明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

クリスマスイブに思う事

2023-12-12 22:25:00 | 今日の話題
クリスマスイブはあっさりと過ぎそうだ。私は仏教徒だからなどと野暮は言わないが、日本でのクリスマスは祝日でもなんでもないので今ひとつ盛り上がりに欠けるように思う。やはり日本人の生活感覚からすれば年末までが忙しく、大晦日の年越し蕎麦を食べる頃やっと家族が集まってコタツで暖まる、という流れがなんとなく落ち着くようだ。それから楽しい正月が3日間続く。日本の正月は歴史の中で育まれた季節感にぴったりと合っている、いや合っていたと言うべきか。少なくとも私の子供時代は正月の楽しそうな家族の笑顔や近所の人達の幸せそうな姿が思い浮かべられて、平和な世の中が迎えられた喜びに溢れていたものだった。

近頃の年末年始は年間100以上もある休日の一つになっている。正月は全ての人々が生きている喜びと労働へのねぎらいとを感謝する期間ではなくなり、ある人は休みある人は働く、そんなありふれた休日になっている。原因は売り上げ主義がもたらした悪癖にあるようだ。その代表格はコンビニである。それにつられてスーパーもデパートも2日から営業するようになった。国民の休みといっても、本当の意味の休みは元日の1日だけである。これでは欧米の正月とあまり変わらない。

本来ならば神社仏閣に出かけて神仏に今年一年の無病息災と家内安全を祈り、家庭では去年を振り返りながら今年の抱負を家族で語り合う「絆」の時間だったように思う。その家族の絆が失われて、バラバラのより集まりになってしまった。それは仕方ないことなのかもしれない、幾多の良き風習が生活の向上と共に失われて行く運命なのだ。人間は悪いことは忘れ、良い事だけを覚えている生き物だ。昔はテレビも冷蔵庫も洗濯機もなかった。家族を支えていたのは母だったのである。その母もとうの昔に亡くなってしまった。

「母さん今頃あの世でどうしてるかなぁ」なんてチラッと考えたが、そんな湿っぽいことは心の片隅にしまっておいて、今夜は街に繰り出そう。クリスマスイブなのだから思いっきり楽しもうじゃないか!とは言っても結局は居酒屋に入って騒ぐだけだと気がついた。悲しいね。若者はいつも新しいことに熱中する。私たちもそうだったし、親たちもそうだった。田舎には伝統的文化が残っていて、若者も年長者に混じって同じようにその文化を継承している所がまだ多いと聞く。残念ながら私には幼い頃から馴染みがなかった。やはり根無し草の人間には、心の休まる場所自体が孤独なのだと思う。今夜はクリスマスイブ、仕方ないから酒でも飲んで寝ちまおう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