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明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

ピエール瀧の失敗から学ぶ事

2019-03-18 22:56:55 | 今日の話題
ピエール瀧の問題はある意味、人間の生き方全部の問題である。それは「脳内の快楽物質」と「人間本来の目的」との戦いでもある、というのが今回のテーマ。人間は行動の操作性を高めるために独自の進化を遂げ、本能の求めるままに行ってきた個体生存・種保存の行動「では無いはずの」意味のない欲求を、とうとう「脳が満足するためだけに」行うようになってしまった。それは進化を超えた「間違った発展」または、言うならば「脳の反乱・異常または暴走」なのである。昨今世上を賑わしている重大事件の殆どが、その犯行動機は今ひとつ分からないものが多い。本来脳は身体に良いことをすると「快楽物質」が放出され、結果「ご褒美」が貰える動機・仕組みになっている。それが結果的に身体に悪いことをしても、ご褒美が貰える「間違った方向の餌付け」がされている、というのが「今回のピエール瀧事件の真の問題点」である。

それでは以下に、私なりの分析と対策を書き出していくことにしよう。

1 コカインや大麻を20代の頃からやっていた
これは薬物依存症患者の典型的なパターンだ。人生経験が未熟な若い連中の陥りやすい「興味本位」で手を出したのだろうが、元々バンド仲間とか周りの環境が薬物を手に入れやすいということもあり(これはあくまで想像だ)、そのまま使用頻度の多寡はあっても抜けきれずに今に至った、というのが多分真実なのだろう。この経歴自体はなんてこと無いお決まりの薬物依存症患者の話なのだが、彼の場合は「薬物の影響が全くと言っていいほど表に出ていない」ことが違っていた。我々の頭に常識として刷り込まれている「薬物=廃人」の図式は、彼の場合「当てはまらない」のでは無いだろうか。ということは使用量は別として、「人によって麻薬への耐性」がある、ということなのだろう。これはある意味では、酒やタバコと同じ「程度問題」なのかも知れない。だとすれば、影響が出ない程度に使用量をコントロールすれば、「一生コカインをやりながら、人様に迷惑をかけずに」過ごすことも可能だということになる。つまり、酒やタバコが「個人で楽しむ限りでは合法」であるように、コカインも一種の「嗜好品」として扱われるべきだ、という意見も考えられるのだ。実際にカリフォルニアでは大麻が合法化されているという。いくら犯罪取締を行っても吸う人は吸うし、一方、薬物に全く興味がなく生涯無縁な人だって(私もそうだが)いる。要は、薬物依存を社会全体でどうやって止めることが出来るか、ではないだろうか。だが合法化などすれば、たちまち麻薬が蔓延して日本が「アヘン戦争当時の中国(清)」みたいな亡国の危機に陥る、と恐れる人もいる。ここで「麻薬は果たして世間で言われている程、そんなに悪いことなのか」という、根本的な疑問に私は辿り着く。・・・答えはまだ出さずに置こう。

2 億単位の賠償金は誰が払うのか
ニュースによると10億とも20億とも言われているが、本人が払いきれない以上は誰が払うのか。事務所が払うような契約にはなっていないだろう。これはピエール瀧の逮捕による直接的な損失以外に、「過去の彼が関わった全作品」に影響が出るという。それは、映画やドラマの取り直し・過去の作品の閲覧禁止処置。CDなどの楽曲の市場からの回収、その他を含めて、ピエール瀧が「売れていた」ことで破滅的な額に膨らんでしまったようだ。これは企業や制作側が視聴者や市民感情に忖度した結果の自粛であるが、それがピエール瀧本人の逮捕による「直接的な契約不履行」だけでは無いことが問題である。東日本大震災の時に日本中が購買活動を「自粛」したために、返って被災者の生活復帰を遅らせることになった、という経験をした。風評被害も、被災者には重大な痛手である。NHKのドラマ取り直しにしても、俳優側が全部弁償するのではなく、保険などで対応すべきではないだろうか(あるいは、既に保険制度が一般的になっているかもしれない)。主役級の俳優でなくても撮り直しとなれば、他の共演者のスケジュールもあり、非常に困難な作業が待ち受けているのは確かである。だから舞台などでは「Wキャストなど」を用意して、不測の事態に備えるのだ。それに映画やその他の芸術的作品においては、登場人物が「俳優本人の実生活・実像」と違う存在であることは自明のことであり、制作者も観客も「十分承知した上で」楽しむべきものでは無いだろうか。ピエール瀧が出ているからといって、ピエール瀧本人の逮捕と「彼が演じている役柄」とがイコールである筈もなく、撮り直す必要もないのでは無いだろうか。。昔、イタリアルネサンス期の絵画の巨匠にカラバッジョという人がいた。彼は人類史上最高の画家の一人だと言われているが、「人殺し」であることもまた事実である。我々はその事実を知った上で、彼の芸術を鑑賞している。何を言いたいかというと、ピエール瀧本人と「ピエール瀧の演じていた役柄」は、分けて考えるべきなのだ。日産のゴーン会長が「犯罪行為で逮捕」されたとしても、日産の車を全部「市場から回収する」などというのと同じである。もし興収実績に応じて「ピエール瀧の収入が増えた」としても、彼の賠償金額の多さに比べたら「雀の涙」にしかならないでは無いか。芸術は芸術、俳優が不祥事で逮捕されるということなど「日常茶飯事」の世界だ。それこそ批評家の先生方が大いに賛美する「芸の世界」である。

