形状が合致しませんので、
部品が移り替わらなかったり、
部品から突起が出ていると、それを曲げたり
破損させてしまったりします。重ねる向きには
注意が必要です。

治具どうしはピンとブッシュで位置合わせを
しますが、一応、治具の4隅に配置するピン・
ブッシュが、治具を前後逆に重ねないように、
わざと3ヶ所にしたり、1ヶ所だけ少し位置を
ずらしたりしています。

ただ、それだと、重ねようとして、
ピンとブッシュがぶつかって初めて、
前後逆だと気付く事になります。



その場合、治具の側面に入れてある彫刻の
向きを揃えておけば、事前に重ねる向きが
分かりますので、間違う恐れが無くなります。



また、製品の組立に治具を使う場合、
何種類かの治具を重ね合わせます。例えば、
①圧入受けパレット,②圧入ガイドパレット,
③圧入パレットの順に重ね合わせるとします。

この時、うっかりやってしまうミスが、
②の圧入ガイドパレットを間に挟むのを忘れて、
圧入機(プレス機)に投入してしまい、
治具や部品を壊してしまうというケースです。

この場合、この丸囲み数字を治具名称と一緒に
彫刻しておけば、②を挟み忘れている事に
気付きます。



ただ、実際には、①の圧入受けパレットに
重ねる治具は、②の圧入ガイドパレットだけではない、
という場合が多いです。整列機で並べた部品を
吸着パレットで吸い上げ、①の圧入受けパレットに
移し替える、という作業が事前に有ったりするのが
普通です。すると、丸囲み数字が彫刻してあると、
かえって作業手順が混乱する原因にもなりかねません。



よって、この場合は、治具の側面にライン彫刻を
入れます。入れ方は様々ですが、斜めに入れれば、
正しい向きに治具を重ねた時にはラインが
真っ直ぐになりますが、重ね忘れたり、
重ねる順番を間違えた時には、
一直線になりませんので、すぐ分かります。









また、同じ治具どうしでも、重ねる位置が変わる
場合が有ります。例えば、整列機で整列パレット上に
部品を並べ、そこから1列飛びに部品を吸着させて
移し替えるとします。1回目は奇数列、2回目は偶数列です。







この場合、1回目は治具の端どうしを合わせれば
良いわけですが、2回目はズレた位置に重ねなければ
なりません。ピンとブッシュの位置が分かりにくい
状態になります。



そんな時、治具の上面にライン彫刻を入れておき、
上側の治具の端が、そのラインに重なるように
治具を合わせれば、楽に重ねられます。



上記で挙げたのは、ほんの一例に過ぎません。他にも、
彫刻の文字の色を変えたり、複数枚有る同じ治具に
通し番号を入れて、それで作業工程やロットを
管理したり、更には上記で挙げた方法を
組み合わせたりします。

(今回は珍しく絵が多くなりました。)

AIが指導者になる?

2017-10-03 10:26:37 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

現在、AI(人工知能)は、特定の分野に限れば、
既に人間を越えています。

分かりやすい例が、将棋です。

人間は強くなるためには、何度も強い人との
対戦を繰り返し、ケーススタディを学んで
行く必要が有ります。

将棋はスポーツではありませんが、
大変なカロリーを消費する事が
知られています。脳が特に糖分を
使うらしいです。

メディアに出て来るほどの強者だと、
何時間もかかる対局の休憩時間には、
チョコレートや飴をボリボリ食べる人も
いるみたいです。大量に持参して来ている
らしいです。

それでも、トーナメント終了後には、
体重が減っている人も多いと聞きます。

一方のAIですが、この学習能力が
半端無いのです。何百・何千もの対戦を、
ソフト上のシミュレーションで行い、
学んで行きます。

実際に将棋盤の上に駒を置く必要はありません。
ソフト上で動いているだけですので、
1回の対局もすぐに終わります。
連続して何回対戦しようが、疲れません。
アッという間に対戦経験が人間を遙かに
越えてしまいます。

先日、それを象徴するような対戦が、
人間とAIの間の将棋で行われました。

AIが打った手の意味を理解できる人間が
いなかったのです。

何十手も先を見越し、一見すると無意味の
ように思える手を打つ。人間も何十手も先を
読みますが、AIの方が経験値が遙かに上ですから、
人間の理解の範囲を越えていたのです。

実際、対局が進むに連れ、その時打った手の
意味が徐々に判明して行き、結局はAIが
勝利しました。

将来、こういった事が、将棋以外でも
実現されるのではないかと言われています。

学習スピードが加速度的に増して行きますので、
とんでもない知能を身に付けて行くのだけは
間違いなさそうです。

ちなみに、動き(マニュピレータ)の方は、
AIの進化に付いて行けない可能性があります。
なのでIBMのワトソンのようなタイプが主流になり、
人型アンドロイドはかなり後かも知れません。

話を戻しまして、AIは、ビッグデータと
結び付く事により、正確かつ迅速な判断が
できるようになるのではないかと
期待されています。

人間の判断にはミスが付きものですが、
AIには無い、もしくは極端に少ない、
となった場合、AIに判断させた方が
間違いないんじゃないか、という
考え方が出て来ても、不思議では
ありません。

昨今の世界各国の指導者を見る限り、
この人で大丈夫か?という人達が
たくさんいます。大衆の民意というヤツも
ブレまくりますからね。

将来に渡っても、そんな事態ばかりなら、
じゃあいっその事、AIに指導者に
なってもらおう、というわけです。

まるで映画の世界ですが、
今後、AIが更なる進化を遂げ、
正しい判断をする事が証明される
事例が増えて来れば、あながち
空想の世界とも言えなくなります。

しかし、この一抹の不安感は何でしょう?

