道頓堀川界隈
その日も私は道頓堀川に、身を潜めていた。
今や巨大な影と化した鳥は、グリコの看板に夢中の観光客などには気づかれよう筈がない。
影鳥はいい気になって、観光客の紅葉した心の隙をつき、あちこちに空中遊泳し、本来の影を真似て道頓堀という雑然とした街中に同化することに専念した。
乱鳥、どうか してるぜ!と心の雄叫びが聞ゆる。
道頓堀川に、息を潜めめてたこと小半時間。その時の様子が次の写真に明確に現れているので、ご興味のある方は見ていただければと思う。
巨大化した鳥は風となり影となり、川にビルにへばり付き、観光客の行動を眺めていた。
買い物をする者、川沿いで話す者、観覧船を待つ者。
スマホを手にする者、たこやくを喰らう者、グリコを背景にポーズする者…
多種多様の客人を許す道頓堀川界隈では、人の意思を持たない巨大影鳥さえも受け入れる不思議な町である。
この雑然とした空間を外国人が好むのも、納得がいくというものである。
ところで写真の中に同化したかげの鳥は、どこに身を潜めているか、お気付きですか?
こう書いていますが、このような愚問さえ、無意味なことですね。
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