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整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

ウエステックの提案

2017-10-31 08:57:42 | 効率アップ
ウエステックがスローガンとして掲げている事があります。

リーフレットも作っていますし、機会ある毎にお見せするように
しています。展示会の会場の受付の後ろにも、大きな看板を
掲げています。



これは看板にするために、もしくは1枚のリーフレットにするために、
1ページにまとまる文面で書いています。

実はこれだけでは書き足りない事がありますので、
以下に補足します。

ウエステックは、お客様の生産現場の作業効率を上げる事を
目的としています。極端な話をすれば、整列機を使わなくても
効率が上がるのであれば、それでも構わないと考えています。
実際、治具だけで効率UPがはかれた件も有り、治具だけでも
売っていますし、整列機を買って戴いても、全く効率アップが
はかれないと判断された場合は、お断りする事さえ有ります。

これは、お客様に対しても言える事です。実際にお客様の工場に
伺った時に目にする生産現場が、必ずしも作業効率第一に
なってない場合が意外とあります。

特に、自動化されているラインで、そういった事例を
見掛ける事がまま有ります。

本来は自動化する事で効率アップをはかる事や
省力化が目的ですが、結果的にあまり成功しているとは
思えない場合があります。

自動化を達成した会社が生き残れるのならば、
お金のある会社が勝つ事になります。
もちろんそういう場合も多いですが、
そうでない会社でも立派に健闘している所が有ります。

製造業の命題は、市場が要求する技術・価格・納期に
対応する事ですが、自動化は手段であって目的ではない事は、
誰でも理解していながら、往々にして、自動化が目的となり、
自動ラインが完成すると安心してしまう傾向が有ります。

以下に、自動化にあたり、注意すべき点をまとめてみました。
自動化については様々な本が出版されていますが、
弊社の意見も参考に為れば幸いです。

1:自動化が目的となっていない事。
2:製品の性能・品質及び安全面から必要とされる自動化は
 迷わず実行する事。
3:セッティングを除き、完全無人化が可能な事。
 または1人のマシンオペレータが複数台を操作できる事。
4:他の生産方式と比べて明らかに生産効率が良く、
 かつ大幅なコストダウンができる事。
5:自動化で稼働後、納期短縮ができている事。
6:セッティング及びメンテナンス要員を複数確保できている事。
7:同一製品が5年以上流れ、購入機械の償却は2年以内に終わる事。

現実問題として、自動化の成否は、購入する側の技術力で
決まる場合が多いです。

更に言えば、自動化の成否は、技術と経験の積み重ねのみで
決まると言っても過言ではありません。

その場合でも、欲を言えば、過去の実績品の単なる踏襲に
収まらず、少しばかりチャレンジ精神が有った方が、
更なる効率アップの道も開けます。

実際のところ、高価で性能の良い自動機は多いですが、
安くて良い自動機は少ないので、今までうまく行っていた
方法を踏襲するのは確かに安全ですが、同じ動きをする機器
各々のコストダウンもさる事ながら、自動機全体を俯瞰し、
コストダウンできる箇所や機構も見付けられると、
大幅なコストダウンにつながる場合もあります。

さて、晴れて自動化を行なったとしまして、それだけで
安心してはいけません。注意事項がまだまだ有ります。

1:生産よりも自動機を動かす事が目的となっていないか。
2:市場の要求よりも、自動化ラインに合わせた商品設計を
 していないか。
3:生産がストップしても、高価な自動化ラインを捨てる事が
 できなくなっていないか。
4:セッティングやメンテナンスが自社で出来ず、
 その度に費用が発生していないか。
5:稼働後も不良率が高かったり、チョコ停が多くて、
 改造を繰り返す事になっていないか。

