国公私立・医学部、薬学部、看護学部の攻略法 (さくら教育研究所)(SKREDU)

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医学部とお金のお話し 

2023-01-18 | 日記

できるだけ学費がかからない医学部に入りたい…

一般的に、私立大学医学部では6年間で2000万円から3000万円前後、高いところでは4000万円以上の学費が発生します。一方、国公立大学医学部の場合、6年間で350万円程度です。 

コストの低い大学を目指せるに越したことはありませんが、当然難易度も高く、狭き門です。「できるだけ学費がかからない医学部に入りたい。でも国公立医学部はほぼ前期日程の一発勝負だし、共通テストも自信がない…」と考えている受験生も少なくありません。

しかし諦めないでください。「学費0」や「国公立と同程度」など、さまざまな制度を設けている大学も存在しています。

◆6年間「学費0」の医学部はここだ 

栃木県下野市にある自治医科大学では卒業後9年間、学生の出身地にある「へき地医療施設」等で勤務することを条件に、学費が全額免除されます。

授業では、CTやMRIなどを使わずに身体初見を行う訓練を繰り返し、医療の最新機器が導入されていないへき地での診断や、緊急性の判断が行える医師を育成します。

全寮制で、寮費は月額8500円程度。安価な食堂や勉強室なども完備されており、志高い学友とともに、国家試験へ前向きに取り組める環境が整えられています。

また私立医学部ではないですが、「学費0」といえば埼玉県所沢市にある防衛医科大学校は有名ですね。防衛医科大学校では「卒業後9年間、自衛隊に勤務すること」を条件に、学費が全額免除されます。加えて在学中は、全寮制で生活費負担が少ないうえ、給与や賞与まで支給されます。

ただ、同大学は軍医養成校なので、自衛官としての実務訓練(パラシュート降下や野営など)も必須とされます。

そのほか、産業医学の振興と優れた産業医の養成を目的として設置された、福岡県北九州市にある産業医科大学は「国公立と同程度」を謳っています。

W免許(医師免許・産業医資格〔永久資格〕)の取得が可能で、医学部全学生に修学資金が貸与されます。そのため入学料・授業料の実質負担額は、国立大学と同程度となるのです。修学資金貸与額は貸与期間の1.5倍の期間(大学卒業から概ね9~11年)で返還免除対象職務に就くと、全額免除されます。

ただし、共通テストを第1次学力検査として入学試験に利用する点で、ほかの私立医学部とは異なります。

共通テストの後、第2次試験として独自の「第2次学力検査」を行い、その成績と第1次学力検査の成績をあわせて小論文・面接受験資格者約400名を決定します。当該の資格者に対して「小論文・面接」を行い、その成績・評価と第1次学力検査および第2次学力検査の成績ならびに調査書等の内容を総合して合格者が決まるという流れです。

◆成績優秀なら「特待生制度」を利用する手も 

各医学部の医師国家試験合格率は、受験生の志望校選びの指標となっており、この数値が医学部の人気を左右するといっても過言ではありません。

そのため各大学は、「特待生制度」を設けて優秀な学生を集めることに力を入れています。学費等を免除することで多くの志願者が集まれば、成績優秀な学生の入学率も高まり、将来的には国家試験の合格率アップにもつながるからです。

以下は、各医学部が提示している特待生制度の一例です(2022年3月現在)。

●慶應義塾大学「人材育成特別事業奨学金」

特典:4年間、年間200万円(総額800万円)を給付。

選考条件:一般入試成績上位者10名程度。

●東京慈恵会医科大学「慈恵大学奨学生」

特典:学納金(授業料、入学金、施設拡充費)の全額または半額を貸与。卒業後に返済の義務あり。

選考条件:10名程度。対象は全学年。無利子。

また奨学金ではありませんが、「学校法人慈恵大学提携教育ローン」という制度もあります。これにより保護者または学生本人は、金融機関から10万円以上1,000万円以内の借入が可能になります。

●国際医療福祉大学「医学部特待奨学生制度」

特典:1年次250万円を給付・入学金150万円を免除、2年次以降は230万円を給付。

選考条件:一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、留学生特別選抜、帰国生および外国人学校卒業生特別選抜の成績上位合格者から50名。

●北里大学「特別待遇奨学生制度」

特典:(第1種)入学金、授業料、施設設備費および教育充実費の納入免除。/(第2種)入学金および授業料の一部の納入免除。

選考条件:一般入試合格者のなかから上記2区分による特待生を選考(若干名)。選考面接あり。

「共通テストのハードル」も存在?

