整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

縦振動式整列機の妙技

2017-08-07 09:56:11 | 効率アップ
ウエステックの整列機には、縦、すなわち垂直に振動する
タイプがあります。

先日説明しました通り、整列の依頼を受ける部品の内、
9割は横振動で並びます。それだけ汎用性の高い横振動でも、
どうしても並ばない部品があります。

そんな時には縦振動式の出番です。実際、困った時の縦振動、
といった感じで、横振動での整列実験で、様々な方法を
やり尽くして並ばなかった部品でも、縦振動に切り換えると、
意外とすんなり並ぶ事があります。

だったら最初から縦振動で整列実験すれば?と思われるかも
知れませんが、そう簡単にはしょる事ができない
事情があります。

横振動が汎用性が高いという事は、既にお客様が持っている
整列機の大部分が横振動式だという事に他なりません。

横振動で並べば、その既存の横振動式整列機を使い、
新たに用意するのは整列治具だけで済みますが、
縦振動で並べるとなりますと、ほとんどの場合、
縦振動式整列機を新たに購入して戴く必要に
迫られるのです。

弊社としては儲かりますが、お客様にしてみれば、
整列機が既存の物で間に合えば、それに越した事は
ありませんので、当然そういう要望が出て来ます。

実際、縦振動で並ぶ、という結果が出ても、
縦振動式整列機を買う予算を取っていなかったので、
今回は見送り、となったケースが何度かあります。

さて、部品を並べるにおいて、縦振動のどこに、
その特性があるのでしょうか?

わかりやすい例が、ピンのような細長い部品を、
狭い整列ピッチ(整列間隔)に高密度に縦に
並べる場合です。

Westech Youtube 03


横振動で流しますと、細長い部品は寝っ転がった
状態で流れて行きます。それを90°起こして、
縦に整列穴に入れるためには、穴の入口に
大きな面取り加工が必要です。

しかし、整列ピッチが狭いと、大きな面取りが
施せません。

部品が小さければ、これも以前紹介しましたが、
バキューム式整列機を使えば、簡単に縦に起こす
事ができます。

しかし、部品が或る程度大きいと、バキュームでは
吸い込みきれないのです。

そんな時には縦振動です。縦振動であれば、
部品を並べたい向きと、振動の向きが最初から
同じですから、こういう場合には適しています。

ところで、細長い部品とは言っても、通常は上下の
区別があります。上半分が細くて、下半分が太い、
といった形状です。その向きをどうやって
揃えるのでしょうか?

そこは、整列治具の穴形状で対応します。
例えば、正しい向きの部品は深く、
逆向きの部品は浅く入るように設計します。
すると、縦に振動させて、部品を整列穴の中で
弾ませる事で、浅く入った部品だけを、
整列穴から排出する事が可能になります。

この振動を繰り返す事により、最後には
全ての穴に、正しい向きで並びます。

細長い部品だけに限りません。逆向きに整列穴に
入った部品だけが、整列穴の中で弾みやすいように
工夫すれば、正しい向きの部品だけが整列穴に残り、
最後には全ての穴に、正しい向きで並びます。

また、以前のブログで、整列間隔(整列ピッチ)が
狭過ぎると、整列済みの部品と部品の隙間を、
未整列の部品がすり抜けられず、
流れが悪くなる、と書きました。

縦振動ですと、部品が弾みながら流れて行きますので、
整列済みの部品の上を飛び越えて行きます。

このように、優れた特性を持っている縦振動ですが、
実際には、横振動の方が適している部品の方が多いので、
縦振動式整列機の出荷台数は、正直あまり多くありません。


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