明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

毎週女子ゴルフ(14)西郷真央にゴルフの真髄を見た!

2022-05-23 13:33:35 | スポーツ・ゴルフ

結果は皆さんご存知の通り、西郷真央の10戦5勝で幕を下ろした。大混戦の終盤を16番の劇的イーグルで優勝を決めた西郷は、まるで先週までの絶不調がウソのように「ケロッと」優勝インタビューに答えていたが、体力・技術力・マネジメント力・精神力、すべてで他を圧倒していたと言える。しかしテレビ中継の録画を見ていて私の考えたことは、ゴルフの面白さについてである。

1、レギュラーツアーを見ていて最近分かったこと
私は30代でゴルフを覚えた頃から、それまで運動は得意じゃなかったのに何故か飛距離は出る方だった。筋力も無かったのにドライバーが飛んだのには、重いカバンを両手に持って歩くという仕事だったからではないかと思っている。若いうちにそういう仕事で鍛えられたせいで、「手首の力と握力」が、普通の人よりは大分強くなっていたのは間違いないだろうと思う。それに北松戸に住んでいた頃、よく近くの「江戸川の河川敷」で砂混じりの地面で、当時の極薄マッスルバックの「ドライビングアイアン」で練習していたこともあって、私にとっては「ゴルフ=飛ばし」という感覚しかなかったのである。それに目標を決めたら後は一本道の「B型」よろしく、スコアなどは全く目に入らず、とにかく「美しい弾道で遠くに飛ばすこと」しか考えてなかったのは確かだった。

ところが年齢を重ねて70を過ぎ、脳梗塞を患って体力も衰えて、徐々に飛距離が出なくなってしまった。ゴルフは運動になるので(リハビリも兼ねて)再びやり始めたが、勿論最初は100ヤード飛ばすのも難しかったのを覚えている。何しろ右手が麻痺でなかなか上手く動かないのだった。振り返ってみれば、発症してから早8年。よくここまで戻って来れたと感慨深い。ようやくドライバーで「210ヤード」までに飛距離が回復したのには、まだ自分の体に「回復力」が残っていたからだと思って感謝している。だが、とにかく「飛距離を出したい」という思いは全然変わってなくて、何とか体力の衰えを「技術でカバー」しようと、「スイング」の改造に取り組み始めたのが3年前からである。

それで YouTube で色々調べ始めて、小澤康祐や菅原大地に内藤雄士や井上透と、片っ端から見て回った結果たどり着いたのが、「ちゃごるTV」のチャーリー高沖・「2重振り子」の新井淳・「かっとび塾」の浦大輔の三人である。チャーリー高沖はゴルフスイングの「本当の理屈」を知った初めてのレッスンプロであり、新井淳は分かりやすい「実践的な動画」で大いに参考にした。そして浦大輔は世のアマチュアゴルファーの陥りやすい「勘違い」を、ちょっとお笑いも交えながら教えてくれた(ちょっと余計な演出がウザいが)。とにかく基本を正確に教えてくれて「楽に飛ばすこと」に特化したレッスンは実に分かりやすく、この三人は私にとっての「ゴルフの師匠」と言っても過言ではない。

それ以来、動画を見ては練習に行くの繰り返しだった。そんな厳しい練習の日々もあってか、こないだ、ようやく「ハンドファーストの打ち方の扉」を開けることが出来たのだ。これでアイアンを思ったように打てる!・・・勿論、「思ったように」というのは、フェアウェイ150ヤードの距離から「100発打って90球はグリーンに乗せられる」という意味である(グリーンのどこに載るかは問わない。つまり半径15mの円の中に球が落ちることを言う)。90切りが目標のアマチュアにとっては、これだけでも「夢のような」レベルだということがお分かりいただけることと思う。これが可能なら、夢の2オン2パットが手に入るのだ。何と素晴らしいことだろうか!

そんなゴルフを目指しているレベルの私が、最近やっと「アプローチ」の魅力に目覚めたのである。こないだ山下美夢有が正確無比なショットで完全優勝したメジャーで、「青木瀬令奈」が長いウッドを駆使して、「あわや」という処まで追い詰めていたことに驚いたのである。それは勿論ウッドを自在に使いこなして、アイアンに勝る精度にまで高めた技術と、類まれなアプローチそれにパターの驚くべき正確さである。青木は今回も、最終日に「コースレコードの7アンダーノーボギー」という凄いスコアで上がってきて、プレーオフまであるかと思わせる健闘を見せていた。脱帽である。しかしそこはプロの世界、体格のハンデを技術で乗り越えたというのは褒められても、それでスコアで優遇されるわけでは一切無い。むしろ彼女が試合後のインタビューで語っているように、「飛ばないゴルファーにも希望の光を与える」ことが出来たという意味で、もっともっと評価されてもいいだろうと思う。

そんな中で私が今回感動したのは、16番で見せた西郷の「完璧なマネジメント」である。16番は今回のセッティングで「1番易しい」パー5のホールだ。西郷はティーショットでドライバーを握らずに、安全な5番ウッドを使った(と思う)。ドライバーを使ってもし右にフカした場合、ラフを突き抜けて大トラブルになるからだ。同組同スコアのトップタイで並んでいる山下のように、ティーショットをフェアウェイの左側に置ければ、バンカーを避けて花道狙いのショットで「2オン・イーグル狙い」が可能になる。だが打った球は思ったよりも右に出て、ギリギリ打てる「ラフ」に止まる。西郷、大ピーンチ!。

