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どこまでが利己的な遺伝子?

2017-10-18 09:15:35 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

かなり前になりますが、「利己的な遺伝子」という理論と、
それに便乗した本が何冊も出版され、話題になりました。

人間を含めて、あらゆる生命体は、遺伝子を子々孫々まで
残すための乗り物に過ぎず、生命体の行動は、
遺伝子の存続を目的としている、というのが
その理論です。

ダーウィンの進化論で説明できなかった部分を
説明できる、として、世界中で話題になりました。

その理論を発表したのはドーキンスというイギリスの
動物行動学者で、40年ほど前です。

その後、医学が発達し、人間による遺伝子操作が
可能になって来た時点で、再度話題になりました。
それが20年ほど前です。

遺伝子をネタにしたSF映画や小説、漫画なども
多数出て来ました。

小説ではありませんが、「そんなバカな!
遺伝子と神について」という本を竹内久美子氏
(動物行動学研究家?)という人が書いています。

ベストセラーにもなったので、覚えている人も
いるかも知れません。

もともと、利己的な遺伝子というのは、自己保存と
繁栄のために生命体は行動するものだが、
それは遺伝子に起因するものだ、という理論です。

例えばカマキリは交尾の後、オスはメスに食べられて
しまいます。オスにしてみれば、利己的とは正反対の
行動のように見えますが、子孫繁栄のための栄養分に
なるのであれば、自分の遺伝子が残るための行動と
とらえる事ができ、遺伝子にとっては利己的と
解釈されます。

また、働き蜂もそうです。自身は生殖能力を無くし、
女王蜂が生き長らえ、たくさんの子孫を残せるように、
食料を運び、敵が来たら身を盾にして守ります。

遺伝子的には、働き蜂と女王蜂は姉妹と言えるので、
一見利己的とは思えない働き蜂の立ち位置も、
遺伝子存続という視点から見れば、
充分に利己的と言える、という解釈です。

ここからはちょっと理論が一人歩きして、
遺伝子存続のためにのみ、全ての生命体は
生かされている、といった解釈まで
出て来ました。

幾つか挙げられた事例が面白いものだから、
また、今まで説明できなっかたものが
説明できたり、読んで腑に落ちるものが
多かったりした事から、広く世の中に
受け入れられました。

しかし、これは文字通り拡大解釈です。

遺伝子自身には意志が有りません。
DNAはただの塩基の鎖です。

「そんなバカな!・・・」は、その拡大解釈を
更に助長させ、人間の普段の生活に至るまで、
遺伝子の意志がなせるワザ、みたいな文面が
見受けられます。

人間が子供が欲しくなるのは、利己的な遺伝子が、
乗っている乗り物を早めに更新して活きの良い物に
しておきたいから、・・・は、まだ良いです。

親が子を叱るのは、子供に嫌われて自立を早く促し、
節約できた分を下の子供に使うため、・・・んん?

姑が嫁をいびるのは、息子の遺伝子を持った
子供を連れて嫁が出て行って欲しいから、
(そんな子供が増えれば、自分の遺伝子も増える)、
・・・失笑。

ここまで来ると、こじつけも良いところです。

当時の営業担当者が、雑談のネタになるからといって、
この本を読んでいました。

飲み会の時に、ウンチクよろしくそれを語り出しました。
そしたら別の同僚が、元の理論のドーキンスの著書を
読んでいて、結構盛り上がっていました。

話を聞いていた私が、「それって、昨日の日経平均株価が
下がった理由を解説しているエコノミストのコメントと
同じで、後付けの理論であって、それが腑に落ちるから
と言って、必ずしもその通りとは言えませんよね」
と水を差してしまいました。

こじつけであろうが、なかろうが、後から理論付けを
したものが、仮にいくら納得できるものであっても、
本当にそうか?という疑問は常に持っておくべきだと
思います。

そうでないと、自分でも気が付かない内に、
思考の柔軟性が失われて行ってしまいます。

人間は一旦結論らしきものが出ると、
その延長線上でしか物事を考えられなく
なるからです。

特に、利己的な遺伝子の事例は、検証ができない
ものがほとんどで、仮説の域を出ていません。

それを、あたかも科学的裏付けがあるかの如く、
日常生活にまで理論付けを広げても、
所詮それはエッセイに過ぎません。

ウケ狙いのレベルにとどめておけば、
面白くて良いかと思うのですが。


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