僕の亡くなった父親は戦前、陸軍特攻隊の教官、最後は特攻隊員だった。
出撃前に終戦となり、生還できたとお袋から聞いている。
というのも、戦後サラリーマンをしていた父はその事は話さなかったし、こっちは日本軍国主義を批判し、ベトナム反戦運動などしてたから、聞きもしなかった。
2年前に膵臓ガンで亡くなった兄に翼という名前を付けたぐらいだから飛行機は好きだったのだろう。
そんな父が生きていたら、どういう反応をしただろうかと思いながら録画を見たのがNHKの「歴史ヒストリア~特攻 なぜ若者は飛び立ったのか」。
僕は涙なしでは見られなかった。慶応の学生で学徒動員で特攻隊として若い命を沖縄の海で散らせた上原良司青年、22歳。
若き命に無駄死にを強いた軍幹部、国家体制を憎む。
そんな中で上原は苦悩しながらも、揺れ動く心の葛藤を日記に残している。
彼は死んでも靖国神社には入らない天国へ行くといって飛び立った。
涙が止まらない。
彼は愛読書の文字に丸を付けて秘密の暗号を残していた。続けて読むと、
「きょうこちゃん さようなら
ぼくはきみがすきだった
いつもきみをあいしてる」
幼馴染みの初恋の人に宛てたものだった。
僕の涙腺は決壊した。
今なら親父と一緒に見られただろうな。
戦争を知る政治家がいなくなった現在、日本はまたその道を歩むのか?
絶対に戦争はしてはならない。