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「少女レベッカ」

朝日を浴びて輝くメタセコイア?

1991年 角川文庫 

ケート・D・ウィギン著 大久保康雄訳 <Rebecca of Sunnybrook Farm>

著者の生没年は1856ー1923。

昔からずっと広告文だけは読んでいたが、今度はじめて手に取った。

ヒロインの名前がレベッカ・ロウィーナ。「アイヴァンホー」の薄幸なユダヤ少女と高貴なサクソンの姫君の名を一緒にしてつけるなんて相当なものだ。著者は好き嫌いがはっきりしており、嫌いな人には手厳しい。特に伯母ミランダはすっかり悪者扱いされている。(そういえば、子供のころ読んだ少女小説では、薄幸のヒロインが冷酷なおばに虐められるというのが通り相場だった。)

おどろくのは「赤毛のアン」とそっくりの設定が至る所に見られること。どちらがどちらをまねたのか?ウィギンはモンゴメリー(1874-1942)より18歳年上だから、多分こちらが先だろうと思うが、不自然な程に、どこにも初出の年が書いてない。アンの方はフィクションで文章がなめらかだが、こちらは自伝なので、ごつごつして読みづらい個所もある。

さてどこが似ているかというと。

冒頭ではヒロインが馬車に乗りこみ、奇抜なおしゃべりで村人を驚かせる。

母の姉たち(二人とも独身)の家に住みつく。

初めは姉が望まれたのだが、役に立つので母親が手放さない。

学校で、授業中先生に立たされる。そのさい、同じ行動をした男の子と共に立たされたのを屈辱と感じる。

暗誦のさいは皆を助け、大活躍する。

伯母ミランダは無教育で意地悪、二番目の伯母ジェーンは温厚で学歴もある。レベッカの母は結婚に失敗したことになっている。

レベッカの親友は勉強はできないが美人。

進学の際、伯母が病気で倒れる。etc etc

モンゴメリーが「アン」を書くとき、かなり「レベッカ」から拝借してしまったとしたら、その傾向はもともとあったのか、アンが作文でまる写しする箇所がある。ただ設定が一緒でも、作家の腕はいかに文章を読ませるかにかかっている。その点、モンゴメリーの語り口は余人の追随を許さぬものがあり、それが今日までアンのシリーズが皆に愛されているゆえんだろう。

というわけで、少女時代からそのタイトルを目にしていた「レベッカ」を77歳で読んで、結局、これを盗んだ?モンゴメリーの文才を確認する結果に。

→「赤毛のアン」訳に迷う 18-1-30

→映画「アンの結婚」9-10-23

 

 

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