明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日々の話題を一撃で解決(5)替え玉受験と不正防止策

2022-11-25 14:00:22 | 今日の話題

根本的な解決は、このような試験制度を「廃止する」ことである。

こう言うと「じゃあ、どうやって選抜するんだ!」と息巻く人が必ず出てくる。まあまあそう焦らずに話を聞いて頂きたい。この事件で私が気になったのは「受験した会社」の多さであろう。今回就活で替え玉を使って不正受験した女子学生は、何と「23社」も応募していたという。勿論、何社受けようと他人が口を出す事ではないが、彼女の心理状態としては、なりふり構わず「受かるのに必死だった」のだと思う。私が社会に出た昭和47年の就職状況とは隔世の感があるな、と思うのは私が年を取り過ぎたということなのか。まあ、昭和の話はいいとして、要は試験で選抜することがどうとか言うよりも、採用する人材を選ぶのに「こういう試験で振り落とす」ことがいいのかどうか?。

答えを出す前にまず、企業は採用するに当たってどのような人材を期待するのか?、から考えてみたい。それは自社の社員の中で、どういう人が会社にとって「戦力」になっているのか?、を考えればすぐ答えが出る。要するに「戦力となる人材」が一番欲しいのだ。社内のエースと言われる人の「若い頃」と同じであれば、即決だろう。会社が求める人材とは、どこの企業でも欲しがるような「能力」があって、尚且つ、自社で働きたいという「熱意」を持っている人である。年齢・スキルは関係ないし、ましてや容姿だの「一般的な知識」などは全く「考えてはいない」と思う(私の考え)。

そんな人物を応募者の中から何とかして見つけ出そうとしているのに、なんでペーパーテストなんかやるんだ?、と言うのが私の立場である。本当はペーパーテストなんかやらないで、就職する時は応募者は会社に入りたい気持ちを話し、面接担当者の質問に正直に答えて、採用の可否判断をしてもらうのが一番である。そして、何故採用されたのか、何故落ちたのか、その答えを自分なりにとことん検討して、次の会社の採用試験に臨むべきである。ところが応募人数が余りに多くて「採用にかかるコスト」を減らすために、取り合えずペーパーテストで数を減らしておこうという魂胆なのだ。当然23社も受験すれば、一次試験に合格する会社も複数出るのは当たり前だろう。

大学入試は共通テストが採用されているが、今に入社試験も「共通化」されるのではないか。以前、インドの採用試験をテレビで見たことがあるが、そこでは採用側の企業と応募する学生とが「一つの会場」で面接を行っていて、学生のプロフィールを見ながら採用したい企業側が手を挙げて「面談」を行い、効率よくリクルートしていた。応募する側も入念に下調べしているし、採用する側も「はっきりとした判断基準」を持っているから出来る方式だと思う。日本ではお互い「そこまでの真剣さ」はないだろうから、この方式は一般的ではないのだろう。私はこの問題は「大学が中途半端」なせいだと考えている。もっと大学での成績が社会に出て有効な戦力に直結していれば、こんなペーパーテストなど「やる必要は全くない」のだ。

では現行のシステムで応募を数社に絞ったらどうなのか。日本では何故か「新卒にこだわる」仕組みが出来上がっている。だから就活が「一発勝負」になって、何が何でも採用されなければ即就職浪人になって「社会の落ちこぼれ」生活を送る羽目になるのだ。結果、今回の女子学生のように23社も応募して、不正でも何でもして「とにかく採用される」ように必死になるのである。今のような新卒採用にこだわるシステムでは、「心にもないこと」を言ってでも面接官の印象を良くし、一発勝負の採用試験を通らなければ、という気持ちになるのは当然だろう。面接マニュアルなどという「模範回答集」が売れている、というのも採用する側から考えれば、せっかく企業が準備した面接の時間を「無意味なものにする悪智慧」でしかない。しかしこういう参考書が出回る段階で、企業の目論見が見透かされていることの証拠ではないか。つまり、自業自得である。これは子供の時からずっとやらされている「受験システム」の最大の欠陥だと私は思う。

その学生がどんな能力を持っているかを見極めるのには、それなりの「時間」が必要である。これからの人生を決める重要な選択を「一発勝負の欠陥選抜システム」に頼らずに、企業側からも受ける学生側からも「双方、有意義なもの」にする為にはどうすればいいか?

