整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

並んだ部品だけを取り出せた方が良い?

2018-02-05 13:05:25 | 効率アップ
ウエステックの整列機は、整列パレットと
呼んでいる板状の治具に、定められた間隔
(整列ピッチ)、定められた整列姿勢で
多数個の部品を揃えます。

その整列パレットを整列機から取り外すのは、
基本的には手作業になります。

横振動タイプの整列機の場合、整列パレットは
この絵のようにセットされています。



振動テーブル上にレールのように取り付けられた
サイドステーの間に、回収パレット(小側)・
整列パレット・回収パレット(大側)を並べて
セットします。この3つをスプリング取手で
ストッパーに押し当てる状態で整列機を
動かします。

部品は通常、回収パレット(大側)に投入します。
揺動と振動を繰り返し、整列動作を行います。

部品が整列パレットに並んだら、スプリング取手を
手で手前に引き、回収パレット(小側)を取り出し、
整列パレットを取り出します。

大側の回収パレットには、並びきらなかった部品が
収納されている状態ですので、別の部品を並べる時
以外は、基本的に外しません。

整列パレットをセットし直す時は、整列パレットを
大側の回収パレットの前に置き、スプリング取手を
引きながら小側の回収パレットを入れ、スプリング取手を
離すと、ストッパに押し付けられた状態になります。

これらのセット作業は、少し煩雑に思われるかも
知れません。

もっと簡易的にならないかとの要望が昔から有り、
検討を重ねましたが、いろいろと問題が有り、
結局はこの機構に回帰してしまっています。

スプリング取手で押す、という方法が、なかなか他の
方法に置き換えられないのです。

整列パレットと回収パレットの間に隙間ができてしまうと、
そこに部品が落ちたり引っ掛かったりしますので、
押し付ける必要が有ります。

トグルクランプで押し付ける、という方法が有りますが、
トグルクランプのハンドルを倒し忘れて整列機を
動かしてしまいますと、回収パレットと整列パレットの
間に隙間ができたままですので、部品を床に散乱させて
しまう事になり、復旧作業が大変です。
部品によっては、廃棄を余儀なくなれる物も
有るでしょう。

スプリングならば、手を離せば必ず元に戻ります
(押します)ので、その心配が少ないです。

さて、以前のブログで、改造こそ必要ですが、
整列機は自動機にも対応できる、と書きました。
並んだ部品を自動機に供給できるのです。

その場合、2通りの方法が考えられます。

1つは、部品が並んだ整列パレットを自動で取り出し、
カラの整列パレットに入れ替える方法。

もう1つは、並んだ部品だけを、吸着もしくは
マグネットなどを用いて、整列パレットの上から
拾い上げる方法です。

部品によっては吸着できなかったり、磁性体では
ないのでマグネットでは持ち上がらない物も
有るでしょうから、パレットを入れ替える
方法が良いかな、と考えられる方が多いかも
知れません。

やり方としては、スプリング取手の代わりに
エアシリンダなどで回収パレットと整列パレットを
押し付けた状態を保持し、部品を整列させた後、
エアシリンダのINとOUTを切り換えて、
小側の回収パレットを手前に引き寄せます。
同時に、大側の回収パレットも奥側に少し
下がるようにします。

すると、整列パレットの手前側と奥側に、
ツメを入れられるような隙間ができますので、
ロボットで持ち上げられるようになります。

部品が整列済みの整列パレットを取り出し、
所定の位置に置いたら、カラの整列パレットを
整列機に置き、エアシリンダで大小の回収パレットを
挟みつけ、整列を再開します。

しかし、この方法はあまりお勧めはできせん。

理由は幾つか有ります。まず、整列パレットは
部品を整列させる事に特化した穴形状に
加工してあり、単価が高いです。

整列パレット自体を、他の工程に持って行くと、
整列パレットを何枚も用意しなければなりません。

部品を一旦並べてしまえば、その部品の向きを
保持できさえすれば良いわけですから、
簡単な穴形状を持ったパレットか、
成型品のトレーに移し替えた方が安上がりです。

また、整列パレットが部品を整列させる事に
特化した穴形状になっている事が、
部品を乗せたまま搬送するのに適していない
場合が有ります。

特に、横振動タイプの整列機で並べた部品は、
縦に振動を与えると、整列穴から簡単に
出て行ってしまったり、整列穴の上で斜めに
向きがズレてしまう事がよくあります。

整列パレットを整列機から取り出したり、
所定の位置に置く時、その僅かな縦振動が
命取りになる事も有ります。

もう1つは、時間的にあまり速くないと
いう事です。

上記の回収パレットの待避と整列パレットの
入れ替えは、ロボットにやらせると、
人間がやるよりも遅いです。既述の通り、
並んでいる部品の向きが狂わないようにする
必要がある事から、ショックを与えられないあまり、
スピードアップできないのです。

自動化の主な目的に、時間の短縮が含まれている
のでしたら、整列パレットを入れ替える方法は、
あまり効率的ではありません。

整列パレットは整列機にセットしたままにしておき、
吸着ヘッドをそのまま整列パレットに被せ、
並んでいる部品だけを取り出した方が、
圧倒的に速いです。


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