整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

バキューム式の妙技

2017-06-05 13:35:49 | 効率アップ
ウエステックの整列機の機種の中に、
バキューム式、というのがあります。

整列穴の底面に吸着穴をあけておき、
吸引させる事で、部品を整列穴に呼び込んだり、
一旦並んだ部品が、整列機の振動で
出て行ってしまわないようにする手法です。

バキュームだけで整列させるわけではなく、
横振動や回転振動と組み合わせて使います。

バキュームが加わる事により、振動だけでは
整列できなかった部品も整列できるようになります。

一見すると簡単そうですが、実は奥が深いです。

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まず、整列穴に部品を呼び込む時の吸引ですが、
間欠式である事が重要です。

吸いっぱなしですと、違う向きに穴に入ろうと
している部品が、そのままの姿勢で整列穴を
ふさいでしまいます。

吸引を一旦切ると、そういう部品は
穴から離れて行きますので、
吸引はON/OFFを繰り返すのがミソです。

又、吸引している時間、していない時間も
重要です。部品によっては、吸引ON時間を長く、
OFF時間を短くしたり、或いは逆にした方が
良い場合もあります。

尚、整列機を起動した直後は、
まだ未整列穴が多数あるため、
その未整列穴からエアが大量に漏れますので、
吸引力が弱い状態ですが、徐々に並び出すと、
部品が吸引穴を次々とふさいで行きますので、
少しずつ吸引力が強くなって行きます。

この一定しない吸引力が、整列率に影響を
及ぼす事もありますので、注意が必要です。

この方式が適している部品は、ピンを高密度に(狭い整列間隔で)立てて並べる時などです。

通常、ピンは横に寝た状態で流れて行きます。
それを立てて整列させるためには、整列穴の入口に
大きめの面取りが必要です。

しかし、整列間隔が狭いと、隣の穴が近過ぎて、
充分な大きさの面取りが加工できません


そんな時は、バキュームでピンを吸い込めば、
小さい面取りでも、ピンが整列穴に呼び込まれ、
縦に穴に入って行きます。

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さて、バキュームを使ったもう一つの整列方法は、
並んだ部品が整列穴から出て行かないように、
弱い吸引をかけっぱなしにする、という手法です。

この手法は、ドームスイッチの整列によく使われます。

ドームスイッチ(メンブレンスイッチ)は、
小さく薄い円盤状のスイッチで、
フリスビーを直径5mmくらいにしたイメージです。
押すとスイッチ自身がたわみ、中央がへこみます。

これを並べようとしますと、部品自身が非常に薄いため、
1つの整列穴に、ドームスイッチが2枚重なって
入ってしまう
現象が起きます。

これを、1枚ずつ入っている状態にするため、
整列穴の底面に吸着穴をあけておき、
そこから弱い吸引をかけた状態で
整列機を動かすのです。

すると、1枚目のドームスイッチは、吸着穴をピッタリ
ふさぎますので、整列穴にしっかりと固定されますが、
その上に重なっているドームスイッチは、
整列機の振動を強くすると、振り落とす事ができます。

ところで、ドームスイッチは、スイッチ製品としては、
部品点数が非常に少なく、安価に作れますので、
ここ数年はリモコンのスイッチを始め、
至る所で見かけるようになりました。

一昔前は、ガラケーのプッシュボタンスイッチ用
(電話番号を押すスイッチ)に大量に使われていました。

当時、携帯電話ではノキアが世界的に巨大なシェアを
持っており、生産量が桁はずれに多かったため、
ドームスイッチをプッシュボタンのパターン通りに並べる、
という仕事が非常に多かったのを覚えています。

今やスマートフォンが主流になり、ボタンスイッチの数が
極端に少なくなりました。電源ボタンとボリュームボタン
くらいしか残っていません。
あとの入力は、全てタッチパネルでやります。

携帯電話用のスイッチを作るメーカーは、
アジア各国に大小たくさん有ったのですが、
スマホの台頭で、その多くが陶太されて
しまいました。


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