切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『ノーサンキューノーサンキュー』 土田世紀 著

2005-11-12 23:30:00 | 超読書日記
久々に読んだ土田世紀のマンガなんだけど、よかったなあ~、らしくて。

実をいうと、わたしの座右のマンガ5冊に確実に入るのが土田世紀の『編集王』で、この作品の女性編集者が担当を外されちゃう話なんかは何度読んでも泣けてくるし、東大出のエロ編集者の話なんかも痛快で大好きだった。とにかく、暑苦しいのが嫌いでクールなもの好み、トイレに『日出処の天子』全巻を常備しているわたしが、唯一愛してやまない熱いマンガが『編集王』なんですよね~。(因みに、一条ゆかりはトイレに『スラムダンク』全巻を置いてるそうです。)

で、今回の新刊は短編集なんだけど、全編最初に作者の解説付きという趣向で、この解説もいい味出してるんですよね。(マイケル・シェンカー?!とか出てくるし…。)

前々から思っていたんだけど、誇張した表情の大ゴマを使う古谷実のマンガの演出って、土田世紀に似てるなあと思う。 ただ、今回の作品を読んで改めて考えたのは、手法は似てるんだけど、人間観がたぶん全然違う。土田世紀の方は<話せばわかる>登場人物で、古谷実の方は<話しても理解不能>って感じの人物ばかりが出てくる。このあたり、古谷実の方を今風に感じてしまう一因になっているとは思うんだけど…。

そういう意味では、表題作「ノーサンキューノーサンキュー」なんかは新生面という感じがあって、古谷実の『シガテラ』や『ヒミズ』に出てきそうな、理解不能な登場人物(警官役)が出てきて、おっと思うんだけど、最後は…。

このあたりも含めて、わたしが「らしい~!」って思うわけだけど、要するに、少し年長のお兄さんに会ったみたいな濃厚なノスタルジーを感じて、これはこれでいいなあって思うんですよ、わたしは。

ところで、このマンガを読んでいたら、「ハイロウズ活動停止」っていうニュースが飛び込んできたんだけど、何だかグッドタイミングというか、まさにこのニュースに通じるノスタルジアがこの短編集にはある!

というわけで、わかりにくい感想かもしれないけど、わかるひとにはわかる!でも、とってもわかりやすいマンガです。個人的には絶賛!!

因みに、土田世紀のマンガに出てくる女性キャラって、ちょっと類型的だけど凛としていて、わたしはとても好き。ああ在りたいなってよく思います。

完結!『シガテラ』⑥ 古谷実

ノーサンキューノーサンキュー

小学館

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