今日も少し早めに着くように出立
11時半くらいに木馬亭
定位置を確保して君塚食堂へ
おでんと山田を誂える
山田は白鹿冷酒山田錦のことだ。
御店のひとがそういふから私もそう云って頼む。
左隣のひとは浪曲客ではないようだ。たくさん食べ物を誂え盛んにホッピーを飲んでいる。
右隣のひとは木馬亭でたまに顔をみるおじいさんだ。浪曲を観に来たのだろう。
すっかり馴染んでしまってとても居心地がよい。
時間となり木馬亭に戻る
港家柳一
三味一貴
亀甲組加太山
このひとは先日ある席亭的なひとと悶着があったのをSNS上でみかけた。彼は一切釈明しなかった。当事者同士でないと実のところはわからぬが、ともかく恐らくは心が千々に乱れたことだろう。
それ以来の高座のはずだ。
私は気落ちしていないか少し気になっていた。
これは師匠譲りの演目らしく窮地、苦境に立たされながらも事業を成功せしめむとする男達を語る浪曲であったが、ものすご気が乗っていて技術やそういふことはもうどうでも良いような彼は浪曲と一体化しているように感じ落涙してしまった。
そしたらおっそろしデカイ蝿が涙ぐむ私の腕に止まったのだが
開口一番は時間が短いのが残念だが
それでも短くても断然良いものを観られたと思った。
最後の短いバラシは意外性のあるやり方で感心した。
あの例のこれからグイッといきますよの三味線リックのチャカチャン、チャンチャン
よっ!
からちょうど時間と成りましたと甲で唸ったのだ。
一貴さんは安定したプレイで心地よい。
天中軒すみれ
三味道世
伊東の恋の物語
景色が見えた。
節がよい。
私は寄席に来るまで音盤で広澤虎造や玉川勝太郎なんかしか聴いていなかったのでどちらかといえば関東節の方が馴染みがあって好きだったが段々関西節に傾きつつある。シカゴブルース好きだったけどルイジアナにいってしまうみたな。
富士実子
三味秀敏
悲母大蛇
このひとは本当に懸命である。
ひつれいながらいい意味でいごきや表情が妙で私はそこが好きだ。私はやはり独特な人間が好きなのだろう。
澤恵子
三味貴美江
春日局
待ってました。
久々に観られる。
今日もいい味を出していらして実にいい。なんといふのかこれもひつれいかもしれないが、私の祖母を思い出してしまうのだ。なんか自然天然のとぼけたところもあって、たばこが好きなばあちゃんであった。
浪曲はいいなあ。本格派もいいがこうしてテレビでは見ないような独特のひとなんかもいるしいろんなバリエーションのひとが出てきて楽しい。落語なんかは割と洗練されているように思うがこっちはまだまだストリートから飛び出して来たような部分を残しているように感じる。除菌されず整理整頓されずにこのままでいてほしい。あんまり自分たちで伝統芸能伝統芸能云わないで欲しいなあなぞ勝手なことを思う。澤恵子さんみたいなひとは大事にしてほしい。
仲入り
アイスモナカを食らってしまった。
ポリフェノールを摂れるかと思ってチョコにしてしまうことが多い。
糖分を摂らぬほうが良いに決まっているのだが。
明けて
木村勝千代
三味まみ
小猿七之助 品川宿
今日はなんといふか本格派の演目でこれがピシッとしていてこういふ勝千代さんも勿論見事。フワッとしたのも本格派もどっちもいい。
この話は何度か聞いたがどこで誰がやったのか思い出せぬ。もしかしたらYouTubeとかで誰かのを聞いたか。
耳にびーんときてそれが心地良い。
声のパワーが直で飛び込んでくる。
鼓膜が震えているのがわかる。
このあとまた二席聴けるのだからなんとも堪らない。
講談
神田紅純
太閤記 間違いの婚礼
私は急にスイマーに襲われた。
なんといふことだろう。
今日は大丈夫そうだと眠気覚ましドリンクを買わなかったのだ。
目が開けておられない。
そうだ、私は色眼鏡をかけている。
目を瞑って聞こう。
そうしたらガクーンと寝てしまったような状態になった。ガクーンときてはっと目を覚ますの繰り返し。
ひつれいしました。
澤順子
三味貴美江
糸車
なんとか頑張っていたがまた目が開かなくなった。
またガクーンとなる。
ひつれいしました。
東家三楽
三味秀敏
源太しぐれ
寝なかったが朦朧としており三楽さんの顔付きと出高座となった秀敏さんのバチさばきぐらいしか覚えておらない。お二人ともお元気で良い。
外に出ると激しい雨が降っていた。
みな軒下で雨宿り
なかなか弱まりそうもないから、向いまで走った。また君塚食堂。
こんどは黒松白鹿を燗で
カツ煮、しらすおろし
テレビの前あたりに真山隼人さんと沢村さくらさんがおった。夜に独演会がある。
ものすごでかい声を出す集団あり、耳が痛い。競馬中継をやったある。見渡すとみんな競馬新聞を持っている。絶叫するおっさんたち。店のオバサン(私よりちょっと年上くらいか)も好きみたいで一緒にテレビを観ている。
合羽を着た佐藤貴美江さんが木馬から出てくるのが見えた。そしたらそれから雲月師の後ろからみなさんゾロゾロとついてきて東洋館方面へ歩いていった。傘が嫌いなのか合羽のひとが多かった。
雨はあがったように見える。
それで私も勘定を済まして外に出る。
手を差し出して雨が降っておらぬか確認す。あまりそんな仕草をするひとは見ない。昔ハードロックのバンドのひとが野外ライブでおや、雨かなと言って手を差し出したのを視て実際生活でそんな人をみたのは初めてだったからおかしくてそれから真似しているのだ。
そうしたら木馬亭のひとが声をかけてきた。
雨、上がってよかったですねえ。
はい。
いつもありがとうございます。
ああ、いやいや、
音楽をやっていらっしゃるんですってねえ。
え、はい、そうです
またよろしくおねがいしますね。
はい!
と、
やはり私の存在は少なくとも少しは話題になったことがあるようだ。
考えてみたら、私自身は地味な風にといふか普通の一ファンのつもりだが、鏡をみれば確かに異様だ。金髪パーマの親父はあまりおらない。目立つのだろう。
長いので一旦切ります。