切られお富!

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『チェンジリング』 クリント・イーストウッド 監督

2009-06-24 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
遅ればせながら映画館で観たのですが、とてつもない傑作。こういう題材を選ぶこと自体が凄いな~。というわけで、簡単に感想っ。

シングルマザーの子供が誘拐され、警察から保護したとの連絡が入るが、その子供はまったくの別人だった…。

まるでカフカの小説を地でいくストーリーながら、実話を元にした映画で、時代は1928年。世界恐慌前年の好況時の風俗が織り交ぜられ、興味深い映画になっています。

ネタバレは避けたいので簡単に書きますが、前半はここまでやるかという過酷なストーリー、後半はわずかな光がさす感じですか…。

特に前半の過酷さはサミュエル・フラー監督の『ショック集団』を思い出しちゃったなあ~。

ディテールでいうと、ローラースケートを履いて仕事をする「電話交換手」という職業のヒロイン(アンジェリーナ・ジョリー)は、髪型といい、佇まいといい、フィッツジェラルドの小説に出てきそうな「ジャズ・エイジ」の雰囲気で、わたしには興味深かったなぁ~。

また、全般的に渋い色調の画面で、西部劇的な画面も出てきます。(ネタバレになるといけないからこれ以上書きません。)

とにかく、この映画から受けた感銘は、ジャンルは違うけどカポーティの小説『冷血』以来のものでしたね~。

因みに、最後のアカデミー賞受賞作を当てる場面で、ヒロインがフランク・キャプラ監督の『或る夜の出来事』を予想するくだり。『ある夜の出来事』はアカデミー賞をとるわけですが、主演のクローデット・コルベールはわたしと誕生日が一緒なんですよね~。どうでもいいことだけど!

というわけで、映画が終わった後はしばらく席を立てませんでした。文句なし!傑作!!

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(参考)
冷血 (新潮文庫)
トルーマン カポーティ
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