その日は両国国技館での解説の仕事が入っていなかったので、自分の事務所のテレビで観戦していた。
親方(元小結・両国)が大学の先輩である関係で師範代を務めている境川部屋の幕内の豊響(とよひびき)関が、横綱・白鵬関を小手投げで破ったのは夏場所7日目の結びの一番だった。
取組自体は、土俵際まで押し込まれ、苦し紛れの一手で勝ちを拾ったようなもので、ほめられたものではない。
それでも、横綱戦3度目の挑戦での初金星に違いない。
目を真っ赤にして涙を浮かべた姿を見て、私も本当にうれしい気持ちになった。
怖い顔つきの豊響関だが、相撲に取り組む姿勢は純粋そのもの。
番付で先を行く一つ下の関脇・豪栄道関に負けじと厳しい練習に耐えてきたこれまでの苦労が報われた瞬間だったのではないだろうか。
不器用で才能がない-。
豊響関のことを遠慮なしに言ってしまえば、そういう力士だ。
あんこ形の体形で立ち合いで当たって、あとは大きな体と馬力で突進するのが、相撲スタイル。
まさに「猪突(ちょとつ)猛進」。
だが、ひじが生まれつき外側に向いている体形で、相手と組むと自然と脇が甘くなってしまう。
解説でも「あの脇の甘さは何とかならないものでしょうかね」と口を酸っぱくして指摘してきた。
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