昔、手塚治虫さんの火の鳥という漫画に、
AIが国の宰相を務め、他国のAI宰相の
要求を突っ跳ねたがために、
全面核戦争になり、主人公以外の全生命体が
死滅するという話がありました。

漫画では、双方のAI宰相がヒステリーを起こし、
ののしり合いながら戦争を決断するという
展開でした。

さすがにヒステリーは無さそうですが、
自国防衛のために戦争を選択する可能性は
無いとも言い切れません。

異国で開発されたAIは、当然設計が違いますし、
将棋のように統一化されたルールも有りません。
他国のAIとの直接交渉に臨んだ場合、
ケーススタディが役に立たないかも知れません。

すると、ビッグデータを元に計算した結果、
自国防衛のためには、一足飛びに戦争、
という判断を下すかも知れません。

どこかの国が、全世界のAI宰相の製造を
一手に引き受け、同じ設計と統一化された
ルールにもとづいて開発すれば、戦争という
選択をする事は無いように作れるでしょうが、
そうすると、開発国がその気になれば、
世界をAIで支配できてしまうので、
今のような国境がある限り、各国が独自で
開発を進めるはずです。

また、AI宰相が、地球のためには人間を
排除すべき、という判断を下したら、
映画のターミネーターのような世界に
なるかも知れません。

徐々に乾燥した季節になって来ました

2017-10-02 11:47:51 | 効率アップ
以前のブログで、ウエステックの治具での、
湿度による伸び縮みやソリについて触れましたが、
秋になって段々と乾燥した季節に移って来ました。

静電気が発生しやすい部品を整列機で流すと、
貼り付いて流れが悪くなりますので、
またイオナイザーの出番が増える季節が
来たなあ、という感じです。

湿度が低くなるので、じゃあ治具の伸び縮みや
ソリの方はもう安心か、と言うと、必ずしも
そうではありません。

ウエステック製の整列治具や組立治具などは、
その大部分が樹脂(プラスチック)製で、
ベークライト・アクリル・ポリアセタール
(ジュラコン)・MCナイロン(ナイロン66)
ユニレート・ピーク材などです。

そして、樹脂というのは、成形時の残留応力や、
加工時に刃物から受ける力や摩擦熱などで、
歪んだりソリが発生したりする要素を
常に持っています。

そのため、一般的な樹脂の加工では、
公差を大きめに設定するのが普通です。
金属ならば±0.05mmに収まるところを、
敢えて±0.1mmにして図面を書いたりします。

しかし、ウエステックで並べる部品の大きさが、
例えば縦0.6mm×横0.5mm×高さ0.3mmだったりすると、
公差が±0.1mmでは、向きを揃えて並べる事が
できません。

つまり、従来の常識とは別次元の加工公差が
求められて来ているのです。

ベークライトの場合、穴の深さににもよりますが、
現在、穴の幅公差を±0.01mmレベルまで
加工する事が可能です。更に条件が整えば、
±0.005mmでも加工出来るケースもあります。

しかし、その公差内に収めようとしますと、
わずかなマイナス要因が命取りになります。

刃物の送り速度を調節し、また刃物を再研磨して
切れ味を確保するなどして、加工時の余計な
応力発生や発熱は抑えるように心掛けていますが、
もともと材料が内包している残留応力は、
アニール処理するなどして、できるだけ
緩和するようにしています。

アニール処理とは、材料の残留応力を
緩和するために行う熱処理の事です。

材料を数時間単位で炉の中に入れ、
残留応力を解放します。アニール処理後は、
真っ直ぐだった材料にソリや歪みが出たり
しますが、応力的にはその状態の方が
安定している事になりますから、
再度6面(上下前後左右)を削り、
真っ直ぐに仕上げます。

樹脂の種類によって、アニール処理する
温度や時間にも目安が有ります。

熱可塑性樹脂(熱をかけると溶ける樹脂)
の場合は、それほど高温にはできませんが、
材料メーカーからも指標が出ています。

しかし、材料の板厚や、どのような加工を
するかによって、また、どのメーカー製の
材料を使うかや、生産ロットによっても、
微妙にソリや歪みの発生状況も
変わって来ますので、樹脂加工業者は、
いろいろな経験から、アニール処理の
独自基準を取っている所も有ります。

さて、通常は加工する前の材料に対して行う
アニール処理ですが、加工途中で行う事も
あります。

加工公差が厳しい時はもちろんですが、
ソリが出やすい加工形状だったりする場合は、
最初の段取りで、途中にアニール処理が
できるようにしておきます。

加工途中のアニール処理によって、
初回に比べればわずかとは言え、
ソリや歪みが再度発生する可能性が
ありますので、仕上げしろを残した状態で
加工を行い、アニール処理します。

全てがそうとは言い切れませんが、
完成形に近い状態でアニール処理した方が、
効果が期待できるケースが多々あります。

手間が掛かりますが、加工精度優先であれば、
はしょる事はできません。

また、強度や耐摩耗性を上げるために、
ガラス繊維や炭素繊維が
入っている材料がありますが、
これも、アニール処理をやった方が
良い場合があります。

これらの添加剤の分布の方向性が
原因と思われる残留応力が、
解放される事があるためです。

さて、これだけ気を遣って加工しても、
もともと、ウエステックの治具は、
板状の物で、かつ片面しか加工していない
物が多いです。

組立治具は、穴が貫通している物も
有りますが、整列治具は、基本的に
非貫通穴で、片面加工です。

しかし、それが原因でソリが発生する事が
分かっている場合は、部品の整列に
支障が無い範囲内で、別途に細い貫通穴を
設けたり、裏面に溝加工を入れたりといった
事をやる場合があります。

一見、何のために加工されているのか
分からないので、立会の時とかに、
お客様から「これ何ですか?」と聞かれる事も
あります。