大阪医科薬科大学は昨年度、現役生へ向けて「建学の精神入試」という推薦入試をおこないました。合格者には6年間の実習料、施設拡充費、教育充実費の半額が免除されるというものです。

セレクションをかけて、最終的に1次審査を通ったのは3人ほど。彼らには難しい一般試験は課さず、「共通テストで9割以上取れば合格」ということになっていました。現役生を3人呼び込もうという狙いです。しかし、結果として合格したのは0人でした。

やはり現役生に9割は難しい…ということで、今年度は「至誠仁術入試」と名称を変更し、ボーダーを7割5分まで一気に下げました。

1次合格者5人のなかには、わたしが普段指導している受験生も含まれていました。もちろん、とても優秀な生徒なのですが、7割5分でも「厳しいかも…」といいながら勉強していたことが印象に残っています。

浪人生は4月から私立医学部の過去問を解いていて、英数理は早いうちから固まっています。すでに共通テストはカバーできる状態にあって、あとから「国語と社会だけ頑張ろう!」と科目を絞って力を入れることが可能です。

一方、現役生は浪人生と違って、学校の進度や様々な科目の履修といった制約があります。要領よく計画を立てて学習しないと、共通テストのボーダーが下がっても大変であることには変わりないようです。

なお、至誠仁術入試では最初3人に合格通知が出され、その後すぐに2人が繰り上げられ合計5人となりました。7割5分でも集まらないかもしれない、という大学の予想かもしれません。

奨学制度を設けている「大学」「地方自治体」「病院」

2016年度の医学部卒業生から施行された「新専門医制度」によって、医師免許取得後2年間は内科、小児科、精神科など、多数の専門科を巡回して研修を行ったあとに、専攻科を決めるルールになりました。 

専門ごとの質を担保するために始まったこの制度でしたが、症例数や指導医が多い都内の病院に学生が集まるようになり、地方の医師不足が深刻化する要因の1つとなってしまいました。

都会へと流れていく医師、枯渇する地方医療、この悪循環を打破するために誕生したのが「地域枠入試」です。

地域枠入試は、一般入試とは別枠で合否判定されます。入学が決まれば奨学金が貸与され、卒業後一定期間(おおむね9年から11年)、指定された地域の医療機関に勤務することで貸与金の返済が免除されます。

2008年頃から地域枠の募集人数は年々増員されており、2019年度では札幌医科大学が一般入試を含む定員全体の約8割、前述した東北医科薬科大が約5割を地域枠に充てているなど、全国の医学部総定員数の15~18%が地域枠であると推測されます。

●東北医科薬科大学「修学資金制度 A方式・B方式」

A方式(2県まで選択可能)、B方式、一般枠に希望順位をつけて出願(最大で第4希望まで選択可能)。合格者の判定は、成績順位と枠・方式の希望状況に従って決定。

■A方式(東北地域医療支援修学資金)

6年間で3000万円。大学卒業後10年間、県内の指定医療機関に勤務することで、修学資金の返済が免除。

①医学生修学資金(宮城県)…30名

②医学生修学資金(宮城県以外の東北5県)…各県1名 

■B方式(東北地域医療支援修学資金〔宮城県以外の東北5県〕)…20名

6年間で1500万円+1100万円~(各県の修学資金)。大学卒業後9年程度、宮城県以外の東北5県の医療機関に勤務することで、修学資金の返済が免除。

過去には、地域枠で定員割れした国立大学医学部があったことをご存知の方も多いと思います。実際、地域枠は東北医科薬科大学を除けば、一般枠よりも合否のハードルが下がります。私が運営する予備校の生徒だけをみても、日本医科大学や順天堂大学にて、一般枠では合格がもらえず地域枠で合格したケースがあります。

加えて、医師不足に悩んだ都道府県・市区町村など地方自治体が、独自の奨学金制度を設置しているケースもあります。

病院独自で奨学金制度を設けている医療施設もあります。

そのひとつが、救急や離島医療に力を入れている医療法人グループ「徳洲会」の奨学金制度です。“医学部入学予定または在学する学生で、卒業後に徳洲会グループ病院への入職を希望される方”を対象に、在学中、毎月15万円が貸与されます。医師資格取得後は、同グループの関連医療施設で貸与期間の3分の2にあたる日数を勤務すれば、貸与金の全額が返済を免除されます。

◆地方での生活費も加味し、経済状況・学力レベルに合った大学選びを

ここまで奨学金制度が充実している大学・地域を紹介してきましたが、地元から離れて大学に通う場合、学費のほかに、家賃や生活費が発生することもしっかりと把握しておきましょう。

学費が安い医学部、奨学金・特待生制度がある医学部、学費が無料の医学部など選択肢はさまざまです。経済状況・学力レベルに合った大学を選んで、医師になる夢を諦めず、ぜひ合格を勝ち取ってください!