3 コカインの入手経路に半社会的勢力が絡んでいるかも
これが薬物摂取の難しいところである。覚醒剤に始まり、大麻・へロイン・コカインなどの違法薬物に加えて「合法ドラッグ」と、反社会的な勢力は幅広く扱って「莫大な利益」を上げている。薬物依存症患者がお金を払って薬物を購入していること自体は置いておいて、それを「違法に高額な値段でボロ儲け」していることは許せるものでは無い。というか、反社会的勢力は撲滅せねばならない相手である。その資金源を断つことが、警察の使命をなのだ。その意味では、ピエール瀧は「反社会的勢力に便宜を図った」人間、ということになる。薬物による直接的な「異常行動」は報告されてないから、何か国民に対して「犯罪的な事実」を上げるとするならばこの「反社会的行動」が彼の罪では無いだろうか。この反社会的勢力は違法薬物を販売するためには、「どんな犯罪行為も辞さない」という団体である。一度目をつけられれば、骨までしゃぶられる。反社会的勢力の資金源として、一生食い物にされるのである。それがピエール瀧の(やめようとは思っていただろうが)罪なのだ、被害者ではあるが「国民と警察を裏切っている」ことには変わりはない。

そこで対策を考えた。

1 酒やタバコと同じ「嗜好品」扱いし、使用登録制にする。コカインをやりたい人はやっても良いのだ。法律的には、カリフォルニアのように合法とする。同時に販売業者も許可制にして、半社会的勢力の資金源に出来ないようにする。
2 酒の飲み過ぎで犯罪を犯したり、タバコの吸いすぎで肺がんになったり、嗜好品と言えども「自ずと限度を超えて」依存すれば、社会への悪影響が出るし場合によっては、強制的に病院で治療することも「警察権の範囲内で可能」なように法整備する。
3 世間的には「タバコを吸っている人は肩身が狭い」ように、薬物依存症の人は日常的に「どうしたって社会的な制裁」を受けることになる。依存度は「酒の比では無い」らしいから、教育も幼稚園や小学校から徹底的に行って、「真面目な生徒」が決して興味だけで麻薬の道に入らないように「万難を排して」教え込んで行く。
4 誰が麻薬をやっていてどのくらいの量を使用しているかは登録制なので筒抜けである。月の使用量も制限があるので、「国によってコントロールされている」と考えれば良い。違法だとして犯罪取り締まりの対象にすれば、アメリカの禁酒法の「二の舞」になることは目に見えている。犯罪として追い詰めていけば地下に潜って裏社会で資金源になってしまうのが今までの流れ。安価で安全な薬物を「国家の管理の元」で使用すればよりコントロールしやすく、社会も安定するし「治療も手厚い」。薬物に手を染めてしまった罰が「自分の身体を蝕む」ことになっても、自業自得である。砂糖を取り過ぎて糖尿病になった人と同じだ。それを見て子供達は「薬物には手を出さない」知恵を得る。要は、次世代に期待するということか。
5 今に「あいつ薬物をやっているのか、ダサイなぁ」ということになってくるのだろう。仕事でも「薬物やっているやつとは一緒に組みたく無いよな」となる。社会全体が、そういう風になってくれば本物・大成功である。今は薬物をやっている人が「外から見えない」のが問題なのだ。薬物依存者を日のあたる世界へ誘き出し、その上で「コントロールする」というのが一番コストも掛からず、楽な対策では無いだろうか。「薬物=廃人」というのが正しいとすれば、いずれ世の中の正常人からは見向きもされなくなっていく。

以上が私の、ピエール瀧問題の解決法である。最後に、なぜ脳は体に必要ない事に対して「快楽物質というご褒美」を与えるのか、という疑問に答える時が来た。それは、人間の脳の構造が「未成熟」だから、というのが私の答えである。まだまだ完成には程遠い。だから私は「快楽物質と実際的な利益との一致」を理論的に確認することが必要だと思っている。脳の感覚を「理性で補正する」ことが肝心である。ピエール瀧は、それを改めて私に教えてくれた。そういう事件である。

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