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パントマイムの神様による知られざる救出劇『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』

2021年08月30日 22時54分00秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:63/179
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
実話ベース
第二次世界大戦
ホロコースト

【あらすじ】
1938年フランス。
アーティストとして生きることを夢見るマルセル(ジェシー・アイゼンバーグ)は、
昼間は精肉店で働き、
夜はキャバレーでパントマイムを披露していた。

第二次世界大戦が激化する中、
彼は兄のアラン(フェリックス・モアティ)と従兄弟のジョルジュ(ゲーザ・ルーリグ)、
想いを寄せるエマ(クレマンス・ポエジー)と共に、
ナチに親を殺されたユダヤ人の子供たち123人の世話をする。

悲しみと緊張に包まれた子供たちにパントマイムで笑顔を取り戻し、
彼らと固い絆を結ぶマルセル。
だが、ナチの勢力は日に日に増大し、
1942年、遂にドイツ軍がフランス全土を占領する。

マルセルは、険しく危険なアルプスの山を越えて、
子供たちを安全なスイスへと逃がそうと決意するのだが──。

【感想】
今年に入って3本目のホロコーストの史実に基づいた映画。
本作の主人公はマルセル・マルソー。
実在した人物で、「パントマイムの神様」と称されるアーティストだ。
彼の知られざる青年期のレジスタンス活動を描いたのが本作。
子供に焦点が当たっているので、
子供がいる人はより一層感情移入できそうな話だった。

こういう実話ベースの映画は淡々と進んで行く作品が多い。
しかし、本作はストーリーに起伏があって
映画としても十分に面白かった。

子供の目の前で両親が無残にも殺される衝撃。
ナチスから逃げ惑う恐怖。
マルセルと子供たちの触れ合いによる感動。
いろんな感情が刺激される点でとても見ごたえがある!

特に印象的だったのが2点。
まずはマルセルの"思考の転換"。
彼が想いを寄せるエマの妹がナチスに殺され、
復讐を誓うエマ。
他にも多くの人が殺されている中、
やり返したい気持ちはとても共感できる。
現実にもナチスに復讐したかったユダヤ人はたくさんいたはず。

ところが、マルセルはその怒りを敵に向けることはしなかった。
彼は敵に復讐したい気持ちを、
子供を守ることへとシフトさせたから。
やり返したところで、人が死んで終わり。
でも、子供を守れば、
彼らはやがて新しい家族を作り、
世代が続いていく。
煮えたぎる怒りを抑え、
冷静に未来を見据えていたんだよ。

もしレジスタンスに、
ナチスと同等かそれ以上の武力があったのなら、
やり返していたかもしれない。
武力で劣る彼らがやるべきことは、
真っ向から勝負を挑むことじゃない。
小さな命を未来へとつなげることだった。
仲間が理不尽に殺されているこの状況でだよ。
マルセルの判断と決断はなかなかできることじゃないなと感じた。

もうひとつは、ナチス親衛隊中尉だったクラウス・バルビー(マティアス・シュアヴィクホファー)。
彼は"リヨンの虐殺者"と呼ばれるほど残忍な人物だったらしい。
ウィキペディアでは、
「ヴィシー政権下のリヨンで反独レジスタンスを鎮圧する任務に就いており、
 8,000人以上を強制移送により死に追いやり、
 4,000人以上の殺害に関与し、
 15,000人以上のレジスタンスに拷問を加えた責任者」
と記載されていた。

映画の中でもその非道っぷりがよく描かれている。
「疑わしきは即殺害」と言わんばかりに、
騒動を起こした容疑者は全員射殺。
エマへの拷問は、
彼女自身にではなく、
その妹の皮を剥ぐという鬼畜さ。

そんな彼にも綺麗な奥さんと、
生まれたばかりのかわいい赤ちゃんがいるんだよね。。。
裏では人を殺しまくっているのに、
子供の前では優しい父親。
その対比がものすごく怖い。
最上級のサイコパスじゃねぇかって。

ホロコーストでは実に150万人以上の子供たちの命が奪われたそう。
ユダヤ人を救った人たちの映画はいろいろあるけど、
圧倒的に救えなかった命の方が多い。
もはや自分が生まれる前の話ではあるけれど、
こういう過去があったということは人として知っておきたい。

『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』公式サイト

8月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー!

『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』公式サイト

 


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