ウエステックは小さな会社ですが、
整列機ではトップメーカーです。
それもそのはず。トップとは言っても、
現在、整列機を作っているメーカーは
数社しかありません。
以前は20社近く有りましたが、徐々に淘汰されて行き、
今では数社を残すのみです。
整列機自体が使われなくなって来た?いえいえ、
そんな事はありません。手間が掛かり過ぎるので、
採算が合わなくなって行き、徐々に縮小・撤退して
行ってしまったのです。
元々、アメリカのシェーカーというメーカーが作ったのが、
整列機の発祥と言われています。初期の頃の製品は、
単純な振動と揺動をガサガサと繰り返すだけでした。
簡単な形状の部品が対象でした。整列穴形状も単純で、
要は手で振っても並ぶような物ばかりでしたが、
部品や整列治具が重いと、手で振っていられないので、
装置化した、という感じです。
その内、整列穴形状を工夫すれば、そこそこ複雑な
形をした部品でも並べられる事が分かり、
ケーススタディーを積み重ね、ノウハウが蓄積されて
行きました。
うまく並ぶと、部品供給装置としては、非常に能力が
高いものですから、日本でも何社かが参入して行きました。
、
ウエステックの整列機も、初期の頃は同じ振動と揺動を
何往復か繰り返し、最後に、残った部品を回収するための
振動だけが、少し違うという程度の物でした。
しかし、いくら整列治具の穴形状を工夫しても、
限界が見えて来ました。
整列機は、揺動と振動を繰り返す事で、部品を並べますが、
最初の数往復で、整列穴の7~8割が並ぶと、部品の流れ方が
変わって来るのです。
最初は未整列穴だらけですので、部品が穴に引っ掛かりやすく、
流れがゆっくりです。しかし、並び出すと、穴が徐々に塞がれ、
平坦な状態に近付いて行きますので、流れが速くなって
行きます。
流れが速過ぎると、未整列穴が部品を捕らえきれません。
残った2~3割の穴に並べるためには、流れがゆっくりに
なるように、整列機の方で調整しなければなりません。
逆のパターンも有ります。部品に大きめの突起が有ると、
整列治具に並んだ時、整列穴からその突起がニョキニョキと
出ている状態になります。
最初は突起が無いため、部品がスムースに流れて行きますが、
整列穴の7~8割が並ぶと、整列治具の表面は突起だらけになり、
未整列の部品の流れがせき止められてしまいます。
こういう場合は、少しずつ振動を強くして行くなどして、
部品の流れを確保しなければなりません。
また、整列機の動きは、単に並べるためだけに
使われるのではありません。
部品どうしが貼り付いていたり、絡み合っていたりした時、
回収パレットという、部品を溜めておく部分の所に
部品を集め、そこで整列時とは違った振動を与えて、
部品をかき混ぜ、分離させる事ができます。
また、回収パレット上で、部品の向きと、整列穴の向きを
合わせるような振動を与える事もあります。
これも、整列時の振動とは違うものです。
更に、整列治具上でも、徐々に並んでは行くものの、
整列穴に、部品が違う向きに引っ掛かる物が数ヶ所
発生するとします。それを取るために、
間欠的に強い振動を与える事があります。
このように、1種類の部品を並べるだけでも、
何パターンかの振動の強さと揺動の傾きを
織り交ぜないと、整列率が上がらない部品が
多々あります。
これらの振動パターンに全て対応させたのが、
現在のウエステックの整列機という事になります。
さて、お客様から部品を並べて欲しい、という
ご要望が有った時、その部品をお借りして、
整列実験をするところから始めますが、
整列機が何種類もの振動パターンに
対応できるからこそ、整列穴形状も
何パターンも考えられます。
整列機が単純な振動の繰り返ししか
出来なければ、整列穴形状も1種類になり、
その穴の幅寸法や深さ寸法、面取りの大きさなどを
何種類か試せば、その条件下での最良の穴形状が
見付かります。
しかし、これでは、並べられる部品の
種類も少なく、整列率もあまり期待できません。
整列機がいろいろな振動を織り交ぜる動作が
可能であれば、全く違う発想の整列穴形状を、
それぞれ何種類も試せます。
こうする事で、大抵の部品は並べる事ができ、
しかも高い整列率が期待できます。
一方で、それは大変な手間と時間を
強いられる作業でもあります。整列実験に
2週間ほどの時間の猶予を戴いているのは
そのためです。
以上の話は、あくまでも"整列"だけです。
以前のブログにも書きましたが、
ウエステックは治具を使った"組立"も
やっています。
組立の実験や確認も大変な手間が掛かります。
整列治具から多数個同時に部品を90°倒す実験や、
吸着して部品を移し替える実験、多数個同時に
圧入する実験などなど、これも成功率が
せめて98%程度にはなるまで、何度もトライを繰り返し、
どうしても成功率が上がらない場合は、
組立治具を作り直したりします。
これだけ手間が掛かるにもかかわらず、
電子部品業界の製品は短納期な件が多いです。
これでは、整列機の競合他社が次々と脱落して
行くのが分かります。手間と時間を惜しむと、
それは整列率や組立成功率の悪化に直結し、
次回から注文が来なくなります。