私の提案は、それこそ子供の時からの受験システムを全部やめて、次に述べるような「職業選択システム」に変更していくことである。まず、大学卒業と同時に一斉に行われる入社試験制度は「全部止めて」、応募者の人間をもっと良く見て採用を決められる「個別入社制度」を採用することから始めたい。

それは、

1、就活期間の自由化
◯ 就活開始は中学卒業程度を目安にする(開始時期・年齢制限は原則なし)
◯ 目当ての企業の見習い期間は、それぞれ半年程度を目安(それ以上はアルバイト)
◯ 見習い期間中は仕事に応じてアルバイト並みの手当を支給する
◯ 会社側が必要な人材と思った時点で本採用または内定にする

2、大学は研究の場に限定。全員が行く場所ではない
◯ 大学に行って学者を目指す人以外は皆、高校から就活を始める
◯ 高校に在籍している間に積極的に入りたい企業へ見習いに行く
◯ 見習い期間に社会人としての常識を身に付ける(学校では教えない)
◯ 高校はまず、しっかりとした社会人になることを第一の目標にする
◯ 高校の成績は社会に出て必要ないものは受ける必要はなく、生徒は「分野ごとの選択制」で、
より専門化した授業を受ける

3、就活期間の学生を受け入れる企業側のチェックポイントは、仕事に対する接し方や作業の理解力、それと人とのコミュニケーション能力を見る
◯ 地頭の良さはしばらく見てれば分かる
◯ 仕事に活きるコミュニケーション能力がポイント
◯ 仕事に対する熱意と真面目な性格を重視
◯ 技術者・研究者の採用は大学での実績でOK
◯ 学校で重要視されるのは雑学や知識の量ではなく、社会生活での「知恵」とアイディア、それと目標に向かって粘り強く努力する人柄である

以上、大体のイメージはつかめたと思う。要するにこの新しいシステムで目指すのは「個人個人のワクワク感と活性化」だ。長い長い受験戦争を勝ち抜いて「やっと入社したらホッと一息」ではなく、入社したその時から即戦力でバリバリ仕事をする、という状態が望まれる。これは、社会全体に活力を与えると思う。例えば新しい方式では、若者は中学を卒業したら、皆んなどこかしら「企業に行って」見習いを始める。勿論部活などという無意味な制度はなくて、個人個人が「地域のスポーツクラブ」に入会するようになる。その中からブロを目指す者も出てくるだろう。或いは専門学校で技能を習得しながら、料理人や建築士やパイロットの道を歩んでもいい。普通のいわゆる勉強などは中学で充分。私は世の中で多くの人に出会ってきたが、誰かと微分積分の話をした記憶は「一度も」ない。中学で勉強した内容は、もっと実社会で役立つものに改編すべきであろう。そして学校の先生は、学業と就職相談に特化した「専門家」であるべきだ。

このように、一貫して学校は「働くための知識」を得る場所に専門化するべきだ。そして、自分の天職とも言える職業を「早く見つけるために」試行錯誤の期間は、出来るだけ長く、色々な「経験を積む時間」があったほうがいい。私は大学をそろそろ卒業だという時になっても、まだ「何をして生活すればいいのか」分かっていなかった。人間はオギャーと生まれて最初に「働いて自立すること」が求められる。人様に迷惑を掛けずに生活が出来、人並みに食っていくだけの稼ぎを得て初めて、人間としての「徳や文化を楽しむ」余裕が出来て来るのである。まず自立して生活すること。その最優先事項に全力を注がなければ、「よりよい人生も何も無い」ではないか。だから中学を卒業したら「すぐ就活」、が正しい生き方だと私は確信している。

クラシックの演奏家は勿論の事、プロ野球選手や女子ゴルフ選手なども小さいうちから相当なトレーニングを積んで将来の備えていると聞く。皆んながみんな、プロの演奏家やプロスポーツ選手で活躍できるわけではないが、でも小さな会社の事務員であろうとも、それぞれが「プロフェッショナル」であることに変わりはない。同じプロであるなら「同じ努力」をしてもなんら不思議はないのではないか。それには早くから始めることに越したことはない。そうやって全員が自分の職業に誇りを持って生きるようになれば、そして職業を選択するのに「十分時間を与えられる」のであれば・・・

こんな不正受験は無くなると思う。



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