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映画「ウォーク・ザ・ライン」


2005 米 136分 DVD鑑賞 原作 ジョニー・キャッシュ自伝 監督 ジェイムズ・マンゴールド 出演 ホアキン・フェニックス リース・ウィザースプーン 原題≪Walk the Line≫ 

エルヴィス・プレスリーと同時代に一世を風靡したという歌手ジョニー・キャッシュ(1932-2003)の伝記映画。
主にかれが二人目の妻ジューンの愛を勝ち得るまで。
ジョニーの歌は、刑務所の囚人たちに人気があったという。
彼自身は服役の経験はないが、生い立ちから、かれらの気持に共感できたのだろう。
1944年、12歳の時アーカンソーで、綿つみをした。これは過酷な労働のようだ。
失業中でアル中の父親は若くして事故死した兄のみを愛した。

父親との確執と貧困、
また南部の苛烈な自然や宗教的な風土、ラジオで親しんだゴスペル。
それらが彼の歌の基礎にあるようだ。
少年期の情緒を最後まで持ち続けたのだと思う。

ホアキン・フェニックスの容貌は歌手と言うには重苦しく、2時間以上見せられるのは苦痛である。
彼はこの役に向かないのではと思ったが、ジョニー・キャッシュ自身が彼を指名したとのこと。

生立ちがどうであれ、ジューンと結婚してからは35年も幸せに暮らし、父親とも和解したようだが、彼は、どうしてその時代のことを公表したかったのだろうか。
依存症の父から生まれた依存症の息子を救ってくれた妻への惚気(のろけ)ではないと思うが。

「ジューンへの40回のプロポーズ」と言っても、熱に浮かされた
ストーカーのように時と所を選ばずに言い続けただけなので、根負けして承諾した観がある。
賢い女性なので夫の性質を飲み込んでうまく扱い、結婚を全うしたのだろう。
妻の死後、4か月で後を追った彼を見れば、彼女の偉大さがわかる。

ホアキンも夭折した兄リヴァー・フェニックスへの複雑な思いがあったので、この役に共感できたのかも。

自分の弱さを正直に語る人をアメリカ人はことに愛するが、キリスト教の告白に似た感じなのだろう。

原題の意味は「一本の線の上を歩く」=「正しい行動をとる」=「社会的規範に沿って行動する」
と言うことで、滅茶苦茶に荒れていたジョニーが2度目の結婚で正道にもどったということのようだ。
なるほど本人は幸せになったかもしれないが、そういう話は得てして聞いてもつまらないものだ。
家庭は大事、そして女性の力は大きいと主張する保守主義者には受けるかも知れないが。

中でただ一つ心に残ったのは、他人の歌のまねをしていたジョニーに向かってレコード会社の人がした忠告。
「トラックにはねられ、死ぬ前に一曲だけ歌う時間がある。聞いた人が絶対忘れない一曲、この世で君が感じたことを神に伝える曲、それを聴けば君と言う人間がすべてわかる歌を歌え」だった。

ホアキン・フェニックス
 →「帰らない日々」14-12-17
リヴァー・フェニックス
 →「スタンド・バイ・ミー」11-12-11
 →「マラノーチェ」 7-8-8
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (セレンディピティ)
2014-12-27 22:01:25
こんにちは。びっくりしました!
私のこの作品、つい2、3日前に見たばかりです。
こんな偶然ってあるんですね。

ジョニー・キャッシュの歌って、メロディーはカントリーですが、歌詞はロックでしたね。
まさに反逆児といった感じで、それが囚人たちの心に響いたのでしょう。
最初のレコーディングの時に、彼が自作の歌を歌い出す場面は印象的でした。

ジューンを演じていたのが、リーガリーブロンドの女優さんと知って、イメージがまるで違うので驚きました。
2人とも吹き替えなしに歌っているとのことですがお上手ですね。
ハリウッドの俳優さんはほんとうに多才な方が多いですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2014-12-27 23:17:28
セレンディピティ様

コメント有難うございます。またまた、偶然でしたね。最近「帰らない日々」を見たので、ちょいちょい彼のこの映画を思い出してはいたのですが……。
 
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