自動化は、自動化しなくても利益が予測でき、
自動化する事により、更に儲かる場合に行いたい
ところです。

逆に言うと、完全自動化以外、利益が確保できない製品の
自動化は、できる事なら避けた方が無難です。

一方、ウエステックの装置や治具は、自動化とは違い、
作業者を中心とし、生産効率を優先させたシステムです。

導入コストが低いだけでなく、治具を増やしたり
作業者を増員する事で、簡単に生産能力を上げられます。

一時的な増産などが生じた時でも、簡単に生産能力を
1.5倍とか、2倍とか、好きに調整できます。

やはり「怖い絵」展は混んでいますね

2017-10-27 11:58:14 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

以前のブログの与太話で、美術展の混雑について
書きました。

有名な画家の美術展とかですと、大抵は混みますが、
1年に数回といった頻度で、大混雑と呼べるレベルに
なってしまう美術展があります。

今大混雑が起きているのは「怖い絵」展です。
これは数年前から同じタイトルの書籍が出ていて
(中野京子氏筆)、ベストセラーになっています。

今は東京上野の美術館で開催されていますが、
美術館自体があまり大きくないため、
屋外に行列を作って順番待ちする事になります。

最近、東京は特に土日に雨が降る事が多いため、
雨の中、1時間以上待ったりしているようです。

絵そのものが怖い場合もありますが、
絵は一見普通で、描かれた背景を知る事で、
背筋がゾッとする絵も多く展示されています。

今度の10月29日のNHKの日曜美術館で、
本放送ではありませんが、後半の美術展を
紹介するコーナーで放送されるそうですから、
入場者が更に増える事も予想されます。
行く予定の有る方は早めにどうぞ。それでも
1時間以上並ぶ覚悟は必要でしょうけど。

実は私は既に見に行きました。20分ほどしか
並んでいません。開催初日に開館して45分ほど
経った頃に行ったからです。

土曜日でしたが、運良く朝から時間が
自由に使える日でした。開館前に行くと、
開館待ちをしている人が多く並んでいます。
開館後、その最初の人達がほぼ入館しきった頃が、
実は最も順番待ちの列が短い事が多いのです。
今回はそれを狙いました。

あ、でもこれは、開催初日限定の裏ワザです。
何日か経つと、入館者数そのものがどんどん
増えて行きますので、同じワザを使っても、
待ち時間は長いです。

もちろん、平日の昼間に行ける方は、
大混雑は避けられます。ただ、東京の場合、
平日でもそこそこ混在します。

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話は少し変わりますが、田舎出身の私にとっては、
この長蛇の列というのが理解できない現象でした。

実家にいた頃は、ほとんど並んだ経験が有りません。
並ぶほど人がいなかったからです。

30年以上前になりますが、私は大学進学とともに
上京しました。その時、東京の人はよく並ぶ事に
驚きました。

行列を見ると並びたくなる人もいるらしく、
信じられませんでした。当時、宣伝のため。
サクラで店員さんが私服を着て並んだり、
バイトの人が並ぶ事もあったようです。
人気の有る商品を買うために並んでいる、
と見せ掛けていたのです。

私は決して短気というわけではありません。
東北の人にはかないませんが、九州の人間の中では、
気が長い方だと思います。

しかし、例えば1時間以上並ばなければならないとしたら、
その1時間を別の事に使った方が有意義なんじゃないか、
とすぐ考えるタチなのです。どうしても並ばなくては
ならない時も、30分が限界ですね。

ですので、例えばディズニーランドとかの
アトラクション系も苦手です。アトラクションが
苦手なのではなく、並びたくないからです。

また、平日の昼間なのに、東京は並んでいる人が
多い事があるのも、信じられませんでした。

この人達、仕事はどうしているんだろうと思いました。
私の田舎では、特に30年前は、若い成年男子が例えば
昼間のデパートとかにいるのは考えられませんでした。
いたら、店員から明らかに変な目で見られます。

私が新卒で入った会社は日・月曜日休みだったので、
急用で帰省した時、月曜日にデパートに行ったら、
不審者のように見られました。

しかし、東京であれば、30年前であっても、
昼前から夜遅くにかけて仕事をしている人や、
夜間に仕事をしている人の数もそれなりに多いので、
昼間でも普通に長蛇の列を作れるんですよね。

実は整列だけに特化されていない穴形状

2017-10-26 09:16:46 | 効率アップ
ウエステックの過去のブログで、
整列治具に加工された整列穴は、
整列用に特化された穴だと何度か書いています。

整列治具を整列機にセットして、高い整列率と
短い整列時間を達成する事を最優先に考えて
作っています。

とは言ったものの、全ての場合においてそうか、
となると、必ずしもそうとばかりも言えません。

そもそも整列機は、部品供給装置です。
並べた部品は次の工程に流れて行きます。
つまり、次の工程で使う治具や装置に、
移し替えやすくなっていたり、
ロボットなどで拾いやすくなっている事も重要です。

そもそも、整列しやすさ、整列時間の短さを
最優先にしていたとしても、移し替えがしづらければ、
その移し替え作業に必要以上の時間を要する事に
なってしまい、それでは整列時間が長いのと
同じ事になってしまいます。

また、整列治具から、並んでいる部品を直接
ピック&プレースする場合でも、ピックの失敗頻度が
想定以上だと、これも供給装置としての能力が
あまりないのと同等の意味になってしまいます。