因果な仕事ではあります。
整列機ではトップメーカーです。
それもそのはず。トップとは言っても、
現在、整列機を作っているメーカーは
数社しかありません。
以前は20社近く有りましたが、徐々に淘汰されて行き、
今では数社を残すのみです。
整列機自体が使われなくなって来た?いえいえ、
そんな事はありません。手間が掛かり過ぎるので、
採算が合わなくなって行き、徐々に縮小・撤退して
行ってしまったのです。
元々、アメリカのシェーカーというメーカーが作ったのが、
整列機の発祥と言われています。初期の頃の製品は、
単純な振動と揺動をガサガサと繰り返すだけでした。
簡単な形状の部品が対象でした。整列穴形状も単純で、
要は手で振っても並ぶような物ばかりでしたが、
部品や整列治具が重いと、手で振っていられないので、
装置化した、という感じです。
その内、整列穴形状を工夫すれば、そこそこ複雑な
形をした部品でも並べられる事が分かり、
ケーススタディーを積み重ね、ノウハウが蓄積されて
行きました。
うまく並ぶと、部品供給装置としては、非常に能力が
高いものですから、日本でも何社かが参入して行きました。
、
ウエステックの整列機も、初期の頃は同じ振動と揺動を
何往復か繰り返し、最後に、残った部品を回収するための
振動だけが、少し違うという程度の物でした。
しかし、いくら整列治具の穴形状を工夫しても、
限界が見えて来ました。
整列機は、揺動と振動を繰り返す事で、部品を並べますが、
最初の数往復で、整列穴の7~8割が並ぶと、部品の流れ方が
変わって来るのです。
最初は未整列穴だらけですので、部品が穴に引っ掛かりやすく、
流れがゆっくりです。しかし、並び出すと、穴が徐々に塞がれ、
平坦な状態に近付いて行きますので、流れが速くなって
行きます。
流れが速過ぎると、未整列穴が部品を捕らえきれません。
残った2~3割の穴に並べるためには、流れがゆっくりに
なるように、整列機の方で調整しなければなりません。
逆のパターンも有ります。部品に大きめの突起が有ると、
整列治具に並んだ時、整列穴からその突起がニョキニョキと
出ている状態になります。
最初は突起が無いため、部品がスムースに流れて行きますが、
整列穴の7~8割が並ぶと、整列治具の表面は突起だらけになり、
未整列の部品の流れがせき止められてしまいます。
こういう場合は、少しずつ振動を強くして行くなどして、
部品の流れを確保しなければなりません。
また、整列機の動きは、単に並べるためだけに
使われるのではありません。
部品どうしが貼り付いていたり、絡み合っていたりした時、
回収パレットという、部品を溜めておく部分の所に
部品を集め、そこで整列時とは違った振動を与えて、
部品をかき混ぜ、分離させる事ができます。
また、回収パレット上で、部品の向きと、整列穴の向きを
合わせるような振動を与える事もあります。
これも、整列時の振動とは違うものです。
更に、整列治具上でも、徐々に並んでは行くものの、
整列穴に、部品が違う向きに引っ掛かる物が数ヶ所
発生するとします。それを取るために、
間欠的に強い振動を与える事があります。
このように、1種類の部品を並べるだけでも、
何パターンかの振動の強さと揺動の傾きを
織り交ぜないと、整列率が上がらない部品が
多々あります。
これらの振動パターンに全て対応させたのが、
現在のウエステックの整列機という事になります。
さて、お客様から部品を並べて欲しい、という
ご要望が有った時、その部品をお借りして、
整列実験をするところから始めますが、
整列機が何種類もの振動パターンに
対応できるからこそ、整列穴形状も
何パターンも考えられます。
整列機が単純な振動の繰り返ししか
出来なければ、整列穴形状も1種類になり、
その穴の幅寸法や深さ寸法、面取りの大きさなどを
何種類か試せば、その条件下での最良の穴形状が
見付かります。
しかし、これでは、並べられる部品の
種類も少なく、整列率もあまり期待できません。
整列機がいろいろな振動を織り交ぜる動作が
可能であれば、全く違う発想の整列穴形状を、
それぞれ何種類も試せます。
こうする事で、大抵の部品は並べる事ができ、
しかも高い整列率が期待できます。
一方で、それは大変な手間と時間を
強いられる作業でもあります。整列実験に
2週間ほどの時間の猶予を戴いているのは
そのためです。
以上の話は、あくまでも"整列"だけです。
以前のブログにも書きましたが、
ウエステックは治具を使った"組立"も
やっています。
組立の実験や確認も大変な手間が掛かります。
整列治具から多数個同時に部品を90°倒す実験や、
吸着して部品を移し替える実験、多数個同時に
圧入する実験などなど、これも成功率が
せめて98%程度にはなるまで、何度もトライを繰り返し、
どうしても成功率が上がらない場合は、
組立治具を作り直したりします。
これだけ手間が掛かるにもかかわらず、
電子部品業界の製品は短納期な件が多いです。
これでは、整列機の競合他社が次々と脱落して
行くのが分かります。手間と時間を惜しむと、
それは整列率や組立成功率の悪化に直結し、
次回から注文が来なくなります。
因果な仕事ではあります。