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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

伝統や慣習に阻まれ、生まれたばかりの我が子と離れなければならない母親の苦悩を描いた『モロッコ、彼女たちの朝』

2021年08月17日 18時57分53秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:80/168
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
イスラム社会
女性の権利
未婚の母

【あらすじ】
臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア(ニスリン・エラディ)。
イスラーム社会では未婚の母はタブー。
美容師の仕事も住まいも失った。

ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、
小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ・アザバル)だった。
アブラは夫の死後、
幼い娘のワルダとの生活を守るために、
心を閉ざして働き続けてきた。
パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、
孤独だった親子の生活に光をもたらす。

商売は波に乗り、
町中が祭りの興奮に包まれたある日、
サミアに陣痛が始まった。
生まれ来る子の幸せを願い、
養子に出すと覚悟していた彼女だが……。

【感想】
これは重いテーマ。
母親目線からしたらその辛さをより強く感じるかもしれない。
とにかくサミアの置かれた状況が過酷すぎて。

仕事も失い、住む場所もない。
街中を彷徨い、
仕事や住む場所を求める続けるものの、
断られてばかり。
ようやくアブラの家に招き入れられるも、
最初は肩身の狭い想いを強いられる。

それは、サミアが未婚で身重だから。

これはモロッコという国の状況を知らないと理解しづらいかもしれない。
詳しくは以下のインタビューに書かれています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86207?page=1&imp=0

モロッコでは婚外セックスや中絶は違法とされている国。
さらに、婚外子や未婚の母というのは、
家族やコミュニティから疎まれる存在。
あらゆる場面で差別を受けてしまうのだそう。

そんな環境で子供を生んでも
「罪の子」とされてしまう。
サミアに限らず、
生まれてすぐに我が子を養子に出さざるを得ないケースはよくあるそうだ。

「どうせ養子に出すのだから」
そう言って、我が子が泣きわめいても放置していたサミア。
しかし、やはり母性には抗えない。
授乳を行い、我が子に触れ、
その幸せを噛み締める。
本当はいっしょにいたい。
でも、伝統や慣習がそれを許さない。
そういう国があることを、
この映画は教えてくれた。

そんな状況にあっても、
サミアに救いの手を差し伸べたアブラの優しさは身に沁みる。
彼女は夫を亡くし、
娘と2人暮らし。

モロッコでは、
女性が埋葬や葬儀に参列できないという伝統があるそう。
アブラも夫の葬儀に出られず、
最後の別れができなかった悲しさを口にする。

そんなこともあって心を閉ざしていたアブラ。
しかし、サミアと生活を共にすることで、
彼女もまた、
人間らしさを取り戻していく。
この保守的な国の中でも、
人との触れ合いこそが変化や成長のきっかけだと気づかせてくれる。

日本でも女性の立場を巡る問題はよく取り沙汰される。
ただ、国によってはもっと強く抑圧された環境にいる人も存在するのだ。
それも、“伝統”や“慣習”という、
一部の人が大昔に作った、
今となってはその存在理由すらよくわからないものに支配されて。

伝統や慣習自体は否定されるべきものではないけれど、
誰かが生きづらさを感じているのであれば、
少しずつ改善していける社会になるべきだし、
そのためにはどうしたらいいのだろうと考えさせられる映画だった。

映画『モロッコ、彼女たちの朝』公式サイト

第92回アカデミー賞®モロッコ代表。第72回カンヌ国際映画祭 ある視点部門 正式出品。心の奥にやわらかく触れる、実話から生まれた“...

映画『モロッコ、彼女たちの朝』公式サイト

 


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