そこで、整列させた後の使い勝手も、
できるだけ考慮に入れる必要が出て来ます。

もちろん、高い整列率と、短い整列時間を
キープしたまま、というのが理想ですが、
全ての場合で、そううまく行くとは限りません。

しかし、場合によっては、整列穴形状を変える事によって、
例えば整列時間が2分30秒から3分に増えたとしても、
それがトータル時間の短縮につながるのであれば、
やった方が良い事になります。

この辺が、部品供給装置の難しいところです。

簡単な例を挙げます。



上図のAとBの整列穴、どちらが並びやすいかと言うと、
Bの穴です。極端な事を言ってしまうと、
部品が2個入ったりしなければ、また、入った部品が
穴の中で斜めになったりしなければ、整列穴は
できるだけ大きい方が並びやすいのです。

しかし、確かに整列のみを考えれば、Bの穴の方が
良い事になりますが、並べた後の工程を考えた時、
Bの使い勝手はどうでしょうか?



Bの穴の中では、部品は大きく動きます。
この後の工程で使う治具やトレーに移し替えるにしても、
これだけ動かれると、穴の位置が合いません。

この整列治具から移し替えず、この上で部品に電極を
印刷する場合でも、電極のパターンがズレまくりです。

しかし、この部品がセラミックで、整列後に平板に移し替え、
ただ焼成するだけでしたら、Bの穴でも構わない事になります。
部品の向きが揃い、部品どうしが接触していなければ
良いからです。

仮に整列させるところまでしか依頼を受けていなくても、
「整列させたから、あとは知らないよ」では済まされません。

お客様のトレーをお借りして、問題なく移り替わるかや、
ロボットや吸着パッドで問題なく拾えるか、などを
納入前に確認しておく必要があります。

お客様の所でしか確認できない場合は、整列治具を例えば
8枚注文受けていれば、先に1枚だけ納入し、拾えるかを
試して戴いたり、穴数が例えば縦20列×横20列の
400ヶ所有るのが本番用治具だとすると、縦1列の20ヶ所だけ
穴を加工し、それをお客様の所に送って試して戴いたり
しています。

しかし、並べた後の工程を優先させてばかりいても、
現実的ではない事が多いものです。

例えば、整列治具の上で部品に電極を印刷するので、
許容できるギリギリまで整列穴をきつくして欲しい、
と依頼される事もありますが、並べる部品によっては、
整列率が極端に悪くなってしまいます。



この部品の場合、整列穴をきつくし過ぎると、
部品が穴の真上で、ほとんど垂直にならないと、
穴の中に入って行きません。垂直に起き上がって、
穴の中に落ちるまで、少し時間が必要です。

しかし、未整列の部品が後から後から
絶え間なく流れて来ますので、整列穴に入る前に、
穴の上から押し出されてしまいます。

整列穴と部品との間に適度な隙間が有れば、
穴の入口の面取りに部品が差し掛かってすぐ、
部品は穴の中に入って行きます。

よって、お客様と相談し、穴をきつくする事で、
整列時間が支障が出る程に長くなる場合は、
やはり整列治具は整列時間を優先させて作り、
整列後に穴のきつい治具に移し替えて、
そちらの治具で印刷して戴くなどの方法を
提案させて戴く事になります。

また、穴の形状は良くても、整列パターンが
問題になって来るケースも有ります。



よく有るのはこのパターンです。板金部品(端子)を
向かい合わせにして並べたい。1~10の10個ずつを、
このまま吸着して次工程に持って行きたいから、
このパターン通り並べてくれ、というものです。

問題ない場合もありますが、整列に支障が出る事も
あります。



整列の最中は、このように、整列穴に端子が前後逆に
入る事があります。その場合、端子の細い部分が、
隣の穴に干渉してしまう位置になっています。

この絵の場合は1の穴に端子が逆に入り、
6の穴に干渉して、そのせいで6の穴に端子が
入らなくなってしまっています。

すると、まずは1の端子が出て行ってくれないと、
6の穴にも並びません。同じ現象が整列治具上の
至る所で起きるわけです。

そこで、下図のように、敢えて同じ向きに揃えて
並べても良いかどうか、相談させて戴く場合が
あります。これならば逆でも干渉はしないので、
整列時間の短縮が見込まれます。
時間が半分くらいになる事もあります。



