私が住んでいるのはドイツ南西部に位置するBW州の、いわゆるシュヴァーベン地方とよばれるところ。
BW州は昔から工業が発達しているのでドイツの中でも財政も安定していて、失業率がバイエルン州の次に低いとされている
そんなわけで、ここでは地元を離れる人は少なくて、昔っからここに住んでますという人が多い。
だから家族の絆なんていうのも強いらしく、何かあるごとに家族が登場する。
夫の家族はと言うと、義父が一人っ子ということもあって親戚が少なくて、
そしてありがたいことに、この親戚がみんな愛情あふれる人たちで付き合いやすい
私の義父母は『いろいろと息子家族の面倒をみてあげたい』と思う義母に『でも、あんまり口を出さないようにした方がいいよ』と義父が少しブレーキをかけている感じなので、私には何の義務感はなく快適な関係と言える。そのかわり何か助けを頼むと喜んで(!)すぐに駆けつけて来てくれるので感謝しております それはさておき。。。
ここで育ってここで就職そして結婚となるパターンが多いということ。それと関係があるかどうかわからないけれど、日本では若い世代の人が方言をしゃべりたがらない傾向のあるこの昨今、ここではそんな心配はいっさいございません。
シュヴァーベンの方言、つまりシュヴェービッシュはかなり強い訛りがあって、特に外人の私たちは苦労する
発音の訛りだけならまだしも、標準語にはない言葉がかなりあって大変なんです。文法だって変わっちゃうこともあるし
私はどこから見ても明らかに外人なので、多くの人は多少は気を使ってくれているけれど、地元人どうしが話しているのを聞くと時々ついて行けていない
代表的で簡単な発音の訛りの例で言うと、『Post ポスト 郵便局』 がシュヴェービッシュだと発音が『Poscht ぽしゅt』となるわけで。
文法が変わると言う例で言うと、『窓際に座っていた』と言う文だと、
標準語で Ich habe am Fenster gesessen. が方言によって Ich bin am Fenster gesessen. に変わる。
いやはや、本当に外人は苦労します
その昔フランクフルトに住んでいた頃この『ポスト』が『ぽしゅと』と発音される地域があると言うのを聞いたときに『面白~い!』と大笑いしたことがあるのを覚えているけれど、まさかそこに嫁に来るとは。。。
私はかれこれ16年シュヴァーベン人とのコミュニケーションがあるけれど、残念ながらシュヴェービッシュはなかなかうまくまねできない。それでも無理に口まねをしようとすると、なぜが声が低音になってしまう。それはモゴモゴしゃべらなければならないから。
シュヴァーベン人は口をあまり動かしたがらないからこんな方言になってしまったのだというのも聞いたことがある。それはまあ冗談なのだろうけれども、たしかに『アイウエオ』の母音をはっきりくっきり発音することがない。
BW州の宣伝文句で 『Wir können alles außer Hochdeutsch』『何でもできるよ、標準語以外は』
というのがあって、ほ~、意味深だな~と思う。財政が安定していると言う自負もあり、自虐的でもありと言うのか、なんと言うのか。。。それとも単に笑いを取ろうとしているのか。。。日本人の発想ではないことは確かだけど。
しかし中にはこの地方でドイツ語を覚えたという外国人もたくさんいる。そしてその中にはこの地方の方言を自然と身に付けて行く人もいる。
10年ほど前まで住んでいたところの近所にインドネシアからお嫁に来た人が住んでいた。
彼女は、『私はボッシュ(Bosch)で働いているの』と言う。どんな仕事をしているのか聞いてみると、
『手紙を仕分けるのよ』と言う。
(実は私は以前この会社の社員だったのだけれど)確かに会社には郵便局業務を担当する部署があるので、なるほどそこで働いているのか~、と思っていた。
ところがその数日後彼女にあった時、彼女がボッシュの郵便業務部門で働いていると言うことを前提に話していると、どうも話が合わなくなって来たので、『だって、あなたはボッシュで働いているんでしょう?』とボッシュを強調して言うと、
『Bosch? 違うわよ! Poscht ポッシュ(t)よ!』と、そこでやっと彼女が『ボッシュじゃなく、郵便局で働いている』ということが判明したのだった。
(この彼女に一度『うちでお昼でも食べない?インドネシアの食べ物があるわよ』と言われて喜んでお宅にお邪魔したことがあったのだけど、出されたのものとは、タイ製のインスタントラーメンでございました。。。)
そんな、外人に取っては厄介とも言えるシュヴェービッシュだけど、慣れて来るとだんだんと愛着がわいて来るんですね、これが。 方言は無形文化財だ!と思います、はい。
そこで、友達がほとんど無理矢理『読め!』と言わんばかりに貸してくれた本がありまして
左がその1、右がその2
ドタバタコメディーだけど、ドイツ語がテンポもよくとてもわかりやすくて、結末が最初の数ページで想像できてしまうというストーリー。登場する地元人のシュヴェービッシュが『あ~、そうそう!こういうふうに言う人よくいるよね~!』と、抱腹絶倒するところもあり、シュヴェービッシュに関係のある方は是非、ドイツ語の勉強にもなってオススメですぞ
人口が10万人以上のところだったら、外からの人も多いからちょっとはマシだと思いますが、たとえばわたしが今住んでいるところは1万5千人位で、土地者がほとんどですから、かなり手ごわい。一、二だってオイ、ツヴォイだし、ナインと言う人はいません。ノイ。
昔、娘の友達が来たとき、中に入ったらと誘ったら、「ノイ、イーヴォルテドゥーザ」と聞こえるので、どういうことかと思ったら、「いいえ、外で待ちます」ってことだったんですね。
ここの人たちはけちだから、口を開くエネルギーすら節約するからあんな話し方なんだと聞いたことすらあります。
ところで娘たちは生まれも育ちもシュヴァーベン地方ですが、方言は話しません。S4さんのところはいかがですか?
うちの子供達は9年間日本にいたので方言は使いません。だから義父母も孫達とはなるべく標準語ですし。
方言と言っても細かくいろいろありますよね。『ドゥーザ』って何でしょう? draußen sein かなあ?
サンボさんのブログ楽しみにしています。
これからもよろしくお願いします!
近くにいらっしゃるなら是非お会いしたいです!