プロ野球・読売巨人軍の渡辺恒雄球団会長(85)=読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆=は12日、コーチ人事を独断で覆されたなどとして渡辺会長を批判した清武英利球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM、61)の11日の記者会見について「事実誤認、表現の不当、許されざる越権行為および私に対する名誉毀損(きそん)が多々あるので、私の立場から正確な事実を説明する」とする反論談話を発表した。
大王製紙やオリンパス経営者と同様のコンプライアンス違反という表現に対しては「両社のケースは刑事犯罪的事案で巨人の人事問題とは次元が異なる」と、清武氏の謝罪を求めた。会見で指摘されたヘッドコーチ人事については、10月20日にコーチ人事の報告を受けていたことを認めた上で、その後に江川卓氏の招請を「原君(監督)から提案された」とし、助監督に迎えることを考えたが、「社内的に正式手続きをとっていないし、今日まで江川君と何の接触もしていない」と説明した。桃井恒和オーナーのオーナー職を解く人事についても、読売新聞社幹部と相談の上、桃井氏の事前了解を得ており、「“清武声明”は非常識で悪質なデマゴギーだ」と痛烈に批判した。
その上で、清武氏については読売新聞社内やチーム内にも批判があり、業績の上でも「GMは適任でなかった」と指摘。一連の行動は会社法355条の「取締役の忠実義務」違反に該当するとした。清武氏の処分については「今後の対応は本人の反省次第で現時点では求めない」としている。
これに対し清武氏は12日深夜、コメントを発表し、コーチ人事を聞いていないと報道陣に明言した渡辺会長が10月に報告を受けたことを認めたことが最も重要とし、「意図的に虚偽の事実を述べたことは大変、遺憾なこと」とした。
■渡辺会長の談話(要旨)
清武巨人軍専務の声明および記者会見は事実誤認、表現の不当、許されざる越権行為および私に対する名誉毀損が多々あるので、私の立場から正確に事実を説明する。
私が大王製紙やオリンパスの経営者と並ぶコンプライアンス違反をしているとあるが、両社のケースは巨額の金銭の私物化や経理の不正操作に関する刑事犯罪的事案で、巨人軍の人事問題とは次元が異なる。同列に扱うのは読売新聞社、巨人軍、私個人に対する著しい名誉毀損で謝罪を求める。
私の一存で桃井社長からオーナーを剥奪(はくだつ)したというのも著しい誤伝だ。今年6月に滝鼻オーナーの最高顧問就任にあわせ緊急措置として桃井君をオーナーに任命した。シーズン後に読売新聞グループの白石代表取締役社長や新聞社幹部、桃井君と相談し、白石君のオーナー就任を内定した。ただ桃井君のこれまでの功績と権威を損なわないよう代表取締役とし、白石君は私と同じ平取締役だ。この人事は将来的に私が巨人の経営から身を引き白石君に新聞本社と球団のパイプ役をゆだねる意図で、桃井君も事前了解している。“清武声明”は、まことに非常識で悪質なデマゴギーだ。
10月20日にコーチ人事を示されたのは事実だが、CSで惨敗した以上、多少の変更が必要になったのは当然だ。清武君については新聞社、球団内から批判がある。尊大になった、決断力がないなどの報告を聞き、GMは適任でなかったと思った。今年の「清武補強」もほとんど失敗した。原監督も事前連絡なしの勝手な補強に不満だったようだ。GM制は監督からの提案で、何人かあがった候補は「オビ・タスキ」で、最後に原君が「清武さんでもいい」と言ったのでGMにしたのが実情だ。
江川君の起用構想は監督からの提案。岡崎ヘッドコーチとの関係もあるので「助監督」と考えたが、私の思いつきであり社内的な手続きはとっておらず、江川君と何の接触もしていない。この企業機密を清武君が公表したので、“江川助監督”を直ちに実現することは困難になった。
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