ただ、こうしてしまうと、吸着時に1~5と6~10の
半分ずつしか吸着できなくなりますし、
しかも6~10を取る時は吸着ヘッドを180°
回さなくてはならないですとか、もしくは
整列治具を2枚用意して、隣に前後逆にセットし、
右の整列治具から1~5を取り、左から6~10を取る、
といった方法になってしまいます。

このあたりは、お客様側の設備が絡みますので、
別途相談となります。

こんな答えが出て来るなんて・・・(嘆)

2017-10-24 10:19:16 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)



これ何だか分かります?
CADで書いた六角ナットの図面です。

2つの六角ナットの中心間のピッチ(距離)を
15mmから14mmに変更しておいて、と言ったら、
こんな修正がされました。

ナットの中心のネジ部だけが、14mmになっています。
ナットに対して、ネジ部が動いてしまっているという
驚きの図面です。

ギャグでも何でもないですよ。実際に起こった話です。

研修段階でしたが、ボルト・ナットを知らない新人が、
こういう図面修正をやりました。

確かに、指示者は、ナットの中心間のピッチを直せ、
と言っただけで、外側の六角形もネジ部と一緒に
移動させなくてはならない、とは一言も
言っていません。

それは、これは六角ナットという部品だから、
という頭が有るからです。

しかし、六角ナットを本当に知らない人にやらせると、
こういう修正も有り得るんですね。こういう発想は
普通は無いですけどね。

ボルト・ナットの知識が無い、とは聞いていたものの、
知っている人が想像する「知らない状態」と、
本当に知らない人の「知らない状態」というのには、
別次元と呼べるほどの差が有るのですね。

「これは5円玉の穴と同じで、穴だけ動いたり
しない物なんだ」と説明し、「ナットというのは
規格化された物で、部材どうしの締め付けに
使われる部品で」って、どこまで説明すりゃ
良いんだよ、と、これから先もいろんな事を
この調子で教えなきゃならんのかと考えると、
気が遠くなる思いでした。

聞くと、子供の頃から、プラモデル組み立てたりとか、
家の物を修理したりとか、時計を分解したりとか、
そういう事を一切やって来なかったらしいのです。
そして、車の免許も持たず、文科系の大学を出ました。
モノ作りから遠い環境で育ったわけです。

しかし、そうだとしても、あまりにも物(製造品)を
知らな過ぎます。

ゆとり教育の弊害かどうかは分かりません。
実際、モロゆとり世代でも、高専出て加工の仕事を
バリバリこなしている社員もいます。

この新人は極端な例かも知れませんが、
外で遊ばず、バーチャルなゲームばかり
やっていて、実際の物を知らなくても、
普通に成長して、大学まで卒業できるんだな、
と思いました。

分数の計算ができない大学生がいる、と聞いた事が
ありますが、似たような感じでしょうか?

確かに、日常生活では、整数さえ理解していれば、
生きて行くのに支障は無いかも知れませんが、
例えば円周率を3にしてしまっては、そこで思考が
止まってしまいますよね。

円周率が3.14・・・と、規則性の無い数字が
どこまでも続く事を知ると、何故だろうと
考え出す子供がいます。有理数と無理数の違いを
認識し、すると素数や√(平方根)の考え方も
頭に入って来ます。

設計職でも、さすがに微分・積分までは使う機会は
少ないと思いますが、もしかすると将来、
優秀な科学者になるはずだった芽が摘まれて
しまった可能性は有ります。

また、円周率を3という具合に簡略化する思考を
身に付ける事で、それが良くない方向に助長されると、
物に対する好奇心が育たず、生活環境によっては、
六角ナットの中心にあるはずのネジ部が動く、
というところまで行き着くのかも知れません。

ダリの歪んだ時計も、時計という物が硬く、
針が円周上を正確に回る、という事を皆が
知っているからこそ、あの絵はインパクトが
有りましたが、美大生が同じ効果を狙って、
六角の中心からネジ部がズレたナットを書いても、
そういうもんだ、と疑わずに見ている人がいると
知ったら、さぞかしビックリするでしょう。

廉価版の整列機は無いのかね?

