切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『マイ・ブロークン・マリコ』 平庫 ワカ 著

2021-01-23 23:59:59 | 超読書日記
今年はしばらく遠ざかっていたマンガと小説を読むつもりなんですが、この作品、よかったです。女性のバディ物の変形バージョンみたいな魅力かな。簡単な感想のみ。

男性コンビの刑事ものなんかを「バディ物」とかいいますが、同性のつがい行動本能でいうなら、女性の方がつがい行動しますよね。その感じが出てるなあと思いました。

主人公は、町中華でラーメンを一人で食べるようなガサツ系営業ウーマンで、親友(マリコ)の死を知って行動に出る・・・って感じのロードムービーみたいなストーリーだけど、これが男同士だったら、むかしのATGとか若い頃のショーケンの映画みたい雰囲気がありました。
(『アフリカの光』みたいな感じです。なお、ショーケンの相手は田中邦衛!)

親友が性的虐待を受けていたってあたりが『愛と呪い』に通じるところではあるけど、アマゾンのレビューで言われているたんなるメンヘラと片付けていいのかは、わたしにはちょっと疑問が残る。その件があろうがなかろうが、オンナのバディとか「つがい」ってこういう感じなんですよ。

でも、わたしが連想したのは、あんまり近くはないんだけど『50/50』っていう映画で、これは男性の話だけど、真面目な男の子の方が癌で生存確率フィフティ・フィフティ(50/50)になってしまったとき、ガサツな男の典型みたいな親友が的外れも含めて、大奮闘する。この感じにこのマンガは近い気がしました。つまり、何が言いたいかっていうと、負の状態にあるパートナーに対する激情の疾走感が、なんだか今を生きてるって感じがするっていうこと。だから、親友のメンヘラは主人公の内面の片面でもあるわけですよ。

ま、面倒くさい話はともかく、もうちょっとこの作品では語られてない部分が読みたい気になりました。わざと省略してるにしても、ちょっと描かなさすぎるのが、多少、消化不良感につながっている気がします。

というわけで、興味のある方はどうぞ。

PS: ちなみに、わたしが毎年楽しみにしている雑誌『フリースタイル』の特集「このマンガを読め2021」で第3位の作品でした。







映画『50/50 フィフティ・フィフティ』予告編

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