整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

ウエステックの整列機の最終使用地

2017-09-06 15:54:53 | 効率アップ
円安となった現在はそうでもないですが、
円高だった頃、そしてその期間が長かったため、
日本の企業は海外に盛んに工場を移転していました。

ウエステック
の整列機の最終使用地も、
販売数の7~8割方が海外、という時期がありました。

最終使用地はアジア各国がメインです。
中国・韓国・タイ・インドネシア・マレーシア・
フィリピンなどでした。インドやベトナムにも
徐々に増えて行きました。

為替差益や、人件費の安さからでした
(その当時は中国も人件費が安い頃でした)。

ウエステックが直接輸出する事は少なく、
一旦はお客様の国内工場に納めて、
お客様が自社の海外工場に輸出する手続きを取る、
というパターンが多かったです。

その時に必要になって来るのが、輸出品の
戦略物資非該当証明、即ち、それを使って
輸出国で武器などの戦略物資を作れるような
物ではありませんよ、という証明書です。

直接武器の部品になり得る物はもちろん、
それを使って武器の製造ができるような
産業用機械(工作機械など)も規制の
対象になります。

日本の各メーカーはその事に大変神経を
使っていますので、今の日本で問題になる事は
まずありません。

ウエステックももちろん、いつでも非該当証明を
提出できる体制を取っています。
必要であれば、パラメータシートも用意できます。

以前ほどには、輸出する機械の台数は多く
ありませんが、それでも年間では、結構な台数が
輸出されています。

最近はアジアのメーカーも力を付けて来ていますので、
直接海外のメーカーに売る機会も増えています。

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さて、ここで話を終わらせても良いのですが、
ここからは半分余談として続けます。

企業のほとんどが、戦略物資には非該当で対応済み、
といった今のような状況に至ったのには、
或る重大な転機がありました。

それは1987年に起きた、東○機械の
COCOM(ココム)違反事件です。

東○機械は工作機械メーカーで、当時のソ連に対し、
船のスクリューを加工できる高機能な工作機械を
輸出したのです。

それが、スクリュー音の発生を抑える事ができる
製品を作れるという事で、潜水艦のスクリュー製造に
使われた、とアメリカに糾弾され、社会問題にまで
発展しました。何でも、数兆円もの損害賠償を
請求されたようです。

水の中では音波が遙か遠くまで届くため、
ソナー(音波探知機)を使って、魚群や潜水艦を
検知する技術が昔から使われていますが、
スクリュー音の発生が抑えられては、
潜水艦を見付けにくくなるじゃないか、
という事で、問題視されたのです。

当時も東○機械以外にも工作機械メーカーは
たくさん有りましたが、当時は、武器製造に
使われていないと断言できる、確たる根拠を
皆が持っている、とまでは言えない状況でした。

今で言うところの、グレーゾーンだったわけです。

私も既に社会人になっていましたので、
工作機械メーカーの友人から話を聞くと、
「うちの会社のあの製品、もしかすると
ヤバいんじゃね?」みたいな噂があったそうです
(今だから言える事ですが)。

対共産圏輸出規制(COCOM)というのは、以前から
有りましたが、この事件を契機に、輸出品規制への
関心が一気に高まり、管理体制も厳しくなりました。
それは工作機械に限らず、あらゆる分野に
浸透して行ったのです。

ちなみに、ソ連の崩壊と共に、COCOM自体は
無くなりましたが、別の規制に引き継がれており、
内容的にはむしろ厳しくなっています。

現在では、Webサイト上で対象製品を選ぶと、
その場で戦略物資非該当証明書をダウンロード
できる体制まで取っているメーカーも有ります。
そこまで、半ば常識化しているわけです。

只、これって、同盟国が、非同盟国に
戦略物資を輸出してはいけません、
という規制なので、その非同盟国と
元から国交の有った国だったり、
非同盟国どうしだと、今だにグレーゾーンの
ままなんですよね。