2017-10-23 13:09:39 | 効率アップ
ウエステックの整列機は、高い整列率を実現するため、
高機能になっています。整列治具の作り込みさえ行えば、
それに適した振動条件を幾通りも設定できるように
なっています。

一方で、そこまで高機能でなくても良いから、
もっと安い整列機は無いの?と聞かれる事も
有ります。

実際、展示会などで、どのような事ができるか、
具体的には、どのような形状の部品を並べられるか、
それらを一通り説明した後、価格を聞かれ、
答えると、一瞬固まるお客様も多いです。

ウエステックの整列機は、振動数・振動時間・
揺動の角度を、各往復毎に様々に設定できます。
それを振動条件としてプログラムして記憶させ、
実際の稼働時には、起動ボタンを押すだけです。
入力されたプログラムの通りに動き、
最後は水平に戻って停止します。

プログラムの組み方によっては、往復を切り換えずに、
同じ方向の傾きのまま、振動数や角度を何段階にも
分けて動かす事もできます。

実際、複雑な形状をした部品ですとか、
整列の進行状況によって流れ方が大きく変わる
ような部品ですと、結構複雑な整列プログラムを
組まなければならない事が有ります。

それは、一番小さい整列機、MRV-MINI-Sでも
できます。大型の整列機であるMRV-Ⅲ-STWとかでも、
動きとしては同じです。大きなサイズの整列治具や、
整列治具を8枚とか16枚とかセットできるように、
能力が大きいだけで、基本的な制御や機構は
小型の整列機も大型の整列機も変わりません。

よって、小型の整列機でも、部品点数は大型の機械と
ほとんど変わりません。すると、小型だからと言って、
製造コストがそれほど安くならないのです。

何千台、何万台も売れれば、安く作れるでしょうが、
整列機は、その上に乗せる整列治具さえ入れ替えれば、
違う部品の整列にも使える、というのがメリットでも
ありますので、治具の種類の多さほどには、
台数は売れません。

定価ベースではありますが、一番安いMRV-MINI-Sでも
110万円します。揺動部分を手動にしたMRV-MINI-Mでも
60万円です。

一方で、単純な形状をした部品の整列だと、
そんなに複雑な振動は必要ありません。
手で振っても並ぶくらいですが、
一日中手で振っていると腱鞘炎になって
しまいますので、可変できなくても良いから、
とにかく振動と揺動だけを繰り返すような
整列機って無いの?というわけです。

整列機ではありませんが、似たような動きをする
機械は、世の中には有ります。試験管の撹拌装置です。

10~20本ほどの試験管に液状のサンプルを入れ、
ユラユラと、ただかき混ぜるだけです。
緩い角度で揺動しなから、一定の振動を繰り返すだけ、
というものです。

化学薬品や医学用の試験サンプルを試験管に入れ、
ただ撹拌するだけ。複数の薬品を混ぜたり、
固まらないようにただ振っているだけ。
とは言え、何本もの試験管を入れ替えながら、
一日中何回も振っていなければならない、
という場合に使います。

このテの撹拌装置は、卓上型で、価格も10万円台
と安いです。

これを整列機代わりに使っているお客様もいます。
たまたま攪拌機の振動でも並ぶような部品を
扱っていたのです。

ただ、整列治具と並べる部品を撹拌装置に乗せると、
試験管よりも遙かに重いため、あまり長持ちせずに
壊れます。

予備の撹拌装置をストックしておいて、
壊れたら新しいのに入れ替えて使っています。

しかし、あまり頻繁に壊れるようだと、
結局はコストがかさむので、整列治具と
並べる部品を乗せても、滅多な事では
壊れないような攪拌機を作ってくれないか、
という事です。

攪拌機メーカーは、頼まれても作りません。
元々試験管を振る装置ですので、そんな重い
試験管は世の中に存在しないからです。

すると、整列機メーカーの方に、同じ要望が
回って来るわけです。重い物を乗せても
大丈夫なような頑丈な攪拌機を、
整列機として作ってくれないか、
というわけです。

現在、開発中ですが、意外と難しく、
時間が掛かっています。技術的には
難しくありませんが、なかなか安く
ならないのです。

振動の強さは、標準の整列機のように
リニアに変更できる必要はありませんが、
せめて2~3段階には調整できるように
なっている必要があります。

部品によっては、振動が弱くて
全く流れなかったり、逆に振動が強過ぎて、
せっかく並んでいる部品まで整列穴から
出て行ってしまうようでは、整列機には
なりません。

安くて軽いモータの選定から、簡単な制御が
できるところまで、いろいろ調べていますが、
なかなかちょうど良い物がありません。

電気按摩器のように、何となく振動が
伝わっていれば良い、というレベルでは
済まされません。或る程度の種類の部品が、
実際に並ばなくてはなりません。

試作機ができても、整列させる部品の
適用範囲があまりに狭いようだと、
またモータの選定からやり直しです。

意外に、整列機に適した振動が出せて、
かつ安いモータとなると、なかなか
有りません。今、海外製のモータも
視野に入れて、選定・設計を繰り返して
いるところです。