しかし西郷は慌てず騒がず、瞬時に攻め方を変更し「左ガードバンカー狙い」のセカンドショットに切り替えたのだ。これがジャンボ曰く、西郷の「ゴルフ脳」の凄いところである。ユーティリティで軽く振って、ボールは「狙い通り」バンカーの良い所に転がって入っていった。色々なライの中で最悪なのが「右横のラフ」である。ラフは芝が長く伸びている上に、下りの早いラインで「ピンに寄せるのが困難」なのだ。次に悪いのが「奥にこぼれ」たアプローチである。手前の「バンカー越え」の2オン狙いでは、ちょっと距離を間違えると3打目が奥のラフからの難しいアプローチになる。

一番良いのが「山下美夢有がやったように」花道からセンター狙いの2オンだ。しかし西郷の位置からではバンカーが邪魔になって2オンが狙いにくい。もしこのバンカーに入れた場合は、距離がなく足が使えなくて、ピンに寄せるのに「相当ハードルが高いバンカーショット」が要求されるのだ。ところが左側のバンカーは、優勝インタビューでも言っていた通り、それほど難しくなくて登りの真っ直ぐなラインが残る「ベストチョイス」である。西郷にとっては、それほど緊張しなくても打てる場所なんだそうだ。確かに西郷の技術を持ってすれば、2mの範囲(つまり1パット)に寄せる確率はほぼ「90%」ぐらいではないだろうか。西郷もバンカーに入るなり「スッと構えて、サッと打つ」イージーショットを見せた(と私には見えた)。ところがそれがそのまま「カップに入った」のである。何という劇的イーグルだろう!

これがあるから女子ゴルフはやめられない。男子プロのように350ヤード飛ばさなくても、ゴルフの醍醐味を十二分に堪能できる「感動のドラマ」を作ることが出来るのが、女子ゴルフなのだ。それもこれも西郷のマネジメントと、ミスを受け入れて瞬時に攻め方を変えていくという「ミスをミスにしない」安全なリカバリーの考え方が呼び込んだ「奇跡のイーグル」なのである(本当は、計算されたバーディーの予定だったのだが)。

私は最近の女子ゴルフ中継を見ながら、ゴルフの楽しみ方が「一段上がった」と感じている。これからも新人が雨後の筍のようにグングンと出てくるだろうが、西郷真央のような「ゴルフ脳とそれを実際に計算通りやってのける技術」の両方を備えた選手は、そうは出てこないのではないだろうか。ジャンボ同門の原英莉花は「抜群の飛距離」で一気に名を挙げたが、ゴルフにとって「大事なマネジメント力」では、西郷にとても及ばないようである。

そもそも我々90が切れないでいるアマチュアゴルファーは、ゴルフ場に行って考えることは、「最高のショットを打って仲間の鼻をあかす」ことなのだ。スコアの事を考えてマネジメントするなんて技は、基本的に全く考えてはいない。というか、マネジメントしたからと言って「その通り打てるわけじゃない」のである。距離が定まらないアマチュアが「GPS距離計」を使うのと同じで、ほとんど意味ないのだ。だからいつも考えてるのは「ナイショ」することだけである。だって、チョロやシャンクや引っ掛けを前提にしたマネジメントなんて、聞いたことあります?。そんなこと考えていたら、そもそもゴルフなんかやめた方がいい。

だから我々は、全部「ナイスショット」を目指すしかないのである。

私は取手桜ヶ丘でラウンドすることがあるアマチュアゴルファーの端くれだが、最近、少し「マネジメントでパーを取る」ことを勉強してみたいと思い始めた。そのためには球を思った所に運べなくてはいけないが、ようやくアイアンがそのレベルまで達しそうなところまで来たように思う。いよいよこれから「本当のゴルフ」を楽しむ時がやって来たのだ。そう思うと、毎週の女子ゴルフも「一層面白く」見えてくる。来月は全米女子オープンが開かれる。畑岡奈紗や古江彩佳や渋野日向子といったアメリカツアーメンバーに加えて「西郷真央」も参戦する予定だそうだ。さて10戦5勝の西郷が全米女子オープンで「どんな戦い方」を見せてくれるか、大いに楽しみとしたい。

2、ステップアップツアーで丹萌乃が大叩き
同時に開催されていたツインフィールズ・レディーストーナメントは、O・サタヤが久し振りの優勝を飾った。彼女は釣りが好きで、ツアーの合間に磯釣りなど楽しんでいる「愉快な選手」でもあり、素直に「おめでとう」を言いたい。実は、テレビをつけた時、最初「丹萌乃」は5、6位の辺りにいた。丹萌乃はツアー屈指の「変則スイング」の持ち主である。理論的には「横峯さくら」と変らないくらいヘンテコリンなのだ。しかしショットはまともに飛ぶし、飛距離もソコソコでる。ちょっとブログを眺めていてもう一度テレビを見たら、なんと「1位タイ」にジャンプアップしているじゃあないですか。おお、とうとう優勝か?と姿勢を正して注視した。

勝負を左右する重要なパー5の18番ホール。丹萌乃としては絶対にバーディを取りたいホールである。ところが左ラフから果敢に2オンを狙った丹のショットは、右に外れて長く伸びた芝の中に「すっぽり隠れ」てしまったのである。丹にすれば「チャレンジ」のつもりだったのだろうが、優勝を狙う選手の取るマネジメントではなかったように思う。まあ、この辺がステップアップツアーの面白さでもあるのだが、レギュラーツアーの西郷のマネジメントと比べると、だいぶ差があるなと感じた。3打目勝負するにしても、バーディチャンスにピッタリつける技術がまだ無い、というのもあるかも知れない。しかし敗れた丹萌乃は、あっけらかんと「失敗しちゃったぁ〜」という感じでアテストに向かっていたから、それほどダメージはないのかも。まあ、不幸中の幸いであった。次回は何としても「ぶっちぎり優勝」を狙って、初日から大いに飛ばしてほしいものである。萌乃ちゃん、ファイト!!


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